AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します

山田 武

偽善者と自己紹介 その10



夢現空間 居間


「――と、言うわけなんだ。あのダンジョンコアを用意しておいてくれないか?」

『了解しました。のちほど、こちらに転送させていただきます』

「……よし。それなら、この話はお終いにして――毎度恒例このお時間、自己紹介ターイムッ!!」

『……ついに、来ましたか』

「そうっ! 記念すべき第十回、そのゲストに貴女は選ばれたのです!」


 真面目な話は事前に済ませてあるので、この先はいつも通りはっちゃけていこう。
 お茶請けとして出しておいた"多分勝つ"的な感じの菓子(青リンゴ味)を一つ口に入れてから、会話を続ける。


「いや~、忙しかったからな。Wifoneとか念話を使った連絡はちょくちょくやってたけど、実際に顔を会わす機会ってのは滅多になかったし」

『申し訳ありません。主様マイマスターがお求めになられた結果を出すとなると、すぐには作業が終わらないもので』

「いいよいいよ。本当は運営をダミーに全部任せて休んでも良いのに、毎日欠かさず点検してくれる……褒めはするけど、怒ることではないよ」


 本当に真面目な娘だよ。
 なんだか、俺の方が黒い会社に就職させている気分にならんでもないが、彼女自身が仕事にやりがいを感じているとのことなので、俺はそれを止めることができない(あれ? それこそ本当にブラックな気が……)。


「……よ、よし! そろそろ始めるか!」

『はい、よろしくお願いします』


 祝十回だけど、特に特別なことをやる予定は無いぞ!


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「問01:あなたの名前は?」

『レンです。……アンじゃありませんよ』

「いや、間違えないだろ」

『……いえ、主様への貢献を顧みるに、間違えた? と思う者もいるかもしれません』

「何を!?」


「問02:性別、出身地、生年月日は?」

女性ベース、第四世界、不明です』


「問03:自分の身体特徴を描写してください」

『髪は蒼銀、目は無機質な金色。あ、髪は腰の辺りまで伸びてます』


「問04:あなたの職業は?」

『【ダンジョンマスター】です』


「問05:自分の性格をできるだけ客観的に描写してください」

『冷静沈着……でしょうか』


「問06:あなたの趣味、特技は?」

『どちらも、ダンジョン改変です』


「問07:座右の銘は?」

『富国幸民です』

「なんとなく意味は分かるけど……一応」

『国を豊かに、そして国民を幸せにするために、日々ダンジョンの強化に励んでます』


「問08:自分の長所・短所は?」

『DPがあればなんでもできますが、無ければ何もできないことです』


「問09:好き・嫌いなもの/ことは?」

『好きなものは意味のあるダンジョン、嫌いなものは意味の無いダンジョンです』

「……需要があるかどうか、ってわけじゃ無いんだよな」

『はい。そのダンジョンがあることで、何かしらのプラスな点がある……そのようなダンジョンが好ましいです』


「問10:ストレスの解消法は?」

『ストレスは感じたことがありません』


「問11:尊敬している人は?」

『主様です』


「問12:何かこだわりがあるもの/ことがあるならどうぞ」

『先程も申しましたように、意味のあるダンジョンです』


「問13:この世で一番大切なものは?」

『主様です』

「そこは、ダンジョンコアじゃないのか?」

『いえ、主様が無事ならば、それも修復可能な気がしまして』

「……否定はしない」


「問14:あなたの信念は?」

『最高のダンジョンを造ることです』


「問15:癖があったら教えてください」

『DPを節約しますね』


「問16:ボケですか? ツッコミですか?」

『ツッコミです』


「問17:一番嬉しかったことは?」

『ダンジョンイベントの際、『偽・世界樹の迷宮』をお使いになられたことです』


「問18:一番困ったことは?」

『未だに『千尋山』が運用されていないことです。……『天魔迷宮』の難易度を上げ過ぎたのでしょうか?』

「眷属がいるし、仕方ないだろう」


「問19:お酒、飲めますか? また、もし好きなお酒の銘柄があればそれもどうぞ」

『飲めませんね』

「一度飲ませたら……大変なことになった」


「問20:自分を動物に例えると?」

『ここは忠誠心の観点から、犬と例えておきます』


「問21:あだ名、もしくは『陰で自分はこう呼ばれてるらしい』というのがあればどうぞ」

『国民の方々に、『迷宮王妃ダンジョンクイーン』と呼ばれましたね。そう、王妃と呼ばれました』

「…………」


「問22:自分の中で反省しなければならない行動があればどうぞ」

『お酒を飲んだ時のことですね』


「問23:あなたの野望、もしくは夢について一言」

『最高のダンジョンには、まだまだ足りないものがありますので……召喚の方、許可を頂きたいです』

「それはもう少し後だな」


「問24:自分の人生、どう思いますか?」

『素晴らしいものだと思います』


「問25:戻ってやり直したい過去があればどうぞ」

『いいえ、ありません』


「問26:あと一週間で世界が無くなるとしたらどうしますか?」

『国民の方々が助かるためのダンジョンを造り始めます』


「問27:何か悩み事はありますか?」

『そ、その……DPの供給を、して欲しいですね……直接』

「…………(あとでな)」


「問28:死にたいと思ったことはありますか?」

『……すいません、今です』

「ゴメンゴメン、あとでやるからさ」


「問29:生まれ変わるなら何に(どんな人に)なりたい?」

『ダンジョンコアである私がこうして主様と話している今が既に、生まれ変わっていると思いますので……このままで結構です』


「問30:理想の死に方があればどうぞ」

『ダンジョンの価値を認められてから、私のコアを壊されて死にたいです』

「価値は認めるが、死ぬことは許さないぞ。少なくとも、俺の目が(基本的に)黒い間は」


「問31:何でもいいし誰にでもいいので、何か言いたいことがあればどうぞ」

『主様、それはとても嬉しいですね』


「問32:最後に何か一言」

『では、そのためにも供給をお願いします』


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「カ、カット!! ……本当に、やって良いんだよな?」

『……はい、お願いします』


 服をはだけさせたレンが、目の前にいる。
 俺はゴクリと生唾を呑み込んだ後に、その綺麗な肌に触れて……熱いものを流し込んでいった。

 ――眼福だったとだけ伝えておこう。



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