我が家の床下で築くハーレム王国

りょう

第94話ギクシャク

 ハナティアの様子が気になりながらも、サクヤが話があるという事なので彼女に着いて行くことに。

「ハナティア様がそんな事を?」

「そうなんだよ。ハナティア自身も今更って言っていたけど、何であんな事を今になって言ったんだろ」

「それはきっと、翔平様の事を思っての事ではないでしょうか?」

「うーん、そうなのかな」

 心配しすぎな気もするけど、どこか引っかかる事がある。ハナティア自身が何を考えているかは分からないけど、何かに対して後ろ髪を引かれているのだろうか。

「ハナティア様の事に関しては、しばらく様子を見ましょうか。それよりも翔平様をお呼びしたのは、別の事でお話ししたい事がありまして」

「別の事?」

「フウカ様の事です」

「フウカの?」

「実は最近フウカ様がお一人でどこかにお出かけしている姿を確認しているんです」

「一人で?」

 そういえば最近ではフウカを見かけていないことがあったけど、どうやらそれが原因だったらしい。現に今日もまだ一度も見かけていない。

「今もいないのか?」

「いえ。今丁度帰って来たばかりで、お部屋の方へ入って行きました」

「今日も一日見かけていなかったし、もしかしてこの時間までずっと一人でどこか行っていたのか?」

「その可能性はあります」

「少しだけ気になるな、それ」

 ハナティアの事もそうだし、気になる事が多すぎる。ここでの暮らしを始める前までは普通だったのに、変わった途端にどうしてこんな事が……。

「ちょっとフウカに話を聞いてみる。もしかしたら記憶について何か分かったのかもしれないし」

「よろしくお願いします。あと、ハナティア様の事も気になるのであれば、私も少しだけ聞いておきますね。女性同士の方が話しやすそうですし」

「ああ、頼んだ」

 変な下りを入れるはあまり好きではないけど、どちらも無視できる話ではないのも確かだ。俺はサクヤとはその場で別れて、フウカのいる部屋へと向かった。

(女性同士の方が、か)

 やっぱり俺相手だと何か話しづらい事でもあるのかな、ハナティア。

 ■□■□■□
「探し物?」

「うん」

「何を探しているんだよ」

「分からない」

「分からないって、どういう事だよ」

 早速フウカの部屋へとやって来た俺は、サクヤの話をそのまま彼女に話すと、探し物をしてるらしくそれを見つけに毎日城から出ているらしい。

「分からないの、どうして探したいのか。でも探さないといけない気がする」

「何だよその曖昧な感じは」

「それしか私には分からない」

 何を見つけようとしているのか分からない探し物。もしかしたら本人は自覚していないだけで、無意識に何か大切なものを探しているのだろうか。
 例えば記憶に関するものとか。

「一応聞きたいんだけどさ、フウカは自分に記憶がない事をどう思っているんだ?」

「どうって?」

「ほら、もしかしたら今も探している何かが自分の記憶に関係するものだったりしたらさ」

「私、記憶を取り戻さなくてもいい」

「え?」

「取り戻したっていい事なんてないと思う、多分」

 普段の行動から見て、フウカが自分自身の記憶について興味を持っていない事は何となくではあるけど分かっていた。

「思い出したくないのか? 自分が誰なのかを」

「興味ない」

「興味ないってお前、自分の事だろ」

「自分の事だから興味ない」

「お前、それは幾ら何でも」

 俺はどこかで思っていた。フウカと俺はどこか一緒のところがあるって。記憶喪失を経験したもの同士、どこか似たようなところがあるって。

(だけどそれは……)

 俺だけが勝手に思っていた事だったんだって、今になって気付かされた。

「翔平が何を考えているか分からない。だけど私は翔平とは違って、自分の記憶を取り戻そうなんてそんな事、思ってない」

「だったらどうして、探し物なんか」

「だから翔平には関係ない事。部屋から出てって」

「あ、おい、フウカ!」

 まるでフウカは俺を拒絶するかのように無理矢理部屋から追い出す。部屋の鍵も閉められてしまったので、もう一度話す事もできない。

(あいつ、どうして俺が記憶喪失だった事を……)

 気になる事が多いが、これ以上話を聞く事もできないので俺はその場をあとにする。

(まだここでの暮らしを初めて初日なのに、何で)

 こんなにもギクシャクし始めているんだ俺達。

 ■□■□■□
 一夜明けて。

「私もフウカの事は気になっていたけど、私達がとやかく言う必要はない事じゃないのかな」

「やっぱり余計なお世話なのかな」

「フウカがどういう考えでそんな事を言ったのかは私には分からないけど、今はそっとしておいてあげた方がいいかもね」

「やっぱりそうかな」

 俺は昨夜の事をハナティアに話したのだが、当然といえば当然な答えが返ってきた。俺自身一晩考えて、これ以上聞くのは余計なお世話かもしれないとは感じていたけど、それでもどこか放っておけないところがある。

「ねえ前から思っていたけど、どうして翔平はそこまでフウカの事が気になるの? 私からしたらただの不法侵入者みたいなものだし」

「何でってそれは……」

 以前なら簡単に答えられたはずの問いに、俺は言葉を詰まらせてしまう。俺とフウカはどこか似ているから、放って置けなかったんだけど、それは彼女からしたら大きなお世話だった。
 それが分かってしまった以上、今の俺にこの問いに対する答えは出せない。

「俺とフウカは、どこか似ているところがあったから、だと思う」

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