我が家の床下で築くハーレム王国

りょう

第89話最後の夜と最後の朝

 気持ちが晴れないまま俺たちの旅行は終わりを告げ、家に帰ってきたのはすっかり外も暗くなった頃。もういよいよ明日で地上での暮らしも終わってしまう。

「ごめんね翔平、折角の旅行なのに私がこんな調子で」

「気にするなよ。俺だって同じ事考えていたんだし」

 もう家具もほとんどない部屋で、俺とハナティアは帰りがけに買ってきた夕食を食べる。ハナティアは今日の事をずっと気にしていたのか、家に帰ってきてからもずっと元気がなかった。

(傷ついたんだろうな。キャロルがあんな風になって……)

 正直な話、あの時キャロルと会ったのは単なる偶然ではないと思っている。彼女なりの何かしらの理由があって、あの場にいたと考えている。

「気にしちゃいけないって分かっていても、どうしても気になっちゃうの。キャロルの両親がどうだったとしても、あの子はあの子。だから過去の因縁なんて関係ない、その筈なのに……」

「まだ何もかもが決まったわけじゃない。少しは落ち着いて考えたほうがいいんじゃないのか?」

「うん……そうする」

 信じたいから疑う。
 恐らく彼女の中にそれがあるからああやって葛藤を続けているのだと思う。ハナティアだっえ本当は疑いたくない、だけど信じるためには疑うしかない。
 姫として、幼馴染としてハナティアはキャロルを信じるために疑う。そんな初めての感情に、彼女は戸惑っているに違いない。

「それにもしもの事があれば、俺が力になる。お前は一人じゃないんだから」

「ありがとう」

「さてと、そろそろ眠くなってきたし今日は家で寝るか?」

「あ、うん。そうさせてもらうね。多分一人じゃ寝れないと思うから」

 電車の疲れもあって、俺達は明日に備えて早めに寝る事にした。とは言えど、お互いやはりキャロルの事を気にしていて、寝れなかったのも事実だった。

 何が真実で、何が嘘なのか。

 出ることのない答えを探し続けたまま、俺はついに夏休みの最終日、つまり地上での暮らしの最後の日を迎える事になる。

 ■□■□■□
 迎えた最後の朝。トリナディアと地上を繋ぐ俺の部屋の穴を塞ぐのは夕方頃という事で、朝から何故か正志と雪音を含めた全員が俺の家に集合していた。

「何でサクヤまでここにいるんだよ」

「何でって、昨日連絡を一度もしなかったからじゃないですか。帰ってきていたなら、連絡の一つや二つくださいよ」

「あ、悪い」

「悪いじゃありませんよ。心配したんですからね」

「悪かったって」

 帰ってきたらサクヤに連絡をするという約束をすっかり忘れていた。わざとではなかったのだが、何だかんだでお互い疲れて連絡する気も起きなかったし、あとで説明すれば許してくれるだろう。

「よう翔平、今日で最後だな」

「悪いな二人も朝早くから来てもらって」

「一時とはいえど、大切な親友との別れの日ですから。正志君を叩き起こしてでも来ますよ」

「叩き起こされたのかお前……」

「し、仕方ないだろ! 色々考えていたら寝れなかったんだから」

 何を考えていたのかは何となく分かるが、それで叩き起こされるのもいかがかと俺は思う。

「それにしてもハナティアちゃん、元気がないみたいだけど何かあったのか?」

 朝からずっとボーッとして座っているハナティアを見て正志がそんな事を尋ねてくる。昨日寝付けなかった分かなり眠いのか、何度も欠伸をして眠そうにしているが、正志はそれ以外の何かを察したらしい。

(相変わらず察しのいいやつだよ……)

「昨日ちょっと色々あってな。もしかしたら今日一日中あの様子かもしれない」

「そういえば一昨日から一泊二日で旅行に行っていたんでしたっけもしかしてそこで何かあったんですか?」

「ちょっとした事件があってな。二人もできればハナティアを元気付けてくれないか?」

「理由は分からないけど、とりあえず元気になってもらえないいんだな。それなら任せろ。とびっきりのサプライズを用意したからな」

「サプライズ?」

 ■□■□■□
 サプライズと銘打って俺とハナティアが正志達に連れてこられたのはいつものトリナディア城。一体ここで何をしようとしているのだろうか。

「というか何でトリナディアを普通に使っているんだよ」

「サクヤさんが協力してくれたんだよ。二人のためにお別れ会をしたいって言ったら、手伝ってくれるって」

「お別れ会って、別に一生会えないわけじゃないんだからさ」

「何も言わずに、ささ」

 俺とハナティアは無理やりどこかの部屋に押し込まれる。中は真っ暗で何も見えない。

「ねえ翔平、お別れ会って何?」

「お前が気にしなくていいよ。それよりここはどこだ? 真っ暗で何も見えないけど」

「あの扉、多分大広間だと思うけど」

 とハナティアが言ったと同時に、部屋の明かりが一斉に点灯。明るくなった先で俺とハナティアを待っていたのは、

「さあパーティだぞ、翔平」

「楽しみましょうねハナティア」

「いや、その」

「あの、雪音これって」

 サプライズと言うからには、豪華なパーティでも行われるのかと思いきや、待っていたのは大広間のど真ん中にポツンと置かれたテーブルとちょっとした料理。

「どうだ驚いただろ」

「「別の意味で驚いたよ(わよ)!」」

 パーティではあるけど、それをこんな大広間で行う必要あったか?

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