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山田 武

02-04 武具創造【強欲】



「……よし、経験値ブーストも確認できた」

 リーのスキル(経験貯蓄)で溜め込んだ経験値は、無事注ぐことができた。
 お蔭様で『弓士』と(銃術)スキルがすぐにカンストし、銃を探さずとも遠距離の攻撃手段を得ることに成功する。

 唯一の問題点として、種族は種族、職業は職業、スキルはスキルの経験値でしか上げることができないことぐらいだ。
 だが、本来の目的であるレベルアップの停止はできているので些細なことである。

「というか、銃なんてハイテクノロジーをどこで見つければいいんだよ」

 少なくともここら一帯に、そのような貴重品は存在していない。
 古式な物ならば、どこかに存在すると思っていたんだが……いずれ探してみよう。
 
「さて、そして今回──ついに新たな武具を創造してみようと思う」

 現実リアルで構想を練りに練り続け、ついにある物を創造したいという明確なイメージを固めることに成功した。
 魔力のチャージをできているし、ようやく二つ目の創造を行うわけだ。 

 そして、生みだされるモノとは──





 なんて仰々しい前振りをしていたが、結局やることは前と同じ。
 高々に“魔武具創造クリエイト・イービルアーム”と叫ぶことで、俺の手に握られた魔武具が誕生した──

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万智の魔本 製作者:メルス

魔武具:【強欲】 自己進化型
RANK:X  耐久値:∞

今代の【強欲】所持者が創りだした魔の禁書
万物を収め、情報を知り尽くす
一度収めたアイテムは、魔力を消費することで自在に生成可能
情報の収集量が一定量を超える度、主が求める情報をその書に記す
また、この魔本は意思を宿しており、攻撃や主以外の者を拒絶する

装備スキル
(自我ノ芽)(存在菟集)(亜空収納)(万能吸収)
(形状変化)(情報解析)(収集成長)(?)……
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 情報を調べる時、一つに纏まっていないから探すことを面倒だと感じてしまう。
 だからこそ、インターネットという通信網によって完成した膨大な情報を人々は好んで使うのだ。

「そして発想を変えてみた──なら、あらゆる情報が知れる本を創ってみようと」

 万物を取り込んで解析し尽くせば、逆算的にすべてを識ったことになる。
 人の身で知れないような情報もあるかもしれないので、念のため補助機能として自動筆記の機能も追加しておいた。

「……ふむふむ、あれだけの素材を対価にして一つだけか。やっぱり、それだけ価値のある情報だったってことか」

 これまでの冒険で集めたすべての素材を押し込み、解析させることでそれなりの情報を得ることに成功した。
 ……まあ、レイドボスや『初めて』関連の情報もあるからな、当然とも言えよう。

 そんなこちらでの人生のすべてを捧げたとしても、禁書魔法を一つしか手に入れられないのだから末恐ろしい。

 指定しての習得だと足りなかったので、今回はランダムで魔法を習得した。
 あまり使いやすいものではなかったが、極悪非道な効果だったのが禁書魔法の妖しい魅力を輝かせていたな。

「あと、これも便利だな──“形状変化”」

 本の形をしていた【強欲】の魔武具は、グネリと存在を歪め──キーホルダーとなる。
 一度本に収めた品であれば、どんな物にでもなることができる便利なスキルだった。

 まあ、身に纏う物で無ければ効果を発揮できないので、鍛冶のレベリングの最中に作ったキーホルダーになっているというわけだ。
 持ち運びも簡単にできるし、これならただのアクセサリーとしての偽装工作もバッチリである。

「いずれは過去や未来も観れるような本に覚醒してほしいけど……何を取り込めばそんな力を得るんだか」

 まあ、まだ解放されていないスキルも多いから、そっちに期待しておこう。

  ◆   □   ◆   □   ◆

 武具創造も終わった今、つい先日考えたプランを実行しようと思った。
 ちょうど弓士のレベルもカンストしているわけで、どうせ来なければなかったのだし。

「さて、始めますか」

 ただしこれは、転職に対しての宣言では無い──もっと重要なことに対するモノだ。

「期待通りに働いてくれよー」

 キーホルダーとなっている魔武具を握り締め、ゆっくりと水晶に当てる。
 すると魔武具が妖しく光り、その表面に複雑な術式や文字の羅列を浮かべては消してを何度も繰り返していく。


 そんな時間がどれだけ過ぎたのだろう。
 ゆっくりと妖しい光が弱まっていき、やがて完全にその輝きが失せる。

「さて、どうなってるかなー」

 一度身を隠した状態で、キーホルダーから本の状態に戻した魔武具を閲覧する。
 ペラペラと取り込ませた情報が記載される中──新たに一枚のページが増えていた。

「いよしっ! 成功した!!」

 そこに記されているのは、ここに置かれた水晶に関する詳細な情報。
 水晶そのものを作り方や特殊な術式、どうやったら同じことができる物が作れるかという内容がきめ細やかに書かれている。

 これを見れば、水晶を模倣できる。
 わざわざこっちで隠れながら転職をせずとも、安全な場所で転職できるのだ。

「ついでに言えば、リョクたちの進化や職業関連のこともこれで解決だな」

 リョクだけは俺の従魔ということで、職業にも就けた。
 進化に関しても、特別な進化先を望まないのであれば水晶が無くともレベルがカンストしてしばらくすれば進化するらしい。

 だがこれがあれば、リーンに住む魔子鬼たちが望む進化先を選ぶことができる。
 もちろん適正云々で就ける限界もあるが、それでも選択肢が一本しか無い状態よりははるかにマシだろう。


 閑話休題みらいはふへん


 サブミッションもクリアしたので、そろそろ本題となる転職を始める。
 まあ、手を当てるだけなんだがな──

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転職 [絞り込み:適職]

銃士・投擲師・【?界??士】・【闘?】・【?中?王】・【?器?い】
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「それじゃあ、銃士を選択っと」

 わざわざ弓士のレベルを上げたことから分かるように、俺は今回銃を得ることを前提に作業を行っている。
 探す手間を面倒臭がっていたのは、確実に手に入る方法を持っているからだ。

「あと、これも習得しておかないと」

 カンストした(銃術)、その派生スキルである(魔法銃術:5)を習得しておく。
 ただの銃ではなく、弾丸に魔力を用いる魔法の銃を扱うためのスキルだ……これがあることはなんとなく察していたし、実際これがあったからこそやることも増えた。

 さて、今日はこの辺にしておきますか。
 次にログインしたら、水晶の製作を行うことにしよう。

  ◆   □   ◆   □   ◆

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ステータス
名前:メルス (男)
種族:【天魔】 Lv50
職業:【経験者】Lv30・召喚師Lv30・中忍Lv40・槍士Lv1・暗殺者Lv1・【聖具使い】Lv1・【魔具使い】Lv1・【鍛冶神】Lv-

NEW
銃士Lv1

二つ名:『模倣者』

HP:1200
MP:1350
AP:1250

ATK:180
VIT:155
AGI:155→160
DEX:215→220
LUC:155
BP:0

スキルリスト
武術
【武芸百般Lv40】
\(銃術Lv40:5)

NEW
(銃術)→(魔法銃術Lv1:5)

特殊
(経験者の可能性Lv-)
\(弓士の心得Lv30)MAX

NEW
(銃士の心得Lv1:職業)

SP:873
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