AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者と『最弱最強』 その05
「おーい、完成したのかー?」
『メルス、ちゃんと見てなかったの? 折角アリィがメルスを恐怖のどん底に落とす、最恐最悪のゲームを作ったっていうのに……』
「さ、最恐最悪……」
何その響き!? 絶対面倒そうな内容だろ。
ドヤ顔は少々鼻に付くが、美少女がやっているので問題無しだ。
《クーは楽しみだな~。そっちの方がスリル満天、ドキドキワクワクな内容みたいだし》
「(そういえば、もうクーは確認できるんだっけか)」
《うん、無理ゲーじゃ無いことは確認済みだから安心して良いよ。メルスはアリィとの勝負に勝つだけだね♪》
クーは楽しそうに……そう言った。
彼女にとっての無理ゲーは、絶対に勝てないものだけである。
難易度選択の最上級だろうと、クリアができるならば無理ゲーではないぞ。
『……コホンッ。それじゃあ発表するよ――これが、アリィの考えたゲームだ!!』
アリィがそう言うと、更新されたルール用のホログラムが再度表示される。
......................................................................................
ゲーム:加留多5番勝負
制限時間: 参加人数:2人
内容:アリィの指定したゲームを3つ、メルスの指定したゲームを2つ、それぞれ加留多を用いたものより指定する
最終的に勝利数の多い方の勝ちとなる(同率となった場合、もう一ゲームメルスが指定したものを行う。それで勝敗を決める)
ルール:各ゲームごとに自分たちで確認する
終了条件:どちらかが3勝・降伏・盟約違反の内、どれかを満たす
盟約01:互いに対等と判断したものを賭けなければならない
02:殺害を禁じる
03:盟約に誓った賭けは、絶対遵守
勝利報酬(アリィ):お菓子の奉納・干渉禁止
勝利報酬(メルス):アリィの眷属化
......................................................................................
傍から見ると普通に見えるが……
「お菓子の奉納ってなんだ? 干渉は不可能にされるのに、お菓子だけ見繕うのか?」
『もちろん。アリィはあのお菓子が大好きになったんだよ! 外はさっくりで中はしっとり、固過ぎず柔らか過ぎないあの食感……あれはきっと、アリィを堕落させる兵器だよ』
「兵器なら食べなければいいじゃないか」
『そうはいかないんだよ! 一度食べたら止まらない、それを食べたらどうなるか……メルスが一番分かっているでしょ!!』
うん、だからこそ大量生産していたんだしな……。
期間限定や地域限定の味もいっぱい出てたし、思い出しながら作るのに苦労したよ~。
「ルールを各ゲームごとに確認するって書いてあるけど、アリィはどんなゲームをやる予定なんだ?」
『それは、メルスがこれを受けると言ったら教えてあげる』
「……まあ、カルタを使うってことは、かるたかトランプになるんだろうし、ある程度分かるがな」
昔からコミュ障を拗らせていた俺は、一人でできる暇潰しを探していたことがある。
そのときにトランプやカルタを使うゲームは一通りやってみたぞ(多人数のゲームは内容だけ見ていた……やる相手いないしな)。
「よし、それじゃあ受けて立つ! さっさと始めるから、ルール決めようぜ」
『え? あ、うん』
「どうした? そんな、変な自分みたいなものを見たような顔をして……」
『……ってどうしてアリィが変にならなきゃいけないのよ!! ただ、メルスがどうしてすぐに勝負を受けてくれたのか、気になって』
えっ、そんなことだったの?
「そりゃあアレだ。アリィが自分自身に絶対的な自信を持っているからだ。
そういう奴は、不正なんかしないで真正面から相手を倒す。小細工なんかしないでも、勝てるだけの力があるんだからな。
だから俺はそこに関してはアリィを疑わない。俺もアリィの自信を信じてるいるから」
今までの言動からそう思う。
アリィは確かに横暴で思考が年相応しか無いと思うが……それでも、アリィ自身に実力がある。
だからこそ、アリィはここにいるんだろうし、そこまで傲れたのだろう。
『ッ! ――――!?』
さすがに怒っているなー。声にならない何かを発してるよ……エクトプラズマか?
それにしても、俺のこの考え方に気付いただろう。
顔を真っ赤にしてやっぱり変な顔だ。
ま、可愛いのに変わりは無いがな。
『ほ、本当にそう思ってるの?!』
「とりあえず最初のゲームを決めてくれよ。ルールを決めないと始められるものも始められないしな」
『そ、それもそうよねっ。さ、さぁメルス、篤と聴きなさい! 最初のゲームは――神経衰弱よっ!!』
神経衰弱――説明する必要も無いぐらい、シンプルなゲームだ。
『互いに2枚の札を捲って、同じ数字が書かれている札を捲ったらそれを取れる。違っていたらそれは元に戻す』
「最終的に取った枚数が多い方が勝ちか?」
『そっ。だけど、一つだけ大切なルールがあるの――』
ふっふっふ、【瞬間記憶】と【完全記憶】があるこの俺に、記憶勝負を挑むなど笑止千万だ。
この勝負、俺が貰っt『スキルの使用は禁止するわ』……はへ?
『勝負に使わなきゃいけないヤツ――アリィの【加留多】とメルスのそこの魔道具のスキルは例外として許可するけど……他のスキルは今回のゲームでは使用不可にしましょ』
「……あ、ほぇ?」
そんなこんなで第一回戦――『神経衰弱』が始まります。
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