AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者と説明会 後篇
『……コホンッ。では、続きを――
訊いたアップデートの情報はまだまだ説明していないものがあります。スキルや職業、新アイテムの追加、更に……クエストです』
指輪を見て放心していたレンがそう言う。
『まずは、スキルに関する情報です。
今回のアップデートで、スキルの種類が大幅に増えたと聞きました。
戦闘系のスキルは勿論、耐性スキルや生活に関するスキル等……その数は100以上となっているらしいです』
スキル、たくさん増えたのか。
最近色々とスキルを習得していたから、そういったことへの驚きがあんまり感じられないな。
この感覚って、普通のプレイヤーは持つことができるのかな? 眷属(プレイヤー達)は外套を使えば擬似的にそれを感じられそうだが……UIが出なくなった今、その機能もしっかりと使えるかどうか分からないしな。
『職業の方は生活に関係する物が多くなったそうです。農民や野盗、樵や学者などの一般的な物がそれに当てはまります。戦闘系の職業も、侍や騎士、傭兵や陰陽士などの少し条件が存在する職業が新たに追加されました』
……なんでだろうか、生活に関係する職業が増えたことに違和感を感じる。まるで、そうなることが予定されているから増えた……そんな気がするんだ。
確認しなければいけないという焦燥感を抱きつつ、レンに質問を行う。
「レン、その新しく増えた職業に……隷属系の職業はあるのか?」
過去の王都イベントでは、ラルゴ村の人々が奴隷商の店の地下に捕らわれるなんて、胸糞の悪いイベントがあった。
だがその時の状況を思い出しても、隷属に関係する職業を持つ者が存在していなかったのだ。
このタイミングでそんな風になったということは、運営側でより職業を本格的に再現していくということになったのだろう。
ならば、隷属系の職業も増えてしまうのでは? そんな当たって欲しくは無い予想が俺にはあった。
否定して貰いたいこの質問――だが、レンの回答は予想通りのものであった。
『……はい。主様の予想通り、『奴隷』『奴隷商』『奴隷使い』などの職業や、状態異常に隷属が追加されたりしました』
「……そうか」
あんまり気にすることは無いんだけどな。
俺と俺の眷属は状態異常に殆ど掛からないし、解放のチョーカーことトーがいれば、隷属状態も外せるしな。
……俺が気にしていることは、偽善に関することだけだ。中世風の世界では、奴隷にならなければならない理由がある者がいたりする。幾ら偽善者だといっても、救った者の周りに被害を齎す行動はできるだけ控えたい。
……まぁ、これは要検討だな。
閑話休題
『――新アイテムは、一時的が耐性が強化される"レジスト○○ポーション"、一時的に能力値が強化される"○○○ポーション"などです。丸の中には、状態異常や能力値が入りますよ。
あと、隷属系に関係してか、裏で隷属の首輪が出回っているとの情報もありました』
……俺の世界は閉鎖空間だからそれの影響は無いと思うが、ルーンは元々奴隷商があった国だ。
アップデートの影響で何か変化が起こるかもな。国民の一部は始まりの町に行けるようにしているので、首輪を入手するかもな(試験や面接など、プレイヤー達なら嫌がりそうなことを行わなければ選ばれない、重大な仕事として国民に頼んでいる。ま、対象は大体老人だな)。
『最後にクエストなのですが……』
「ん? ……まさか」
『はい、主様の予想が当たっているかと。新クエストとして、さっき話に出ていた童話クエストや、フーラ達が関わった英雄クエストが確認されました。
更に悪いことに、プレイヤー達へ運命神からのメッセージもあったそうです』
運命神からのメッセージ?! フーラ達にレミル入りの【封印】を掛け、リアに眠りから覚めることが無くなるような呪いを掛けたクソのような神からのメッセージだと?!(自分でも分かる、説明口調だな)
『はい、何でも――
この世界には強すぎる力を持ってしまい、その力に苦悩する者や、自身の運命に死の宣告を掛けられた者達。そんな者が過去に存在しました。
わたし――運命神はそんな悲劇の運命を持つ者達を助ける為、運命を本に封じる事でその者の時を止めました。貴方達プレイヤーには、そんな者達を助けて貰いたいのです。
そんな本は世界中に散らばっています。プレイヤーがその本に触れることで、悲劇の運命を持った者が存在した世界に入ることができます。
お願いします、わたし達が救うことのできなかった子供達を救ってあげてください!
――などと言っていたそうです』
はっ? 何を言っているのだろうかクソ女神は。封じ込めた? 監禁したの間違いだろうが。救ってあげてください? そもそもソイツらがそんな運命になったのも、てめえの仕業だろうが!
頭はあんまり良くないが、俺でもさすがにクソ女神が悪いことは分かる。本当に何様のつもりでほざいているのだろうか――あぁ、一応は神様か。
「……この件はもう終わりにしよう。聞いているだけで運命神を探しに行きたくなった」
『そうですね、分かりました。ではこれで、私からの説明を終了します』
「SF」の人気作品
書籍化作品
-
-
29
-
-
11128
-
-
107
-
-
124
-
-
149
-
-
2
-
-
37
-
-
969
-
-
361
コメント