我が家の床下で築くハーレム王国
第66話その少女無感情につき
「それで女の子ば大丈夫だったのか?」
「今サクヤが治療しているけど、大きな怪我はなかったからしばらく安静にしていれば目を覚ますって」
「そっか、それなら良かったけど」
謎の少女が倒れているのを発見してから約一時間後。本来なら今頃俺達は例のボードゲームを一度解体している頃なのだが、予期せぬ事態が発生してしまった為に一旦中止。とりあえず少女が目を覚ます事を待つ事に決めた。
「それにしても不思議な話よね。ただでさえこの城は広い上に、あの部屋は施錠されていた。しかもそれを知っているのは私達だけなのに、何であの場所にいたのかな」
「それは俺も思った。しかも怪我までしてるときだから、益々謎だよな」
しかもさらに言うならば、俺達があの存在を知ったのは昨日の話だ。つまり、あそこで正志達が遊んだ後から今日のこの間までに何かが起きた事になる。
「お二人とも、治療が終わりましたよ」
そんな会話をしていると、サクヤが俺達の元へとやってくる。どうやら治療は終わったものの、意識はまだ戻ってないらしくしばらくは様子見だということ。
「血とか流れてたけど、どんな怪我してたんだ?」
「どうやら何かに頭をぶつけたらしくて、頭から血が流れていました。多分ぶつけた原因は」
「例のアレか」
木材とか使ってたし、それに頭をぶつけたりしたのだろう。
「な、何よ。作らせたのは私だけど、まさかそんな怪我をするとは予想できないでしょ」
「それはそうだが、まずあれを作らせなければ今回みたいな事は起きなかったんじゃないのか?」
「それは……」
ともかく今は少女が目を覚ますのを待って、話を聞く必要がありそうだ。
「ねえサクヤはどう思う? あの女の子」
「今は何とも言えませんが、あんな形で倒られていては無視もできませんし、しばらくは様子見でしょうね」
「見た感じまだ幼そうだったし、両親とかが心配してなければいいんだけど」
「とにかく今は待つしかないな」
「うん」
■□■□■□
少女が目を覚ましたという一報を聞いたのは、丁度お風呂に入ろうとした時だった。喋れている特に大きな障害はなかったらしい。
「それは分かったんだけどさ、サクヤ」
「はい?」
「ここ男子浴場だから」
「昨日女湯に入ろうとした人は、どなたでしたか」
「すいません」
とりあえずお風呂を済ませた俺は、少女が治療されていた部屋へ。中に入ると、既にハナティアがいて会話をしているみたいだが、どうも様子がおかしい。
「何も覚えてないの?」
「うん」
「記憶喪失って事なのかな」
「知らない」
「知らないって言われても……」
何やらハナティアが少女との会話に噛み合わなくて困っているらしい。でも様子がおかしいと感じたのは他にある。
(この子声に感情が感じられない)
さっきから無表情で、この状況下に一切の反応すら見せていない。そう、まさに一言で表すなら無。流石のハナティアもそれには戸惑いを隠せないようだった。
「あ、翔平。この子もしかしたら」
「見てたから分かる。ちょっと色々面倒な事になったかもな」
「うん」
「なあ、本当に何も分からないのか?」
ハナティアに代わって俺が声をかける。しかし少女は俺に反応はしたものの、何も言おうとはしない。
「話してくれないと俺達は何も分からないんだよ。どうしてあの場所にいたのか、とか謎が多いんだ。だから思い出せる限りの事は教えて欲しいんだ」
「教える事ない」
「ないって、それじゃあ本当に記憶喪失なのか?」
「名前だけ分かる」
「名前?」
「フウカ。それ、私の名前」
「フウカ、か」
漢字で書くと風花だろうか。日本人っぽい名前だけど、もしかして地上に住んでいるのか?
