我が家の床下で築くハーレム王国
第102話とある昼下がりの出会い
違和感を覚えたのは演説が終わった後からだった。いや、もっと前から私の中でその予感があったのかもしれない。でも大きなキッカケがあったとしたら、
『ハナティア、本当はあなたにちゃんと話しておかなければならない事があるの』
『私に?』
先日のあの時だったかもしれない。
「サクヤと二人きりでこうして歩くのって、久しぶりね」
「そうでしょうか。私はいつもハナティア様の側にいるので、そうは感じないのですが」
「感じ方は人それぞれなのかな」
そして今日、私は翔平に留守番を頼んでサクヤと少しだけ出かけていた。特に何か重要な用事があったわけでもない。ただ、私はサクヤと話しておきたかった。
「ねえサクヤ」
「はい」
「今更こんな事を聞くのもあれだけど、どうして私の血筋の呪いについて教えてくれなかったの?」
「呪いとは、子供を産んだら命を落とす事の話でしょうか?」
「それ以外に何があるのよ」
「それならば勿論、ハナティア様にこの話をしてしまったらきっと辛い思いをさせてしまうからと思っていたからで」
「他には?」
「いえ、他に理由など」
「答えて!」
サクヤが私にずっと隠し事をしていた本当の理由。そして私の中の違和感の答えを。
「ハナティア様、何故そんなにも怒って」
「とぼける気なの? 私がそこまで頭が固いと思っているの?」
「い、いえ、そうは思っていませんが、私は本当に理由が分からないので」
「もういいわよ! 聞いた私が馬鹿だった」
「は、ハナティア様に!?」
だけどサクヤは私の疑問に何一つ答えを出してくれなかった。それに苛立ってしまったわたしは、彼女を置いてその場から去っていった。
(サクヤは嘘なんかがつかない人なのに、どうして……)
どうして何も答えてくれないのよ。
■□■□■□
苛立ちをどうしても抑えきれない私は、城にも戻る気分にもならずにトリナディアを歩き続けていた。
(あんな風にあからさまに隠し事をされたら、私だって苛立つわよ)
こんな事ならあの時に……。
「あの、すいません」
そんな私に突然誰かが声をかけてきた。無視する事も考えたけど、トリナディアの人だったら無視もできないので、苛立つ気持ちを抑えながら足を止める。
「私に何か用ですか?」
口調も控えめで、声をした方に体を向ける。そこには見た目は私たちさほど年齢が変わらないくらいの金髪の女の子が立っていた。
「もしかしてあなたはこの国の方ですか?」
「そうですけど。私に何か用ですか?」
「い、いえ。用というほどではないのですが、実は少々道に迷ってしまいまして。よろしければ案内して欲しいのですが」
「案内って、このトリナディアをですか?」
「はい。実は私に訳あって今日ここへやって来たばかりなんです」
それなら是非とも、トリナディアの王女として案内をしたいところだけど、今のは私はそんな気分ではない。
(でも少し気分転換にはなりそう。見た感じ悪い人ではなさそうだし……)
苛々ばかりしてたら肌にも悪そうだし、ここは……。
「分かりました。私が案内してあげます」
「ありがとうございます。私スズハって言います。よろしければお名前を聞かせてもらっていいでしょうか?」
「あ、はい。私はハナティアって言います。少しの間ですがよろしくお願いします」
「こ、こちらこそよろしくお願いします!」
私の名前を言えば王女だと気づかれるかと思ったけど、スズハさんは何一つ反応を示さなかった。私の事は知らないのかな。
「じゃあ早速行きましょうかスズハさん」
「はい、ハナティアさん!」
まあ、今はそんな事は関係ないか。
■□■□■□
自分でも言うのもなんだけど、この国トリナディアにはこれと言って有名なものはまだ出来ていない。今それを翔平と一緒に作り上げていく最中なので、スズハさんに何を紹介していこうか迷っていた。
「ハナティアさんはトリナディアには昔から住んでいるんですか?」
「はい。生まれた時からこの国に住んでいるんです。だからどこから紹介したらいいかというか、紹介したい場所がないというか……」
「困らせてしまってすいません。そんなに無理はしなくていいですから」
「あ、ありがとうございます」
そんな私を見かねてスズハさんが慌ててそんな事を言い出す。勿論無理をしているつもりはないのだけれど、改めて現実を見させられると悲しくなる。
「そういえばスズハさんは訳あってここへ来たと言っていましたが、どうしてトリナディアへ?」
そんな悲しみを振り払うために、私の方からスズハさんに話を振ってみる。
「あまり詳しくは話せないのですが、仕事ですかね。それもとても重大な」
「仕事ですか。じゃあしばらくはこちらに?」
「はい。空き家を借りたので、しばらくはトリナディアでの暮らしです」
そう笑顔で話すスズハさん。とても重大な仕事をわざわざトリナディアにまで来てするって、どんな物なのか少し気になる。
(この国の人ではない以上、ちょっと怖いけど)
王女の立場上、いつかは聞いてみたい。
「ねえハナティアさん、今からちょっとおかしな話をするけど気にしないでください」
「おかしな話?」
「ハナティアさんはもしトリナディアにすごく大事な秘密があるって言われたら、信じますか?」
