AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者と説明会 中篇
質問タイム
ユラルの時はフーラが質問をしたが、今度は誰が質問をするのだろうか。そう考えていると、ミントが質問をしてきた。
『ハイッ、どうしてリアちゃんは男の人の格好をしているの?』
俺はあんまり服装を気にすることは無いから言わなかったが、夢の世界から出てきたリアは、俺の作って燕尾服を着ている。
ベットから出て来た時、リアはドレスを着ていたのだが、どうやらそれは王様達が勝手に着せた物らしく、本人的にはあまり気分の良い物では無かったらしい(夢の中での衣装は男物だった気がするな、中世風の)。
そこら辺のことは彼女の過去に関わることだったので、あまり気にしないで新しい服を用意した……それでも、ドレスも似合っていると伝えたら怒られた。本当に何故だ?
ま、とにかく何故男装をするのかは気にしないで置いたのだが……ミントには無理だったか。はてさて、どう答えるのやら。
『どうしてと言われても難しいね。ぼくは子供の頃からこういう格好をしていたから……じゃ、駄目かな?』
『う~ん、ありがとうございました! それじゃあ、リアちゃんはドレスを着ることは無いの?』
『…………』
なんでだろう。リアはその質問に沈黙をすると、チラチラとこちらを見てくる。不思議に思ったので、念話を繋げてみると――
「(どうしたリア、こっちをチラチラと)」
《……その、メルスは、ぼくにドレスを着て欲しいのかい》
――って、そんなことかよ。
う~ん……正直俺は、どっちでも良いんだよな~。だって俺は、服装に別にこだわりが無いからな。
服装なんて別に何でも良いだろうし、大切なのは服では無く本人なのだし。……なんて答えを言っても、あんまり響かないしな~。
「(……まぁ、見ては……みたいがな)」
《そ、そうかい。なら今度着てみよう》
段々とテンションが上がっていくリアは、そのテンションのままに、ミントにあれこれと言っていた。
だけど、俺にその答えを聞いている暇は無かった。
(……結局、それを作るのも俺の仕事なんだろうか。銀髪でリアって呼ばれてるし、半森人だったら完璧だったのに……、まぁ、服の方針はあれをイメージしながらにするか)
家の眷属で、裁縫系のスキルを自身で所持している者は一人もいない。なので、眷属達の服は基本的に俺の趣味によって作られる。
……まぁ、大体コスプレのような衣装ばっかりになるんだけどな。
閑話休題
俺の説明は終わったので、次はレン達に説明をして貰うことにした。
『私達は、主様が事前に行方を晦ますと伝えられた方々の所に情報を求めに行きました。
運営の主様への対応を知る必要がありましたので。
プレイヤー達によると、主様が行方を晦ましたその日に、突然アップデートの知らせが来たそうです。
アップデートをするにはログアウトをしなければならないと伝えられ、元の世界に戻ったらしいのですが……前回の大型アップデートをイベントの最中でもした事を考えると、この仕組みは、主様にそのアップデートをされたくなかった為の選択でしょう。
そして、そのアップデートの内容について聞いてみると、かなりの物が更新されたそうです』
うんうん、色々と調べてくれているな。
……というかアップデート、俺もしたかったな~。……でも、レンの予想があったのなら、一体何を更新したのだろうか。
――さて、話の続きを聞こう。
『まずステータスですが、HP/MP/APの算出の仕方が変えられるようになったそうです。 それらの能力値を、VITやINTと別の物として考え、BPをそれのみに振り分けられる様になったそうです。BPを1振ることで、10Pが与えられるそうですので、2倍3倍されていた時よりも沢山魔法が使える……とアルカが言ってました』
「まさかのアルカだった!?」
怖えーよ、沢山魔法が使えることをわざわざ言うということは、つまりはそういったことなのだろう? 殺られるよ、このままだと殺られるよ絶対。魔法の雨に撃たれて、初めての死に戻り直行だよ。……ってあれ? その計算方法ってもしや……。
『またそれによって、極振りも可能になったそうです。VITが0でも、HPが0になることは無くなりましたしね。
運営側は、一定期間能力値をリセットできるアイテムを配布したらしいのですが……ありますか?』
「…………いや、無いな。リセットって、どういう仕組みだ?」
『単純に、今まで振ったBPが100%還元されるそうです。一定期間を過ぎますと、還元率が下がるそうですので、あまりやる人はいなくなりそうな方法ですけどね』
「俺の場合は、お前らの所為で補正値だけでとんでもないことになってるし、リセットすることも無いだろうな」
本当に制御するのが大変になるぐらいに強化されてしまったからな。素の能力値の百倍だぞ? どこの界王の技だよ。
そんなボケを一人で考えていると、レンが突然咳払いをしてから、こう言ってきた――
『……ア、ソウイエバ、ワタシモユビワガホシイナー、ナーンテ』
「いや、なんでそんな棒読みなんだよ……ていうか、文脈が全く繋がって無いぞ」
全く、言うのもいきなり過ぎるだろう。
そんなことを考えていると――
『ワ、ワタシモモラッタナイデスネー』
『……ナイ』
「……お前らもか」
『パパ、皆にあげるなら私にも頂戴!』
「お前もか!」
眷属の中で指輪を貰って無い者達が、揃ってそう言ってくる。あぁ、もう。
「折角渡すタイミングを考えていたんだが、まぁ良いとするか。ほれ、一人ずつ並べ!」
『ご主人、キスも忘れずにな~』
「……分かってますよ。でも、本人が嫌がったら無しだからな」
『……主のキスを拒否する眷属など、いないと思うのですが』
リョクの予想は当たったらしく、指輪を渡しながら何度か説得したが、結局誰もキスを拒否する者は現れなかった……殺されるかもしれない、姉妹のお母さんに。
俺はそんな未来に怯え少しビクビクしていた。だって、お父さんが怒られている時、当時の俺、その覇気に体が震えたもんっ。
……でも姉妹の為だ、二人に関しては脱出した後に報告しに行くとするか。
そんな決心をしてから、俺はレンに話の続きを促した。
コメント