AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します

山田 武

偽善者とユニーク その01



始まりの町


 ログインしてからやることを考えていた俺にナックルからメッセージが届いていた。


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From:ナックル

ダンジョンに送って貰ったんだが、多分運営によって戻されてしまった。
だが、ギルドの大半が迷宮にまた行きたいと言っていて困っている。
もう一度あの迷宮に連れてってくれないか。
ギルドはここにある。できるなら来てくれ。

【画像】

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 ――てな感じだった。そういえば、送ったなダンジョンに。シャインやイアとの戦い(w)
ですっかり忘れていた。で、イベントが終了したから元いたエリアに戻されたと……どうしよっかなー。現在、ダンジョンはダミーコアによって運営されている。人形の中に入ったレン達が今だに目覚めていないからだ。今まで聞こえていた声が聞こえないので少し寂しい気もするが、彼女達にも肉体はあった方が良いしな(べ、別に肉体があった方がイチャイチャできるとか……そ、そう言う訳じゃ無いからね)。


閑話休題ツンデレツンデレ♪


 と言う訳で、俺は今始まりの町にある"ユニーク"のギルド前にいる訳だが。


「……デカくね?」


 そう呟いてしまうぐらいに、デカかった。
 見た感じ高さ15mの3階建てって感じだな。
 本来、ギルドハウスを建設するためのアイテム"ギルドハウス建設券"には、ギルドハウスを建設するには、王都の冒険者ギルドに行く必要があると書かれていたんだが……。何か別の方法でもあったのだろうか。当時の俺なんか、ギルドメンバーが誰も居なかったから諦めたのに。
 まぁでも、今はギルドハウスっていうか、ギルドキャッスル(?)と呼べるような城物(誤字に非ず)を持ってるから良いけど。


 とりあえず、入るか。
 そう決めた俺は、ゴクリと唾を呑んだ後、扉を開けて中に入った。


「ごめんくださーい。みんなの求める【ダンジョンマスター】メルスがやって来たぞー!」


 そう叫んでみた。いやー、こういう慣れてなくて場違いな場所に行くと、気が動転してさ~。自分でも訳分かんないことを言っちゃうんだよな~。
 そんなことを考えていると、上の方からドタバタと階段を駆け下りてくる音が聞こえてくる。


『しっしょーーう! 待ってたよー!』

「ん?……(ポンッ)おう、ユウか」

『あれ?! もしかして僕忘れられてたの?!』

「いや、そんなこと無いぞ。ただ、少しユウという名前を思い出すのに時間が掛かっただけだぞ」

『それを忘れたって言うんだよ!』


 なんだろう、ユウのテンションが凄い高い気がするんだが。あ、それと今言ったことは本当だぞ。俺って昔から、人の名前を覚えるのに時間が掛かるタイプで、何回かその人と会話して印象を覚えないと、名前も覚えられないんだよな―。
 そうこうしていると、他のメンバーもやって来た。


『来てくれてありがとうメルス。
 ――で、どうなんだ? 頼めるか?』

「あぁ、別に問題は無いぞナックル。ちょっと待ってろ、今準備する」

『……準備? あぁ、また門を用意するのか』

「いいや……だが、見てれば分かるぞ」


 俺はそう言ってから、転移魔法陣を用意する。この転移魔法陣、作り方は簡単だ。転移門の魔素の流れを魔法陣として写し取り、俺自作の布(特殊)に刻むことで作った。
 今まではあまり上手くいって無かったのだが、<合成魔法>と<混沌魔法>を(まぁ、別々にだが)使うことで"空間転移"が布の中に収まった。
 ……自分でも説明が上手くいって無いのが分かるなー。基本的に俺の生産は【生産神】による補正と像力で行っているものだ。だからできるできないが俺の技術に関わらず決まってしまうことが良くある。
 一応技術を磨こうとはしているのだが、俺は現実ではとても不器用だからそういった作業ができないんだよ。……ハァ。こっちだったらDEXは∞だというのに。


 と、考えている内に魔法陣の設置が完了した。ちなみに、これを作るのに現実時間で大体30分ぐらい掛かる。俺一人が使う魔法陣ならすぐにできるのだが、他の人が魔力を籠めても動く魔法陣を作るとなると難しくなるのだ。
 まぁ、俺自身は魔法があるから必要ないんだけどな。


「――よし、後は魔力をこれに流せば前に転移された所に移動されるようにしたぞ」

『おぉ! さすがメルスだな』

『さすがメルス殿だ。どうかな、今からでも儂の副リーダーの席を貰ってくれないか?』

「遠慮しておく。そんな大層な仕事は俺には向いてないしな。ショカツみたいな頭が良い奴がやるのが良いんだよ。俺には、通りすがりの一般人ぐらいが似合ってるよ」

『ねぇねぇアルカ、僕達相手にあれだけ無双していた師匠が通りすがりの一般人なら、このAFOってどうなってると思う?』

『そりゃーもう終わりでしょ。だって、一人で全プレイヤーを相手にして勝ったでしょ? そんな強さの一般人がたくさんいたら、どんなイベントやクエストだって、すぐに終わっちゃうじゃない。そんなどんなことも直ぐに終わるゲームなんて、誰もやらないわよ』

『それもそうだね』


「おーい、全部聞こえてんぞー」


 別に良いじゃないか。俺だって自分の経験値チートぐらい、自覚してるわ! だけど、それだけじゃないか。俺から初期設定で天使になれたり、{感情}を入手できただけのただのラッキーなプレイヤー……それだけじゃないか。


「……ユウ、アルカ、PvPヤロウゼ」

『あれ師匠、なんか変だよ』

「キノセイキノセイ。ソレヨリヤロウゼ」

『アンタ……まさか』

「サァテ、イッパンジンノホンキヲミセテヤルカ」


 せっかくだし、本気装備で戦闘をするか。
 別に気にしちゃーいないんだよ、うん。ただ折角だし、色々と試したいだけだよ。
 ……ユウとアルカが怯えるような目でこっちを見ているし、他のメンバー達は――その二人を同情するような目で見ている。おいおい、被害者は俺だぞ。俺のた○ごボーロのように割れやすいハートは二人の言葉で少ーしだけ、粉状になっちゃったんだよ。


「折角だ。ダンジョンの3層に闘技場を用意してあるから、皆で行こうぜ」


『……ハ?(×14)』


 みんなの気持ちは一つになったみたいだ。



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