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山田 武

偽善者と自己紹介 その06



夢現空間 居間


「はい、今日もやっていきましょう――不定期開催、自己紹介ッ!」

『はーい!』

「今回は、俺の(ある意味)娘であるミントをゲストに呼びましたー」

『よろしくお願いします!』

「……ミント、最近の挑戦者ってどんな感じなんだ?」

『う~んとね~、まず私に気付いてないよ』

「そこからかよ……」


 フェニのように、『天魔迷宮』第一階層のフロアマスターであるミント。
 彼女の特徴を一言で、簡潔に纏めるのならば――『小さい』である。

 初期は壁のシミほどの大きさであったが、進化をして少しは大きくなった。
 しかし、それでもまだハガキ程の大きさしかない(ま、大きさなんて、自由に変えられるから意味ないけどな)。

 そして、その小さい体で生き残るため、生存本能もかなり高い種族へなっており、自身の気配を隠すのが上手なのである。


「まあ、眷属の中で一番隠れるのが上手いしな――かくれんぼ大会チャンピオンさん」

『えへへぇ~♪』


 かつて行われたその大会で、最も長時間俺から逃げ切れたのは――ミントであった。
 ……神氣を使わないと見つけられないってのは、どんだけの隠伏力だよ。


「――ではチャンピオン様。インタビューを行わせていただきます」

『はーい!』


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「問01:あなたの名前は?」

『ミントだよ』


「問02:性別、出身地、生年月日は?」

『女で、天魔迷宮で……あれ? パパ、誕生日は?』

「……本当にすまないな。大体の日は分かってるから、その日を楽しみにしてくれ」

『……? 分かった』


「問03:自分の身体特徴を描写してください」

『身長9cm、乳白色の髪と色が変わって見える眼、背中から蝶の羽が生えているよ』

「捕捉すると、ミントの瞳は見る角度によって色が変わるぞ。ミントの視線とかでも変わるから、一定方向で色が固定しているってワケじゃ無いからな」


「問04:あなたの職業は?」

『天魔迷宮の一層フロアマスターだよ』


「問05:自分の性格をできるだけ客観的に描写してください」

『子供っぽい……かな?』


「問06:あなたの趣味、特技は?」

『隠れること!』


「問07:座右の銘は?」

『小は大を兼ねる!』

「では、理由をどうぞ」

『小さいからこそ、色々とやれることがあるし、スキルを使えば大きい人がやることもできるからだよ』


「問08:自分の長所・短所は?」

『どっちも小さいこと!』


「問09:好き・嫌いなもの/ことは?」

『好きなことは見つけてもらえることで、嫌いなのは見つけてもらえないことかな?』

「……なんか、ゴメンな。隠れるだけの仕事なんて任せて」

『パパはちゃんと私を見つけてくれる。それだけで私は嬉しいよ』

「…………ッ! (ブワッと大号泣)」

  暫くお待ちください


「問10:ストレスの解消法は?」

『レンお姉ちゃんに相談するよ』


「問11:尊敬している人は?」

『パパとレンお姉ちゃん!』


「問12:何かこだわりがあるもの/ことがあるならどうぞ」

『う~ん……侵入者の倒し方かな?』

「なるほど……では、具体的には?」

『どの虫を使うか、かな? パパの記憶にある虫は、全部召喚できるからね』


「問13:この世で一番大切なものは?」

『パパッ!』


「問14:あなたの信念は?」

『ダンジョンを守り抜くこと、かな?』

「まあ、ピンチになったらすぐに本気を出して良いからな。レンとも眷属第一の方針で決めてるし」


「問15:癖があったら教えてください」

『羽を振るわせることだと思うよ、ついやっちゃうんだ』


「問16:ボケですか? ツッコミですか?」

『ボケかな? パパと言うと、みんながツッコむから……』

「うん、ちょっと意味合いが違うな」


「問17:一番嬉しかったことは?」

『(人化)して、パパに会えた時』


「問18:一番困ったことは?」

『(人化)ができなかった時』


「問19:お酒、飲めますか? また、もし好きなお酒の銘柄があればそれもどうぞ」

『パパが飲んじゃ駄目って言ったんじゃん』

「子供は駄目だぞ~」


「問20:自分を動物に例えると?」

『虫』

「綺麗な蝶だからな」

『えへへぇ♪』


「問21:あだ名、もしくは『陰で自分はこう呼ばれてるらしい』というのがあればどうぞ」

『かくれんぼチャンピオンって呼ばれるよ』

「俺もそう呼ばれてたから、そう呼んでたんだけどな」


「問22:自分の中で反省しなければならない行動があればどうぞ」

『まだ……ないかな?』


「問23:あなたの野望、もしくは夢について一言」

『みんなが楽しくいられること!』


「問24:自分の人生、どう思いますか?」

『パパが生み出してくれたもの』


「問25:戻ってやり直したい過去があればどうぞ」

『ないよ』


「問26:あと一週間で世界が無くなるとしたらどうしますか?」

『パパならどうにかすると思うけど……もしそうなったら、パパと一緒にいようかな?』


「問27:何か悩み事がありますか?」

『ないよ』


「問28:死にたいと思ったことはありますか?」

『ないよ』


「問29:生まれ変わるなら何に(どんな人に)なりたい?」

『本当のパパの娘かな?』

「……俺は、ミントのこと、本当の娘みたいに思っているからな」


「問30:理想の死に方があればどうぞ」

『ないよ』


「問31:何でもいいし誰にでもいいので、何か言いたいことがあればどうぞ」

『……パパ、本当にそう思ってる?』

「ああ」


「問32:最後に何か一言」

『なら、私は嬉しい』

「そうか、俺も嬉しいよ」


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「――はいカット……ってウォ!」

『パパ、パパ、パパ……パパ!』

「はいはい、落ち着けって」

『でも、パパが、パパだって……』

「変わらないだろう。それに、ミントが俺離れをするまでは、父親を気取るつもりだったしな」


 俺をパパと慕ってくれているんだ……パパとしての責任は取ろうと思っていたよ。


『なら、パパはずっとパパなんだね?』

「いや、だから『ずっと、ずーっと、パパのこと、大好きだよ!』……おう」


 メルスは 称号『□リコン』を 入手した

 頭にそんなイメージが浮かばないことを、俺は深く願った。



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