AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者と『極塔之主』 その15
夢現空間 居間
「……なあ、カナタ。結局あれからコアさんとの進展はあったのか?」
『ま、まぁな。太陽が……黄色く見えるぐらいには』
最初に出会った頃よりゲッソリとしたカナタが……そう答える。
最後の決戦は俺の勝利で幕を閉じた。
例えカナタの持つ武器に、最強の剣士と同等の腕前を再現する効果があったとしても、最強の剣聖から動きを教わった俺にはなんとなく勝ちが視えていたのだ(当然、スキル的な意味でもな)。
それからの交渉の末、カナタとコアは眷属としてこちらに出向してきたのだが……二人は一緒の部屋で夜な夜な……これ以上は、止めておこうか。
『もう疲れたんだ。助けてくれよ、親友』
「無理無理。俺がもし一回でもそういう案件に手を出すとな、他の眷属が襲ってくるんだよ……色んな意味でな」
『あの実力者がかよ……心中お察しするぜ』
「お察しするなら助けてくれよぉ……」
体が触れ合うだけならまだ好いが、絡み合う気には全くならない。
――なんでだろうか?
『でも、全くその気にならねぇって……もしかしてメルス、EDなんじゃ――』
「いいいいい、EDなわけ、ななななな、ないだろう!? おおおおお、俺の息子は正常に動くわ! ただ、少し違う環境に置かれて戸惑っているだけだよ。
うちの息子……ちょっとシャイだからな」
『凄い否定するな』
当たり前だ!
俺……というより俺の息子はまだまだヤれるはずだ! まだ魔法使い候補だけど。
しかし、カナタ相手だとこういった話ができて楽しいな~。
たまになぜか顔を真っ赤にして逃げ出すこともあるが……理由は既に理解しているのから問題なし。
そのときは、話題を切り替えて男子トークに励んでいるさ。
「それで、武術の体得はどうなったか? 幾ら武具で補正ができるといっても、前の俺みたいな奴に奪われたら元も子もないしな」
『……普通、(奪略無効)が付与されている武器は奪えねぇよ。お前の眷属にたまに習ってるから、この見た目以上には扱いに長けるようになったぞ』
「まあ、少女だからな。【武芸百般】を習得できるだけでも凄いんだぞ」
『こっちの世界はSPなんてものがあるから便利だよなぁ。DMOはDPの消費でしかスキルの習得ができなかったしな。ダンジョンの階級とかで、習得できるスキルに制限が掛かって面倒だったんだ……しかも必要なDPはかなり高いし』
「俺も最初の方は、ダンジョンの機能を使ってスキルを創ってたから良く分かるぞ。一度スキルを創った後は、必ずDPの供給に行かなきゃいけなかったしな」
創っていたのが神眼シリーズだったのも理由の一つかも知れないが、称号で効率の良い供給ができていた俺でも、毎度補給に行かされた。
レンと話せる名目ができていたから、別に良かったんだけどな。
閑話休題
『そういやあの装備……"天"って、一体なんなんだ?』
「あああれか? 敏捷力とか反射神経とか、早さに関わる能力に結構補正が入るんだよ。
だから最後ら辺のお前の罠にも対応できたし、あの時の動きにも付いていけたんだよ。
あとセット装備効果があってな、三つ目の罠の破壊に使ったあのビームが使えるようになるんだぞ」
『あの一撃だけで、多分俺は倒せただろ。余波が半端なかったぞ』
「あの技はな、一回使うとクールタイムがあるんだよ。あの時は罠に対処することを考えてたから、カナタには使わなかったんだよ」
それに、それ以上に強力な技も幾つか持ってるしな。
今回は『合成武技』も魔法も使わなかったし……あれ、舐めプ?
「それにしても……俺とカナタがやってたのはダンジョンバトルだったんだよな」
『あぁ、一方的な蹂躙だったけどな』
「なら、カナタんちのダンジョンモンスターはどうなったんだ? 双方最初に侵入したんだろ? 今さら気になったが……」
『お前がこっちに侵入して来た時点で、俺たちはもう新しく召喚して攻める気は失せた。だけど、予め一定時間ごとに召喚するシステムにしておいたから、一応そっちの方にも侵入はしていたはずなんだよな。だけど、こっちは勝ちになってねぇってことは、殺られてたってことだな……だいたい、お前の所のヤツはどんなダンジョンだったんだよ』
送ったダンジョンがアレだしな。
まぁ、そうなっても仕方ないか。
「『凶楽の花園』ってのは、俺が暇潰しに育ててた植物が植えられているダンジョンだ。
だけど、そこに一つだけ変異種が生まれてな。今はソイツに植物の管理を任せているんだよ……というか、俺のダンジョンは基本的にダンジョンモンスターが管理しているぞ。
レンはともかく、俺はもう【ダンジョンマスター】を剥奪されてるからな。レンだけに全てを背負わせるわけにもいかない……と言うことで、ダンジョンモンスターの一部にも管理を手伝ってもらっているんだ」
『偽・世界樹の迷宮』も階層ごとに誰かが管理を行い、それをレンがさらに統制するみたいな感じで運営されてるしな。
なんだか会社運営みたいに思えてきて、少し悲しくなってきたのは秘密だぞ。
『……で、どんな奴なんだ?』
「お、気になるか? 俺が最後に直接会った時は……確か、"ギフトフラワー・変異種"って種族だったな」
『(与える……いや、毒花かよ)――俺、直接乗り込まなくて良かったと深く思うわ』
失礼な奴だな~。
ま、今度一緒に挨拶にでも行かせるか。
そんなことを思いながら、美味しいお茶を一杯飲んだ。
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