我が家の床下で築くハーレム王国
第62話温泉トーク2 恋のライバル編
「翔平、話したんだ。私の事」
「はい。でもおそらく翔平君は私が既に知っている事を知っていたかもしれません」
ボードゲームの汗を流すために、私は雪音ちゃんと一緒にお風呂に入っていた。そこで彼女が一番最初に話してきたのは、昨日翔平の家であった出来事だった。
「私一つハナティアちゃんに聞きたかったのですが、もし今後も子供が生まれるとしたらまた儀式を行うんですよね?」
「うん。それが国の決まりだから」
「それって危険性とかは考えた事はないんですか?」
「危険性?」
「私気になっていたんです。ゴールデンウィークの事件や二十年前の事故、それらは大きな揺れが原因で発生したんですよね」
「ゴールデンウィークの事はそうだけど、二十年前のは私が入ったせいで起きた事件で」
「果たしてそれは言い切れるのですか?」
「え?」
「もしかしたらまたどこかで、二十年前の大きな事件が起きてしまう可能性があるんじゃないんですか?」
「それは……」
ゼロとは言い切れなかった。私は二十年前の事故の本当の原因を一度も考えた事がなかったからだ。全部自分のせいにして、自暴自棄になって、すべて忘れ去ろうともした。
でももしも、他の原因があったとしたら?
「今回は無事でよかったんですが、私はまた同じような儀式を行う事をオススメできません。何故ならあの悲劇が起きる可能性がゼロとは言い切れないのですから」
「でもそれをしないといけないし、子供だって産まないとトリナディアの未来が……」
「ハナティアちゃんはそれ以外の方法を考えた事はありませんか?」
「その他の方法?」
「国民を増やして、国を繁栄させたいのなら方法だって、いくらでもありませんか?」
雪音ちゃんの言う通り、他の方法を私は姫になってからずっと考えてきた。キャロルも知恵を貸してくれたし、サクヤも力になってくれた。でも知恵はあっても、私達だけでどうにかなる力はなかった。
「あるかもしれないけど、私だけの力じゃなにも……」
「今は違うんじゃないでしょうか」
「違うって?」
「翔平君や私達もハナティアちゃんの力になれると思いますよ。それでも微力ですが、人は少ないよりは多い方がいいと思います」
「雪音ちゃん達も助けてくれるの?」
「そんなの当たり前じゃないですか。私と雪音ちゃんはずっと友達であり、ライバルじゃないですか」
「ライバル?」
そう言われて、私はイマイチピンとこなかった。何だろうと考えていると、雪音ちゃんは何がおかしいのか笑い出した。
「な、なに笑ってるの?」
「いや、ハナティアちゃんはある意味鈍感なのかなと思いまして」
「ど、鈍感?!」
「叶う恋と叶わない恋があるって事ですよ」
そこまで言われて、私は気づいた。雪音ちゃんが僅かながら泣いている事を。それを温泉でうまく誤魔化そうとしている。
「翔平君を幸せにしてあげてください、ハナティアちゃん」
「あ、待って」
そう言って風呂から出ようとする雪音ちゃんを私は引き止める。
「雪音ちゃん、ごめんない。私……」
「どうして謝るんですか。ずっと翔平君の側にいて、その心を傾かせること事ができなかった私が悪いんですから。それに私は、ハナティアちゃんの幸せな姿を見れて嬉しいです」
背を向けていた雪音ちゃんが振り返って笑顔を見せる。私が幸せになる分、他の人が不幸になる。私は今日この言葉を改めて思い知らされる事になったのだった、
(私ずっと気づいていたはずなのに、自分の想いばかり優先させて……)
気づかないうちに、一人の幸せを奪っていたのかもしれない。
■□■□■□
風呂から出ると、先に出ていた翔平達の姿が見えた。
「あ、翔平」
「翔平君」
「お、出たのか出たのか二人とも」
雪音ちゃんと二人で翔平の元に寄る。
「な、何だよ二人して寄ってきて」
「何でもないわよ、ねえ雪音」
「はい。何でもありませんよねハナティア」
この時から私達はいつの間にかちゃん付けで呼ばなくなった。そう決めたわけでもなく、本当にごく自然に。どうしてなのかは分からないけど、多分私達は本当の意味で友達になれたからかもしれない。
(そして多分雪音は……)
ああは言っているけど、翔平の事を諦めていないんだと思う。だからライバルであり、親友なんだ私達は。
「あれ、お前達ちゃん付けで呼び合っていなかったっけ?」
「え? そうだっけ?」
「翔平君の気のせいですよ、きっと」
お互いに笑い会う私達。二十年前、まだ子供だった私達は今は大人になって、こうして今同じ場所に立っている。
翔平が記憶を失って、雪音もトリナディアから離れてしまい、もう二度と戻れないと思っていた時間。それが今こうして戻り始めている。もし叶うなら私は、この時間がもう二度と失われないでほしいと思う。それはたとえ夏休みが終わって会えなくなったとしても。
「どうしたハナティア。お前ちょっと涙目になっているぞ」
「っ!? こ、これはお風呂で濡れたのを、拭き取れていないだけよ」
「何だよその分かりやすい嘘は」
「こ、この馬鹿翔平! そのくらい察しなさい、鈍感男」
「ど、鈍感?!」
「本当翔平君は何も分かっていないんですから。ハナティアよりも鈍感です」
「それは私に喧嘩売っているのかしら、雪音」
今ここにある幸せは大切にしたい。
「はい。でもおそらく翔平君は私が既に知っている事を知っていたかもしれません」
ボードゲームの汗を流すために、私は雪音ちゃんと一緒にお風呂に入っていた。そこで彼女が一番最初に話してきたのは、昨日翔平の家であった出来事だった。
「私一つハナティアちゃんに聞きたかったのですが、もし今後も子供が生まれるとしたらまた儀式を行うんですよね?」
「うん。それが国の決まりだから」
「それって危険性とかは考えた事はないんですか?」
「危険性?」
「私気になっていたんです。ゴールデンウィークの事件や二十年前の事故、それらは大きな揺れが原因で発生したんですよね」
「ゴールデンウィークの事はそうだけど、二十年前のは私が入ったせいで起きた事件で」
「果たしてそれは言い切れるのですか?」
「え?」
「もしかしたらまたどこかで、二十年前の大きな事件が起きてしまう可能性があるんじゃないんですか?」
「それは……」
ゼロとは言い切れなかった。私は二十年前の事故の本当の原因を一度も考えた事がなかったからだ。全部自分のせいにして、自暴自棄になって、すべて忘れ去ろうともした。
でももしも、他の原因があったとしたら?
