AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します

山田 武

偽善者と状況確認 その05



 とりあえず落ち着いた後、二人にも説明をしてから、アン(名前が無いというので付けたぞ。アンノウンだから)に色々と質問をすることにした。アンの会話方法は、昔の二人と同じ念話だったので、二人にも(念話)を繋げるようにアンに伝えたら、行ってくれた。


『……それで、君はマスターの封印されているスキルを知っているのかい?』

《はい、全てではございませんが半分なら、
 メルス様の封印されたスキルの内、二つのスキル名は(万象変化)(異端種化)です。残りの二つに関する情報は、受け取る前に運営からの妨害を受けて、知ることができませんでした》

『……誰から?』

《……すみませんがそれも分かりません。本来、わたしという人格は誕生する者ではありませんでしたので、受け取ろうとしたという大まかなイメージだけを覚えていました》

「それなんだが、どうしてアンは誕生したんだ? 一応心当たりはあるんだが、念の為」

《それはメルス様のご想像通りだと思いますよ。わたしは、メルス様の(色々と言いたいことがあるな~)というオーダーに(適応)と(アレンジ)が応えた結果生まれた者です。具体的には、メルス様の持つ[スキル共有]を介して入手した(自我の花)を(アレンジ)が改変した創られました》


 あぁ、やっぱりそうだったか。今までの会話を聞く前からなんとなく予想だけは付いていたんだ。
 これまでの俺の経験上頭の中に突然語り掛けてくる声は、念話を使った眷属を除けば、自我が目覚めた装備やアイテムばかりだったからな。
 しかし(万象変化)と(異端種化)ね~。響きだけで恐ろしい能力を持ってそうなんだが。


「それで、その二つのスキルってどんな能力なんだ?」

《はい、(万象変化)はメルス様の肉体を神器に作り変えるスキルです。装備できるのはメルス様が許可した者だけですが、装備した者に様々な効果をもたらす強力なスキルです。……まぁ、色々とですね、色々と(ボソッ)》


 あれ? 何か不穏なことを言って無かったか? 
 しかし、俺を神器化? 男の武器化に何の需要があるんだろうか。
 戦艦娘とかは、人気になってそうだがな。


《――では続きを。
 もう一つのスキル(異端種化)は、メルス様の持つ因子を同時に扱う為のスキルです。現在の(因子注入)は、一つの生物に一つしか同時に因子を注入できません。ですが、(異端種化)が解放されれば、メルス様はその制限から解放されます。現在、プレイヤーの中には混血種は居ませんが、こちらの世界には存在しています。混血種は種族スキルを複数種持っていたり、身体的特徴を複数種分持っていたりしています。しかし、いかに混血種と言っても、血を交わらせることのできない種族との混血は存在していません。
 メルス様の(異端種化)はそんな種族の因子も注入が可能ですので、混血種よりさらに上位に存在する異端ともいえる種族を創りだせます》

『……同時に注入できる因子の限界数は?』

《限界数はLvが上昇することによって増えますが……通常は4つが限界です》

「……(因子注入)の方もなんだが、因子を注入することのデメリットは何なんだ?」

《特にはありません。強いてあげるなら……制限時間があるのが唯一のデメリットかと。それも、Lvが上昇すればほぼ気にしなくなるぐらい長くなると思いますよ。(異端種化)を使うと、同時に使う因子の数分制限時間が短くなります》

「成程……教えてくれてありがとう」


 1/4クォーターが限界かなのか。
 今の俺には使えないスキルだが、手に入れるのが楽しみになって来たな。さっきまで恐ろしいなんて言っててごめんよ。


「だけどさ、何でアンはプレイヤーとか知っているんだ?」

《……グー様、まだ説明していなかったのですか?》

『あははは、説明する機会が無くてね。
 ――実はねマスター。僕が昔(収集者)や(情報解析)を使って見つけたマスターの地球における記憶の一部を、他の眷属も知れるようにしてあったんだ。あくまで、地球の世界観とかの当たり障りのないことや、AFOというVRMMOの存在とかだけにしておいたけどね』

「……グー、そうやって記憶を分けれたってことは、お前は全部知ってるってことなんだよな」

『あははは、空は青いね~』


 そ、それは! 俺がよく言う誤魔化し方!!
 AFOでは使ったこと無いのに。やっぱり知っていたな。俺の恥ずかしい所が……。


『僕は【強欲】だからね。……それに、マスターがイメージした魔女も、自分で知識欲の魔女って言ってたんだし……髪色とか全く違うけど』

「そういうメタな発言、今は止めなさい」


 あの魔女はアニメには出なかったんだから知らない人もいるでしょ。俺が見れる範囲まで小説の方で全部見たからグーも知っているのかな?


『まぁとにかく、マスターの知識は(異界知識)という形で周りに送っていたよ』

「……本当に当たり障りのない部分だけなんだよな」

『うん、約束するよ。(僕にとっては)当たり障りのない所だけだよ』

「そうか、なら良かった」


 何だろう。いつも俺がやってるような間があった気がするが、気の所為だろう。グーに限って隠し事をする筈が無いよな……無いんだよな。


「よし、とりあえずは良いとするか。アン、結局(適応)が発動した結果、ステータスはどうなったんだ?」

《まず、【天魔】スキルは全て復元に成功しました。復元した【天魔】スキルは、種族スキル【天魔】として、[不明]に統合されました。これにより、メルス様は因子を注入しなくても、【天魔】を発動可能となりました》


 つまり、今まで通りになったってことか。
 (思われし者)には、成長促進効果もあったから、{成長阻害・極}の効果も弱まるかな?


《そして、メルス様の因子への反応から、耐性スキルを3つ習得しました。これらのスキルは、(適応)が復元した(異常無効)の中に統合されました》


 あれ? 復元できたんだ。
 そういえば確かにそんなことを最初に言っていた気がする……。


《はい。復元には過去の経験が必要となりますが、(異常無効)が持つ経験量が必要量を超えていましたので、成功しました》

『ふーん。マスターのスキル内で、復元が可能なスキルはどれくらいあるの?』

《……不明です。今回の(異常無効)は、メルス様の身体的異常に併せて、:封印:の内側から効果を発揮しようと発動をしていました。
 それを(適応)が発見して復元に必要以上の経験量を確認、(アレンジ)でスキルの一部を改変、新規スキルとして偽装し再現させたのですが、それは元々状態異常に近い封印状態を弱めることのできた(異常無効)だからできた技だと思います。
 他のスキル達に:封印:を破れるかどうか、それはまた別の問題です》

『……あぁ、マスターはこの展開まで読んでアレを用意していたの?』

「いや、偶然だな。俺はグーやレンみたいに頭が良い訳じゃないからな。あくまで俺が利便性を求めて用意しただけだ。……全スキル分用意できた訳じゃ無いしな」

『《……?》』


 あれ? グー、こういった記憶は提供しておこうよ。ま、説明するのも楽しいし良いか。
 そう考えながら、俺はこの問題を解決できそうなアイテムを取り出す。



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