自称偽善者は電脳異世界に揺蕩う(旧:AFO ~(自称)偽善者のVRMMO(?)記~)

山田 武

01-06 初ログイン



 ワイワイガヤガヤと、騒がしくも賑やかな音が耳に入る。
 ふと目を開くとそこには、現代では見ることもできないような景色が視界いっぱいに広がっていた。

 コンクリートのジャングルは無く建物はだいたいがレンガを積んで表面を石材で覆ったしようとなっている……まあ、これはこれで新鮮だったが、それよりも驚くものがあるだろう。

 服装、これが創作物や劇などで見るような物であることだ。
 さすがにボロボロの服を身に通すなどという奴隷チックな人はいないが、デザインの無いシンプルな服を多く見たな。

 あとは……遠目から見る出店で何かを売っている様子も確認できるか。
 しかしプレイヤーの数が多く、かなり大騒ぎしている者がその大半なので日常風景を確認しづらい。

「──まあ要するに、この辺りは中世ファンタジーということなのか?」

 教科書に載っている写真では、俺の見る光景は中世の西洋だと掲載されていた。

 若干差異があるので、それがファンタジー補正だと考えると……まあ、そうなるよな。

「でも、いきなりゲームスタートなのか。そういえばチュートリアルも一切やってないのに、どうするんだよ」

 そんなことを考えていると──俺がそれを言うのを待っていた、と言わんばかりのタイミングで軽快な音が鳴る。

 ポーン
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初期クエスト01 町の外へ行こう!!

報酬:???

説明:まずは、町の外に行ってみよう
外へ出るためのコミュ力ぐらい……あるよね
東にある門以外は封鎖中だよ

    クエストを受けますか
   〔はい〕    〔いいえ〕
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「あるわ! ……た、たぶん」

 ふむ、どうやら運営は俺らを町の外に行かせたいようだな……行かないけど。

 だって、やれって言われたらやる気がなくなるだろ?
 とあるダチョウのクラブ的に、もう少ししつこく要求されない限り人は中々行動しないものだ。

 ──俺もまた、そうした輩の一人。

 もしかしたら、粘れば粘るほど報酬の部分に新しく何かが記されるかもしれないし。

「取れるだけ取ってみようか……あ、みんな行っちゃうんだ」

 だが、どうやら他の方々は違うようだ。

 全プレイヤーが東の方向を目指し、進軍を開始している。
 兵隊のように列を組んで、揃った足並みで歩を進めている。

 たまに急ぎで向かおうとして、周りから冷たい目で見られている奴も見受けられた……善は急げって言うのにな。

「まあ、それでも俺は自由に動こう」

 というわけで〔いいえ〕を押して、町の散策を始める。

 まずは、マップを埋めることから始めていこうか。


  ◆   □   ◆   □   ◆


 ふんふんふん、はーにゃにゃにゃーん♪

 一時間後、元の場所に戻ってくる。

 未だに初期地点である噴水から、大量のプレイヤーが現れたは少しして東へ向かう。
 ……生産工場を見ているみたいだ。

 この町には色んな場所があった。
 武器屋や衛兵所、スラムだって存在していたが……一番感動したのは冒険者ギルドだ。

 そう、ギルドに登録したら絡まれる、なんてこともあるのかもしれないな……たぶん無いと思うが。

 だってそういうのってプレイヤーの中でも選ばれたリアル充実組しか無いだろう……いや、俺が絡んでみれば良いのでは?

 何をするのも自由だし、男と女の中を結んでやるのも偽善の一興では?

 鼻歌雑じりに完成した地図マップとプレイヤーたちを眺め、そんなことを考えていると──。

 ピコーン
≪称号:『分からず屋』を入手しました≫

 再び音が鳴り響き、俺のこれまでの行動を評価しての称号とやらを寄越した。

「なんっだと。なぜ、俺のリアルでの呼ばれ方の一つを知っている!」

 いやまあ、別に良いんだけどな……とりあえず確認するか。

 メニューを開いて新しく表示された称号リストとやらから、『分からず屋』に関する情報を調べてみる――。

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称号:『分からず屋』

特典:スキル(優越Lv1)

会得条件:初期ログイン後一時間(ゲーム時間内で)、町の外に出ない
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 ……(優越)ってなんだよ。

 いや、確かに思ったさ。
 運営様の言う通りとか、つまんな他の奴らだなーとか考えたましたよ。

 まあ、スキルの方もとりあえずチェックしてみよう──。

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特殊スキル:(優越Lv1)

説明:いつでも優越感に浸れる
レベルが上昇することで、時間と密度が向上する
サブスキルに入っていてもレベルは上昇する
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 なぜだか知らないが、見てるだけでも(鑑定)が上がったよ。
 もっとチェックしたほうがいいのかな。

 え? 効果? ……一々言わなくてもいいだろう。

「まあ、称号警告も来たし……そろそろ町の外に行くか」

 ゲーム開始より一時間後にして、ようやくチュートリアルを始める俺であった。


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