「それ以外は?」
「分からない」
「そうか。なら仕方がないか」
これ以上聞いても無駄だと思った俺は、部屋を出る。それをハナティアが追って、一緒に出てきた。
「仕方ないってそれでいいの? まだ聞きたい事が沢山あるのに」
「聞いても無駄だと思うぞ。覚えていない以上、分からないの一点張りだろうし、俺達がとやかく言うわけにもいかないだろ」
「でも……」
「とりあえず時間をおいて、話を聞こう。これ以上聞こうとしても、恐らく何も出てこないだろうから」
「……翔平がそう言うなら、諦めるけど。でもしばらくあの子をここで暮らさせてあげるの?」
「あのまま放置するのも出来ないから、そうなるだろうな。その責任は俺が取るよ」
「分かった」
どうも腑に落ちない様子のハナティア。勿論俺も腑に落ちない事が多い。けど今無理に記憶話や取り戻させるよりは、時間を与えた方がいいと思っている。それは俺が実際に経験した事だから言える事だ。
「なあハナティア、俺一つ気になる事があるんだけどさ」
「何?」
「フウカって名前、どちらかというとこっちの人間の名前じゃないよな?」
「言われてみればそうかもしれないけど、それがどうしたの?」
「だから考えたんだけど、もしかしてフウカって地上の人間の可能性があるかもな」
「それは確かにちょっと気になるわね。地上の人間だとしたら、普通はトリナディアの事を知らないだろうし、もしかしたら何かあるかもね」
「それについても調べる必要があるな」
ともかくフウカはに関しては謎が多いので、その辺りは後々細かく調べる事にして、俺達は本来の作業を開始しようとした。
だが……。
「壊れてる……」
「もしかしてフウカが」
「それはないと思う。でも可能性があるとしたら、フウカが何かの拍子でここに来て、その衝撃で頭を打って壊れたりしたのかもな」
折角サクヤが一生懸命に作ったあれが、見事に壊れてしまっていた。あの場でフウカが怪我をしていた以上、それが原因だとは考えられる。
「でも壊れるくらいの衝撃って、余程のものだよな」
「言われてみれば……」
「しかもフウカっね見た目そんなに体大きくないし、もしかしたら」
「フウカ以外の誰かの力が加わっているって事?」
「あくまで憶測だけどな」
それはあくまで仮定の話ではあるけど、可能性がないわけではない。フウカ以外にこの城に入ってきた人がいるなら、何か彼女の記憶喪失と関係している可能性がある。
「何かが起き始めてるのかもな、この国で」
今はそんな事を考えても埒があかない。ともかく今分かっている事は一つ。
(計画も最初からか……)
計画の終わりが見えるのも、かなり先の話になってしまいそうだ。
「今サクヤが治療しているけど、大きな怪我はなかったからしばらく安静にしていれば目を覚ますって」
「そっか、それなら良かったけど」
謎の少女が倒れているのを発見してから約一時間後。本来なら今頃俺達は例のボードゲームを一度解体している頃なのだが、予期せぬ事態が発生してしまった為に一旦中止。とりあえず少女が目を覚ます事を待つ事に決めた。
「それにしても不思議な話よね。ただでさえこの城は広い上に、あの部屋は施錠されていた。しかもそれを知っているのは私達だけなのに、何であの場所にいたのかな」
「それは俺も思った。しかも怪我までしてるときだから、益々謎だよな」
しかもさらに言うならば、俺達があの存在を知ったのは昨日の話だ。つまり、あそこで正志達が遊んだ後から今日のこの間までに何かが起きた事になる。
「お二人とも、治療が終わりましたよ」
そんな会話をしていると、サクヤが俺達の元へとやってくる。どうやら治療は終わったものの、意識はまだ戻ってないらしくしばらくは様子見だということ。
「血とか流れてたけど、どんな怪我してたんだ?」
「どうやら何かに頭をぶつけたらしくて、頭から血が流れていました。多分ぶつけた原因は」
「例のアレか」
木材とか使ってたし、それに頭をぶつけたりしたのだろう。
「な、何よ。作らせたのは私だけど、まさかそんな怪我をするとは予想できないでしょ」
「それはそうだが、まずあれを作らせなければ今回みたいな事は起きなかったんじゃないのか?」
「それは……」
ともかく今は少女が目を覚ますのを待って、話を聞く必要がありそうだ。
「ねえサクヤはどう思う? あの女の子」
「今は何とも言えませんが、あんな形で倒られていては無視もできませんし、しばらくは様子見でしょうね」
「見た感じまだ幼そうだったし、両親とかが心配してなければいいんだけど」
