AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します

山田 武

偽善者と報酬カタログ その02



『……なあ、メルス』

「なんだ、ネロ。今の俺はかなり深刻に悩んでいるんだ。ふざけた質問だったら、眷属相手に悶々と感じている感情を流すぞ」

『それは常時流しているではないか。その所為で吾は軽い百合も嗜むように……と違った違った。吾が言いたいのは、そこの魔方陣のことだ』

「だからこそ……それがあるからこそ、俺は今悩んでいるんだろうが。魔法陣の解析が全然進まないし、だんだんとMPが減ってる。
 ……ハァ、それでも進展率はちょっとずつ上昇しているから、俺としては別に良いんだけどな」


 俺の目の前には、何度も何度も経験をした転移を発動目の前を真っ白にする魔方陣が設置されている。
 え? どうして在るかって?
 というわけで、そのときのシーンを再上映リバイバルです。


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夢現空間 修練場


 今後のことも考え、場所を移動した。
 カタログを開くと、前回同様リストが出現する――。


報酬カタログ:撲滅イベント 999999P
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武具系

魔道具系

アイテム系

***********************特***殊***系***統***********************


 ――前にでてきたリストと、カテゴリーは同じである。
 それでも武具や魔道具のリストを見てみると、前回より強力な物が陳列していた。


「『STR+70』に『HP500回復』か……それでも俺の古い生産技術の方が上みたいだな」


 武具系・アイテム系の中でもかなり上位の物を例に挙げてみたが、正直俺が偶に作っているパクリ武具や秘薬の方が、強力な力を発揮してくれる。
 ……またアイツらに押し付けるかな?

 魔道具は……どうだろうな。
 自分には無い発想を感じる魔道具を幾つか見られたが、それも何となく自分造れるという感覚があった。

 ――(生産神の加護)は、全ての努力を踏み躙るチートだ。
 例えそれがどれだけ難解な技術によってできた代物であっても、一度見ただけで全てを識れてしまう。

 他の生産者から見れば、一種の呪いなんだろうな。
 自分は相手の技術を理解できないのに、相手は自分の技術をすぐに見抜き、更に昇華させて使ってくる……普通は目と耳を塞いで、現実を否定したくなるぞ。

 ま、運営が用意してるもんだし、世界の何処かでちゃんと使われていた物なんだろう。
 わざわざプレイヤーメイドの品を出したとも思わないから、この理屈は当て嵌めないでおこう。


「魔導機兵か……神性機人と似てるけど違うな……パクリか劣化か量産版か?」


 中でも俺が注目したのは、とある自動人形オートマタシリーズである。
 魔力を籠めることで一時的に戦闘を補助してくれる魔道具……既に口で言っちゃっているが、似ているのだ……アンの姿と(いや、設計図的にな)。

 ある日の口論の末に、触診やエコー的なもので設計図を描いてやらー! と言質を取られてしまい……描いてあった。

 するとどうだろうか、アンに使用さわれている(と思われる)部品を劣化させたような材料を使用した設計図が、自動人形を見ると頭にイメージされるのだ。


「ネロ~、魔導機兵について何か分かる?」

『む。アレはダンジョンや遺跡で発掘されていたものだな。なんでも、アンのような本当の機人を模して造られたとのことだ』

「……結構知っているみたいだな。なら話が早いや。なんで魔導なのか……そこが気になる。教えてくれ、ネロ」

『それは神代魔法を組み込んでいるからだ。
 メルスは神代魔法を簡単に手に入れるが、今の――そして過去の人々にとって、それはとても理解できない……まさに神話上の技術だった。それらを一部だけでも再現しようと造り上げられたのが魔導具……魔に導かれし者だけが造り上げられるものだ』

「(それなら、どうして魔道具の中に入っているんだ?) ……ま、運営のことだし別にいっか。どうせP的に、普通は手に入らないし」


 魔導機兵を入手するのに必要なPは300000なのだ。
 俺でも3体しか入手できない……けど、俺には眷属がいるし、別に要らない。
 それより、選ばなければいけないものが存在している。


「特殊系統っと……今回も便利なものばっかり並んでるな~」


 何よりも、前回以上に消費するPが増えている。
 ……そんなに多くPを消費しなければいけないプレイヤーばっかりだったのかな?

 今までのリストを見ていた時から思っていたが、性能が向上した分、消費Pもまた増えているようだ。
 今まではそれで説明が付いたが、特殊過ぎて性能というものが向上できないものですら消費が増大していた。


 閑話休題一つぐらい欲しかった


「――お、あったあった」


 そして、お目当ての品を発見する――。


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個人面談(豪華特典付):999999P

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 ――また在ったと思ったが、また逢ったとも思った。
 二人共、どうしてるんだろうな? ……って俺、そもそもこの場所から出られのだろうか……。

 期待や疑念は体で渦巻くが、それら全てを捻じ伏せて、前回同様の処理を行っていく。


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   ほんとうにえらぶのですか?

  〔はい〕       〔いいえ〕

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 そして〔はい〕をタップすると、目の前が真っ白になり、光に包まれる……とでも思ったか!


「――さすがに疑うわ! そんな簡単にここから出れる手段、俺が無視するわけ無いだろうが!! (――<干渉魔法>)」


 何処にでも飛ばせる魔方陣、それがあれば眷属達をここから移動させられる!
 何としても見つけてみせる……少しでも目的へと近付くために!


 そしてその目論見は成功し、魔法陣は待機状態でその場に残った……俺の膨大なMPを引き換えにして。
 そのMPもそろそろ尽きる。
 ――ここからが、本番だな。



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