「今回は無事でよかったんですが、私はまた同じような儀式を行う事をオススメできません。何故ならあの悲劇が起きる可能性がゼロとは言い切れないのですから」
「でもそれをしないといけないし、子供だって産まないとトリナディアの未来が……」
「ハナティアちゃんはそれ以外の方法を考えた事はありませんか?」
「その他の方法?」
「国民を増やして、国を繁栄させたいのなら方法だって、いくらでもありませんか?」
雪音ちゃんの言う通り、他の方法を私は姫になってからずっと考えてきた。キャロルも知恵を貸してくれたし、サクヤも力になってくれた。でも知恵はあっても、私達だけでどうにかなる力はなかった。
「あるかもしれないけど、私だけの力じゃなにも……」
「今は違うんじゃないでしょうか」
「違うって?」
「翔平君や私達もハナティアちゃんの力になれると思いますよ。それでも微力ですが、人は少ないよりは多い方がいいと思います」
「雪音ちゃん達も助けてくれるの?」
「そんなの当たり前じゃないですか。私と雪音ちゃんはずっと友達であり、ライバルじゃないですか」
「ライバル?」
そう言われて、私はイマイチピンとこなかった。何だろうと考えていると、雪音ちゃんは何がおかしいのか笑い出した。
「な、なに笑ってるの?」
「いや、ハナティアちゃんはある意味鈍感なのかなと思いまして」
「ど、鈍感?!」
「叶う恋と叶わない恋があるって事ですよ」
そこまで言われて、私は気づいた。雪音ちゃんが僅かながら泣いている事を。それを温泉でうまく誤魔化そうとしている。
「翔平君を幸せにしてあげてください、ハナティアちゃん」
「あ、待って」
そう言って風呂から出ようとする雪音ちゃんを私は引き止める。
「雪音ちゃん、ごめんない。私……」
「どうして謝るんですか。ずっと翔平君の側にいて、その心を傾かせること事ができなかった私が悪いんですから。それに私は、ハナティアちゃんの幸せな姿を見れて嬉しいです」
背を向けていた雪音ちゃんが振り返って笑顔を見せる。私が幸せになる分、他の人が不幸になる。私は今日この言葉を改めて思い知らされる事になったのだった、
(私ずっと気づいていたはずなのに、自分の想いばかり優先させて……)
気づかないうちに、一人の幸せを奪っていたのかもしれない。
■□■□■□
風呂から出ると、先に出ていた翔平達の姿が見えた。
「あ、翔平」
「翔平君」
「お、出たのか出たのか二人とも」
雪音ちゃんと二人で翔平の元に寄る。
「な、何だよ二人して寄ってきて」
「何でもないわよ、ねえ雪音」
「はい。何でもありませんよねハナティア」
この時から私達はいつの間にかちゃん付けで呼ばなくなった。そう決めたわけでもなく、本当にごく自然に。どうしてなのかは分からないけど、多分私達は本当の意味で友達になれたからかもしれない。
(そして多分雪音は……)
ああは言っているけど、翔平の事を諦めていないんだと思う。だからライバルであり、親友なんだ私達は。
「あれ、お前達ちゃん付けで呼び合っていなかったっけ?」
「え? そうだっけ?」
「翔平君の気のせいですよ、きっと」
お互いに笑い会う私達。二十年前、まだ子供だった私達は今は大人になって、こうして今同じ場所に立っている。
翔平が記憶を失って、雪音もトリナディアから離れてしまい、もう二度と戻れないと思っていた時間。それが今こうして戻り始めている。もし叶うなら私は、この時間がもう二度と失われないでほしいと思う。それはたとえ夏休みが終わって会えなくなったとしても。
「どうしたハナティア。お前ちょっと涙目になっているぞ」
「っ!? こ、これはお風呂で濡れたのを、拭き取れていないだけよ」
「何だよその分かりやすい嘘は」
「こ、この馬鹿翔平! そのくらい察しなさい、鈍感男」
「ど、鈍感?!」
「本当翔平君は何も分かっていないんですから。ハナティアよりも鈍感です」
「それは私に喧嘩売っているのかしら、雪音」
今ここにある幸せは大切にしたい。
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