「とにかく今は待つしかないな」
「うん」
■□■□■□
少女が目を覚ましたという一報を聞いたのは、丁度お風呂に入ろうとした時だった。喋れている特に大きな障害はなかったらしい。
「それは分かったんだけどさ、サクヤ」
「はい?」
「ここ男子浴場だから」
「昨日女湯に入ろうとした人は、どなたでしたか」
「すいません」
とりあえずお風呂を済ませた俺は、少女が治療されていた部屋へ。中に入ると、既にハナティアがいて会話をしているみたいだが、どうも様子がおかしい。
「何も覚えてないの?」
「うん」
「記憶喪失って事なのかな」
「知らない」
「知らないって言われても……」
何やらハナティアが少女との会話に噛み合わなくて困っているらしい。でも様子がおかしいと感じたのは他にある。
(この子声に感情が感じられない)
さっきから無表情で、この状況下に一切の反応すら見せていない。そう、まさに一言で表すなら無。流石のハナティアもそれには戸惑いを隠せないようだった。
「あ、翔平。この子もしかしたら」
「見てたから分かる。ちょっと色々面倒な事になったかもな」
「うん」
「なあ、本当に何も分からないのか?」
ハナティアに代わって俺が声をかける。しかし少女は俺に反応はしたものの、何も言おうとはしない。
「話してくれないと俺達は何も分からないんだよ。どうしてあの場所にいたのか、とか謎が多いんだ。だから思い出せる限りの事は教えて欲しいんだ」
「教える事ない」
「ないって、それじゃあ本当に記憶喪失なのか?」
「名前だけ分かる」
「名前?」
「フウカ。それ、私の名前」
「フウカ、か」
漢字で書くと風花だろうか。日本人っぽい名前だけど、もしかして地上に住んでいるのか?
「それ以外は?」
「分からない」
「そうか。なら仕方がないか」
これ以上聞いても無駄だと思った俺は、部屋を出る。それをハナティアが追って、一緒に出てきた。
「仕方ないってそれでいいの? まだ聞きたい事が沢山あるのに」
「聞いても無駄だと思うぞ。覚えていない以上、分からないの一点張りだろうし、俺達がとやかく言うわけにもいかないだろ」
「でも……」
「とりあえず時間をおいて、話を聞こう。これ以上聞こうとしても、恐らく何も出てこないだろうから」
「……翔平がそう言うなら、諦めるけど。でもしばらくあの子をここで暮らさせてあげるの?」
「あのまま放置するのも出来ないから、そうなるだろうな。その責任は俺が取るよ」
「分かった」
どうも腑に落ちない様子のハナティア。勿論俺も腑に落ちない事が多い。けど今無理に記憶話や取り戻させるよりは、時間を与えた方がいいと思っている。それは俺が実際に経験した事だから言える事だ。
「なあハナティア、俺一つ気になる事があるんだけどさ」
「何?」
「フウカって名前、どちらかというとこっちの人間の名前じゃないよな?」
「言われてみればそうかもしれないけど、それがどうしたの?」
「だから考えたんだけど、もしかしてフウカって地上の人間の可能性があるかもな」
「それは確かにちょっと気になるわね。地上の人間だとしたら、普通はトリナディアの事を知らないだろうし、もしかしたら何かあるかもね」
「それについても調べる必要があるな」
ともかくフウカはに関しては謎が多いので、その辺りは後々細かく調べる事にして、俺達は本来の作業を開始しようとした。
だが……。
「壊れてる……」
「もしかしてフウカが」
「それはないと思う。でも可能性があるとしたら、フウカが何かの拍子でここに来て、その衝撃で頭を打って壊れたりしたのかもな」
折角サクヤが一生懸命に作ったあれが、見事に壊れてしまっていた。あの場でフウカが怪我をしていた以上、それが原因だとは考えられる。
「でも壊れるくらいの衝撃って、余程のものだよな」
「言われてみれば……」
「しかもフウカっね見た目そんなに体大きくないし、もしかしたら」
「フウカ以外の誰かの力が加わっているって事?」
「あくまで憶測だけどな」
それはあくまで仮定の話ではあるけど、可能性がないわけではない。フウカ以外にこの城に入ってきた人がいるなら、何か彼女の記憶喪失と関係している可能性がある。
「何かが起き始めてるのかもな、この国で」
今はそんな事を考えても埒があかない。ともかく今分かっている事は一つ。
(計画も最初からか……)
計画の終わりが見えるのも、かなり先の話になってしまいそうだ。
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