AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します

山田 武

偽善者と元英雄達 中篇



夢現空間 修練場


 修練場までやって来た俺は、早速彼らと戦おうとしたのだが……。


『メルスさん、少し良いですか?』

「ん、何かあったか?」


 アマルが俺の元にやって来た。


『その……その姿はいったい……』

「あぁ、気にするな。俺のスキルの影響だ」

『そう……ですか』


 現在の俺は機人因子を注入した事で、色々とメカチックになっている(イメージ的には異界序列が十位の種族だと思う)。
 この因子、当然アンから入手した物なのだが、因子って機械の体からでも取れるんだ~と思った。アンにそれを訊いてみると――


『機人族も、子供の作り方は同じですので。当然、わたしも出来ますよ……』


 ――いえ、出来ますよと言われても……。
 反応に困るアンの発言は置いておくとしても、俺はかつて望んだロマン種族になる事が出来たのだ。
 ……あ、注入時には、こんなログが発生したぞ――


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

神性機人因子 10割のオーダーを確認

種族スキル(振動統制)の使用を許可

種族スキル(自動メンテナンス)の使用を許可

種族スキル(変形)の使用を許可

種族スキル(人化)の使用を許可

種族スキル(感覚共有)の使用を許可

種族スキル(魔力砲)の使用を許可

種族スキル(光子銃)の使用を許可

種族スキル(魔素吸引)の使用を許可

種族スキル(再現武装)の使用を許可

種族スキル(情報解析)の使用を許可

種族スキル(並速思考)の使用を許可

種族スキル(自動修復)の使用を許可

種族スキル(機械術)の使用を許可
→(機械術)は(機械操縦)に統合されます


因子を注入します――

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 初期からかなりのスキルが入手できた。
 ……余談ではあるが、(自動メンテナンス)と(自動修復)の違いは修理する箇所である。
 (自動メンテナンス)は体の内部を自動的に直していくスキルで、(自動修復)は体の外部を自動で直していくスキルだ。例を挙げるとすれば、先程取ったスキル(魔力砲)だな。
 このスキルは発動時、自身の腕を筒状に変えて攻撃をするのだが、相手によってはそれに気づいて発動する前に破壊される場合がある。発動後にそれを再使用する為のスキルが(自動メンテナンス)、破壊されても再使用する為のスキルが(自動修復)という訳だ。


閑話休題


「まぁ、俺の見た目は気にするなよ。……それとも、なにか? お前は見た目で相手を判断していたのか? 見ろよお前らの仲間を。お前と違ってやる気に満ちてるぞ」

『……い、いえ。何でもありません』


 そう言うとアマルは、仲間達の元へ戻って行った……何がしたかったのだろうか。
 ま、今はいっか。それより武器武器。


「今回は……自前の武器で良いよな? 折角スキルに記されていたんだし(ボソッ)」

《……そ、そんな! 我が王、私に命じてください!》

「いやだって、折角ロマン武器が用意出来るのに、どうして使う必要が……」

《それなら、前に御作りになられた物がありますよね? ぜ、ぜひ、それをお使いになってください!!》


 かなり粘るな。……正直、もうどっちでも良いんだが。

 俺は、考えを途中で止められるとすぐに飽きる性格なんだ。そして、そんな自分の性格を……俺は人生快楽刹那主義と呼んでいる。
 楽しい事だけ考えていれば良いんだよ。世の中は。
 俺は眷属や国民達が幸せになれる道を、子供の様な刹那の考えで実行に移しているだけだ。……その所為で、様々な各所に迷惑を掛けている訳だが、これだけは変わり様がないから無いんだ。
 ……少なくとも記憶からそれを理解している眷属達は、気にしないと言っていてくれるのだが……俺の問題点はこれ以上のものが幾つかあるからな。
 まぁ、今は置いておくとしよう。


「……(ハァ)分かった、ドゥル。"ミラクルリボン"を出してくれ」

《ッツ! 仰せのままに、我が王♪》


 ――嬉しそうだな、ドゥルさんや。
 ドゥルがそう言うと、俺の両腕に真っ赤なリボンが絡みついていく……どんな物かはバレていると思うが、少なくともこっちにこのリボンの持ち主は居ないだろう……居たら居たで、世界の破滅だな。


「よし、準備完了だ。悪いな、かなり待って貰っていたよな?」

『いえ、久しぶりに使う武器の具合を確かめる為の時間を頂けたので、こちらとしても有意義な時間でしたよ』


 ほんに主人公やなぁ。リア充で主人公、どうして彼らはネロに負けたのだろうか。いやまぁ、記憶を見たから原因は分かるけどさ。


「それじゃあ、始めようか。先手はそっちに譲るから、いつでも良いから掛かってこい」

『……では、行きますよ』


 アマルはそう言うと、ウルスと共に向かって来た。……うん、しっかりと何重もの補助魔法が掛かっているし、舐めている様子も無いみたいだな。
 ……だけど、本気過ぎるな~。俺って、まだティルに剣術だけで勝ったこと、一回も無いんだぞ。
 スキルを全部使えば勝つ事も可能だけど、折角俺に剣術を教えようとしてくれるティルに悪いしな。


 だけど、今はティルが相手じゃないし、対応は俺の自由だよな。
 俺は、向かって来る二人を視界に捉え、(反射眼)を使いながら全てに対応していく……というのが俺の理想だったのだが――


『クッ……!』『ヤロゥ……』


 ――二人の持つ剣は、俺の意志とは関係無く動く赤いリボンによって、俺の元に届くこと無く防がれていく。
 そう、このリボンは自動防御機能が付いているのだ。攻撃の方は俺がその意思を持たない限りは行わないようにしてあるので、いきなり腕を撥ね飛ばされるような事は、恐らく無いだろう。


「……とりあえずは、このリボンを超える動きをしてくれないか」

『『『……ッ!!』』』


 ……ぁ、なんかすいません。



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