「トリナディアに大事な秘密……ですか?」
『ハナティア、本当はあなたにちゃんと話しておかなければならない事があるの』
『私に?』
先日のあの時だったかもしれない。
「サクヤと二人きりでこうして歩くのって、久しぶりね」
「そうでしょうか。私はいつもハナティア様の側にいるので、そうは感じないのですが」
「感じ方は人それぞれなのかな」
そして今日、私は翔平に留守番を頼んでサクヤと少しだけ出かけていた。特に何か重要な用事があったわけでもない。ただ、私はサクヤと話しておきたかった。
「ねえサクヤ」
「はい」
「今更こんな事を聞くのもあれだけど、どうして私の血筋の呪いについて教えてくれなかったの?」
「呪いとは、子供を産んだら命を落とす事の話でしょうか?」
「それ以外に何があるのよ」
「それならば勿論、ハナティア様にこの話をしてしまったらきっと辛い思いをさせてしまうからと思っていたからで」
「他には?」
「いえ、他に理由など」
「答えて!」
サクヤが私にずっと隠し事をしていた本当の理由。そして私の中の違和感の答えを。
「ハナティア様、何故そんなにも怒って」
「とぼける気なの? 私がそこまで頭が固いと思っているの?」
「い、いえ、そうは思っていませんが、私は本当に理由が分からないので」
「もういいわよ! 聞いた私が馬鹿だった」
「は、ハナティア様に!?」
だけどサクヤは私の疑問に何一つ答えを出してくれなかった。それに苛立ってしまったわたしは、彼女を置いてその場から去っていった。
(サクヤは嘘なんかがつかない人なのに、どうして……)
どうして何も答えてくれないのよ。
■□■□■□
苛立ちをどうしても抑えきれない私は、城にも戻る気分にもならずにトリナディアを歩き続けていた。
(あんな風にあからさまに隠し事をされたら、私だって苛立つわよ)
こんな事ならあの時に……。
「あの、すいません」
そんな私に突然誰かが声をかけてきた。無視する事も考えたけど、トリナディアの人だったら無視もできないので、苛立つ気持ちを抑えながら足を止める。
「私に何か用ですか?」
口調も控えめで、声をした方に体を向ける。そこには見た目は私たちさほど年齢が変わらないくらいの金髪の女の子が立っていた。
「もしかしてあなたはこの国の方ですか?」
「そうですけど。私に何か用ですか?」
「い、いえ。用というほどではないのですが、実は少々道に迷ってしまいまして。よろしければ案内して欲しいのですが」
「案内って、このトリナディアをですか?」
「はい。実は私に訳あって今日ここへやって来たばかりなんです」
それなら是非とも、トリナディアの王女として案内をしたいところだけど、今のは私はそんな気分ではない。
(でも少し気分転換にはなりそう。見た感じ悪い人ではなさそうだし……)
苛々ばかりしてたら肌にも悪そうだし、ここは……。
「分かりました。私が案内してあげます」
「ありがとうございます。私スズハって言います。よろしければお名前を聞かせてもらっていいでしょうか?」
「あ、はい。私はハナティアって言います。少しの間ですがよろしくお願いします」
「こ、こちらこそよろしくお願いします!」
私の名前を言えば王女だと気づかれるかと思ったけど、スズハさんは何一つ反応を示さなかった。私の事は知らないのかな。
「じゃあ早速行きましょうかスズハさん」
「はい、ハナティアさん!」
まあ、今はそんな事は関係ないか。
■□■□■□
自分でも言うのもなんだけど、この国トリナディアにはこれと言って有名なものはまだ出来ていない。今それを翔平と一緒に作り上げていく最中なので、スズハさんに何を紹介していこうか迷っていた。
「ハナティアさんはトリナディアには昔から住んでいるんですか?」
「はい。生まれた時からこの国に住んでいるんです。だからどこから紹介したらいいかというか、紹介したい場所がないというか……」
「困らせてしまってすいません。そんなに無理はしなくていいですから」
「あ、ありがとうございます」
そんな私を見かねてスズハさんが慌ててそんな事を言い出す。勿論無理をしているつもりはないのだけれど、改めて現実を見させられると悲しくなる。
「そういえばスズハさんは訳あってここへ来たと言っていましたが、どうしてトリナディアへ?」
そんな悲しみを振り払うために、私の方からスズハさんに話を振ってみる。
「あまり詳しくは話せないのですが、仕事ですかね。それもとても重大な」
「仕事ですか。じゃあしばらくはこちらに?」
「はい。空き家を借りたので、しばらくはトリナディアでの暮らしです」
そう笑顔で話すスズハさん。とても重大な仕事をわざわざトリナディアにまで来てするって、どんな物なのか少し気になる。
(この国の人ではない以上、ちょっと怖いけど)
王女の立場上、いつかは聞いてみたい。
「ねえハナティアさん、今からちょっとおかしな話をするけど気にしないでください」
「おかしな話?」
「ハナティアさんはもしトリナディアにすごく大事な秘密があるって言われたら、信じますか?」
「トリナディアに大事な秘密……ですか?」
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