AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します

山田 武

偽善者と報酬カタログ その03



???


『お久しぶりですね、メルスさん』

「えぇ、久しぶりですね、レイさん」


 光の中から現れたのは、かつて俺が名を決めた――先程までシンクが言っていたGM01こと――レイさんであった。
 シンクがお姉様と言うだけあって、二人をよく見るとさすが姉妹! と言えるぐらいに容姿が似ていた。異なるのは、目つきと髪色ぐらいだ(前に会った時は説明しなかったが、彼女は純金のような髪色をしている)。


『お、お姉様!? どうして此処に?』

『05、この場所が何の為に用意された場所か分かっているでしょう。此処が使用されたならすぐに分かります。……それで、どうしてメルスさんをここに呼んだのですか?』

『ふっふ~ん。今の私は只の05じゃないわ。お姉様と同じように、メルスから名前を貰ったもの――今の私はシンクです、今度からはそう呼んでくださいね、レイお姉様』


ヒューーー

 シンクがそう言った瞬間、冷たい風がある所から流れ始めた気がする。
 そんな冷たい空気の発生源を探ってみると――そこには、目がレミルのようになっているレイさんがいた。


『05……いいえ、シンクこちらに来なさい』

『え? な、なんででs『きなさい』は、はい』


 レイさんは、俺と話した時より低めの声でシンクを自分の所に有無も言わさず招いた。


『―――――――――!』

『――――――――――――!!』

『――――――』


 それから彼女達は、俺から少し離れた所で話し合っている。声は聞こえないが、何やら揉めている感じだ。 ……ハァ、どうしてこうなったのだろう。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 と、言う訳であった。回想をするだけでだいぶ時間が掛かったな。
 しかし、回想している間もずっと話していたよあの二人は。姉妹水入らずにしておき、特典の方は後で要求すれば良いかな?
 そんなことを考えていた俺の元に、やっと話が終わったのか二人がやって来た。


『お待たせしたメルスさん』

『すまないわね、色々と聞かれてね』

「それは、別に良いんだが……」

『メルスさん、少し大切な話をして良いですか? 今後のメルスさんに関わる話です』

「ん? ……どんな話だ?」

『それは――メルスさんの今まで行った行動と、その影響についてです』

「それは大切な話だな」


 今までかー。そこまで凄いことをした覚えは無いんだがな。


『――メルスさん、貴方はどうやって合成魔法を使っているのですか?』


 レイさんはそんなことを聞いてきた。
 合成魔法は、俺の考えたAFO内に存在しないゲーム外のシステムだ。
 (並列行動)で複数の魔法を同時に発動し、(源素支配)で発動させた魔法を魔素単位で一つに束ねる。そんな面倒な作業をすることでできた俺の特殊技能だ。

 ――しかし、どうして今聞くのだろうか?

 そんな疑問は置いておいて、とりあえず説明をしてみる。


『やはり、そうだったのですね。
 良いですか、メルスさん。
 貴方の合成魔法は、元々設定が存在していたのです……神代魔法として』

「神代魔法?」


 義眼と義手をした魔王様みたいな人が使ってそうな名前だなー。


『神代魔法とは、太古の昔に使われた強力な魔法のことを指します。しかし、それらの魔法は今の魔法に比べて非常にMPを消費する為に、今の時代まで残りませんでした。
 本来、神代魔法の中でも合成魔法は、長い時間と複数の魔法を一つに束ねる為の巨大な魔法陣が必要……だったのですが……メルスさんは、独自のやり方でそれを復活させました。
 神代魔法は、本来プレイヤーが入手することは極めて難しいものでした。
 メルスさんはそんな代物をこんな初期から入手しました。
 運営はこれを知り、(合成魔法)のスキル所持者を確認しました……しかし、スキル所持者のリストには、誰の名前も載ってませんでした。
 ――ここまでは良いですか?』

「…………分かった」


 つまり(合成魔法)は実在しているが、俺の合成魔法はスキルとして認証されていない。
 ――簡単に纏めるとこんなところだろう。


『――続けますね。
 運営が次に考えたのは、メルスさんが(合成魔法)を別の形で習得した。と言うことです。
 運営はこの考えに行きつくと、すぐにメルスさんのステータスを運営権限で確認しようとしました。
 メルスさん、この後どうなったか分かりますか?』

「え? 俺のステータスを見たんじゃないか?」

『いいえ、見ませんでした……正確には、見ようとしたが見れなかった、ですね。
 運営がメルスさんのステータスにアクセスしようとした時、何者かの介入によって閲覧ができませんでした。ステータスの他にも、ログや現在位置の特定も同様です。私達、運営以上の権限の所持者となると恐らく――』

「――こっちの世界の神様ってことか」

『ッ!? 何処でそれを!』

「まぁ、色々とあってな。続けてくれ」


 勘だけどな。今までにあった干渉を思い出すと……それぐらいしか浮かばないんだよ。


『そ、そうですね……ゴホンッ。
 つまり、メルスさんは今、運営の第一級特異点として監視されています。運営からの介入はできない、できるのは映像として空間毎見ることか、メルスさんが何かをした時に発生する影響から、行動を推測することだけです。そんな観察方法でも分かることもありました。メルスさんがプレイヤーやNPC達を自分と同じ状態にできること、大量の称号やスキル・職業を所持していること、未確認の個人フィールドを大量に創りだせること等――運営も必死に監視してことで、メルスさんの秘密を探ってますね』

「……なぁ、これって何の話だったっけ。確か俺のやったこととその影響だったよな。運営は、俺を調べてどうするつもりなんだ?」

『運営は、メルスさんに干渉した神を探しています。理由は知らされてませんが目的はそうなのだと。メルスさんがやっていることを追っていれば、いずれその神と接触するかもしれないと思って……』

「……なぁ、レイさん」

『レイで良いですよ』

「レイs『レイで、良いですよ』レイ、それは飽くまでそれは運営の話だよな。俺関係無くね?」

『……バレました?』

「いや、レイが最初に言ったんだろう。『メルスさんの今まで行った行動とその影響についてです』って。それは神様がどうとか関係無いだろう? だから俺は違うと思った。
 レイ、影響ってなんだ?」

『メルスさんって少しせっかちですね。
 まぁ、確かに殆ど関係ないんですけどね。
 ですけど、一部だけなら関係があるんですよ……』


 そう言って、レイは本題を語り始めた。



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