AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
02-37 ダンジョン作製 その01
なんやかんやの果てに、俺は王位を捨ててジークさんへ返した。
……詳細は省くが、世界ごと別空間に運ぶ所業は神様認定されてしまうようだ。
お偉い様たちも俺が政治に関わるのは好ましく思わないので、このタイミングでは一時共闘してどうにかジークさんを納得させた。
代わりとして、転移門を設置させてリーンとの外交を行うように纏めておいたので、あちら側も不満は懐いていないだろう。
リーンといえば、リョクについて最近驚いたことがある──いつの間にか、上位種へ進化していたのだ。
その種族名は『大鬼王』。
ついにモドキの象徴である『魔』が外れ、純粋な鬼となった。
まあ、それがいいことなのかどうか、その判別が付かないんだけど。
魔物の成長速度はかなり速いので、人族よりも進化を経る回数も多い。
階級が高ければ、そう上手くはいかないのだが……さすが雑魚として扱われることもある魔子鬼から成り上がったリョクである。
◆ □ ◆ □ ◆
「しかし、ようやく余裕ができたな」
ほとんど外観は変わっていないが、世界変動による国民たちの不安を取り除き、リーンとの外交に関わる話をリョクや賢い魔中鬼たちとだいぶ詰めていた。
──そのため、さまざまな出来事を経ても俺のレベルはいっさい変動していない。
普通のゲーマーはそんな非効率なことを許さないとは思うが、俺にはリーがいるので問題はいっさい無かった。
溜め込めば溜め込んだ分だけ有効利用できるのだから、むしろ一気に上げるために溜めておいた方が得である。
「そして、ついでに就職でござる」
レイヴンを倒したためか、膨大な経験値が手に入っていた。
それを割り振り、いくつかの職業をカンストさせていた。
だが、一つだけそうした流れの中でやっていなかった職業があった。
王都の方もだいぶ落ち着いてきたので、今回はそれに就くことにしたのだ。
……のだが、アップデート以降気になる項目が増えた──
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転職 [絞り込み:固有]
【正義の勇者】・【正義の魔王】……・【?界??士】・【闘?】・【?中?王】・【?器?い】・【迷??】・【ス?ル?造者】・【神?し】・【死霊:模倣】・【断罪者:模倣】・【救??雄】
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二つ該当した、【死霊】と【断罪者】という職業──この後半に付く『:模倣』という文字に関してだ。
模倣はスキルでできると知っていたが……職業スキルという単語もあるからか、そちらも可能だったらしい。
「えっ、他の濃ゆい職業? ……いや、もうどこからツッコンでいいか分からないからスルーの方向で」
過多な情報に処理が回らなくなっている。
いま大切なのは、必要な職業に就くことだけなわけで──
「はい、転職っと」
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ステータス
名前:メルス(男)
種族:【天魔】 Lv50 
職業:【経験者】Lv30・召喚師Lv30・【聖具使い】Lv5・【魔具使い】Lv5・【生産神】Lv-
NEW
中忍Lv60 MAX →投擲師Lv1
暗殺者Lv40 MAX →刀士Lv1
【世界創造士】Lv1・【闘王】Lv-・【迷宮主】Lv-
二つ名:『模倣者』
HP:1100
MP:1250
AP:1100→1250
ATK:205
VIT:170
AGI:180→185
DEX:250→270
LUC:170
BP:0
スキルリスト
特殊 NEW
(武王闘気Lv-:職業)(創造の心得Lv1:職業)
(迷宮運営Lv-:職業)(刀の心得Lv1:職業)
(投擲の心構えLv1:職業)
(経験者の可能性Lv-)
\(忍者の心構えLvMAX)(暗殺の心得LvMAX)
SP:12
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……迷宮の主になることは間違っているだろうか。
今回メインとなる職業はこれである。
コアを解析して、これが無くとも管理をすることはできると分かっていたが、有った方が便利ということで……就くことを選ぶ。
職業スキルである(迷宮運営)は、その名の通り迷宮の管理に役立つ能力や補正がいくつも内包されていた。
就いてない奴は、マニュアルで管理しないといけなくなるらしい……どんだけハードなモードでやらせる気なんだか。
「なお、その他はなんとなくである」
日本人らしく『刀士』、より投げる際の補正が欲しくなって『投擲師』、レイヴンとの戦いで少し危なかったから【闘王】、創造を今さらだが楽にするために【世界創造士】。
特に最後、迷宮は一種の別世界の創造と定義してもいいと(勝手に)思う。
それに、過去の王都に丸々世界を運ぶのであれば、複数の世界を創る補正があった方がいいと感じ……こちらにも就いた。
「戦闘なら、レベルを上げた方が身体能力は上がるんだけど……それだと、より強大な相手とぶつかった時とイタチごっこだしな」
あくまで補正を受け、最適な動きがどういうものなのかを理解しておく必要がある。
体でそれを覚え、OFFにしているときでもある程度攻撃を捌けるようにしておけば、それは決して無駄にはならない。
「ちなみにこれ、やっていたら現実でも少しだけ効果があったでござる」
子供のように傘を振り回していると、少しだけこっちでの動きが再現できた。
身体能力に圧倒的な差があるので、それは一厘にも満たない。
……それでも、男なら興奮するだろ?
「やっぱりファンタジー世界と言えば迷宮。そして創作物のテンプレと言えばそんな迷宮の管理……夢が広がりんぐ!」
罠を仕掛け、宝箱を置き、自分で用意した強大な魔物に守護をさせる。
それか見た目麗しい魔物を……って、これは実現できるか微妙だな。
「それじゃあ、夢の第一歩を始めよう」
もちろん、俺のやりたいことは偽善者だ。
だがメインの目的とは別に、サブの野望の一つや二つ、人であれば抱くだろう。
……何より、迷宮は偽善の宝庫だしな。
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