我が家の床下で築くハーレム王国

りょう

第119話愛の誓い

「翔平!」

「翔平君!」

「雪音、正志!」

 まさか結婚式の式場が我が家だという事実に驚かされていると、一ヶ月振りに聞く声がした。

「まさかこんな早い再会になるなんてな」

「当事者の俺が一番驚かされているよ」

「二人とも似合ってるね」

「ありがとう雪音」

「さあさあ二人共、お忘れのようですが式はこれからなんですからね」

 再会の喜びに浸るのも束の間、サクヤが割って入ってくる。そういえば今俺達はあくまで入場してきた立場なので、式自体はまだ始まってもいない。

(もう入場もくそもないけどな)

 理想の結婚式からかけ離れてしまいため息を吐くと、俺の視界に白い手ぬぐいが入った。

「ほら、台無しにはなっちゃったけど、行こう? 翔平」


「ハナティア……」

 俺は少し落ち込みながらも、しっかりとその手を取る。今度こそ、結婚式を始めよう。

「さあ、改めまして新郎、柏原翔平様と新婦ハナティア様の結婚式を執り行います。お二人は壇上へ」

 いつの間に用意されたのか、来てくれている人達の正面に立てるように壇上が庭に作られていて、俺とハナティアはそこへ向けて二人で手を取って歩く。
 その道すがら、左右には見覚えのある人やない人達が沢山俺達を祝福してくれていた。

「な、なんか凄いね」

「結婚式ってこんな感じなんだな」

「多分これが特別なだけだと思うけど」

 小声で会話をしながら俺達はその場所へと向かって歩く。そして最前列で待ってくれていたのは、

「父さん、母さん……」

「ミルにスズハ、それに……キャロル?! どうして……」

 一番親しい人達と、両親がそこにはいた。特にハナティアはキャロルが来たことには驚いていて、既に涙声になっている。

(まったく、これからなのに、何泣いているんだよ……)

 やれやれと思いながらも、俺たちは壇上へ到着上がり終える。そして俺達の間に何故か神父としてサクヤが立つ。

「ではお二人にはまず、誓いの証として指輪を交換してもらいます」

「交換?」

 指輪を渡すのは俺だけだと聞いているけど、どういう事だ?

「これは私からのプレゼントよ、翔平。あなたがトリナディアの国王として立つ証」

 ハナティアはどこからか箱を取り出して、俺に見せてくる。そこには俺がハナティアに渡すものとはまた違う指輪が用意されていた。

「では最初にハナティア様から、誓いの言葉と共に翔平様に」

「はい」

 ハナティアは箱から指輪を取り出し、俺は薬指を差し出す。

「私ハナティアは、生涯、柏原翔平を妻として、そしてトリナディア王女として支え続けることを誓います」

 ハナティアはそう言葉を添えて、俺の指に指輪をはめた。そして俺が次にクレナティアさんから受け渡された指輪を取り出し、

「俺、柏原翔平は、生涯、ハナティアを夫として、そしてトリナディアの王として彼女を支え続けることを誓います」

 そう言葉を添えてハナティアの薬指にはめる。

「では誓いの儀の最後に、お二人には誓いのキスをしていただきます」

「げっ」

 つい俺は言葉を漏らしてしまう。彼女とキスをするのは構わないのだが、人前でするのは慣れていないので少しだけ恥ずかしい。

「何恥ずかしがってるのよ翔平。男のくせに情けないわね」

「し、仕方がないだろ。な、慣れてないんだから」

「もう、しょうがないわね。んっ……」

 不意打ちでハナティアがキスをする。誓いのキスとして何とも不恰好で、男としては少し情けないけど、

「ひゅーひゅー、お熱いね」

「う、羨ましい」

 俺達らしい結婚式で、それもいいのかもしれない。

 ■□■□■□
 一通りの式が終わり、次は披露宴。

「なあ披露宴の場所もまさか」

「いえ、流石にこれだけの人数は入りきりませんので、トリナディアに移動しますよ」

「なら良かった」

 披露宴まで我が家が使われると思ったが、どうやらそれは人数的に無理らしい。

「じゃあ俺達はここでお別れか」

「翔平君、ハナティアちゃん、今日は呼んでくれてありがとうございました」

 俺達の元に正志達がやって来る。二人とはもっとゆっくり話をしたいのだが、まだこの先も忙しいのでそれは叶わない。

「二人共、何かこんな形の結婚式になったけど、きてくれてありがとうな」

「ありがとう二人共。また会おうね」

 俺とハナティアは改めて二人にお礼を言った。その後両親にも改めて挨拶をして、ハナティアのお色直しのために先にトリナディアに戻る事になる。

「もっと話をしたかったんじゃないの?  次いつ会えるか本当に分からないのに」

 あっさりトリナディアに戻ってきた俺に、ハナティアはそう言葉をかけてくる。

「話したい事は九月に沢山話したし、二人も二人で頑張ってるから大丈夫だと思う」

「信じてるの?」

「当たり前だろ?」

「そう言うと思ってた」

 もうあの二人は、俺が知らない時間を過ごしている。だからあの後何があったかとかは俺が聞かなくても、きっと大丈夫。
 二人の笑顔を見て俺はそう確信していた。

「ねえ翔平、披露宴の前にさっきのお返ししてくれない?」

「お返し?」

「ほら、さっきは翔平は、情けなかったから今くらい男気を見せてよ」

 上目遣いでハナティアが見てくる。そのとても可愛らしい顔に、俺はさっきとは違って、恥ずかしがる事もなく、純粋な気持ちで、

「さっきは男らしくてごめんな、ハナティア」

 その言葉と共に彼女にキスをした。

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