我が家の床下で築くハーレム王国
第58話 お泊まり会は事実と共に 後編
「おい将翔平いくら何でもそんな冗談は笑えないぞ」
「冗談でも何でもないんだよ。正直俺がその話を聞いた時驚いたよ」
俺の話に信じられない様子の正志に、俺はそう言葉をかける。彼の反応は予想通りだったが、これは紛れもない事実。
正直常識とは明らかにかけ離れていて、俺ですらも受け入れるのに時間がかかった。
「俺も信じるのには時間かかったけど、ハナティアは本気だったんだ。その姿を見てたら、俺もそれに応えるべきなのかって考えたんだよ」
「その答えが、トリナディアの王様として生活する事なのか。でもお前は俺達の気持ちは考えたのか?」
「ずっと悩んでいたさ。だからこの日まで話す事を躊躇っていたんだ。だって俺だって、大切な親友に会えなくなるなんてそんなの寂しいに決まっているだろ」
「そこまで言うなら、どうしてお前は」
「俺はこの決断をするくらい、ハナティアの事が好きなんだよ!」
「翔平、お前……」
二十年前の事故の時から、ハナティアはずっと待ってくれていた。四ヶ月前に再会した時には、俺は気付けなかったけどハナティアは俺が思い出してくれるその時まで待っていてくれた。
そしてその想いに気づいた時、俺の中で彼女の存在がどれだけのものなのか気づいたんだ。
(もう俺にとってハナティアは……)
「俺はハナティアとなら家族にもなっていいと思ったんだ。結婚して、子供が生まれて、そして王国をあいつと築き上げる。それが俺の今の幸せなんだと思う」
「もうその想いには迷いはないんですね」
「ないと言えば、嘘になる。だから俺は、最後の最後まで悩んで決めようと思うんだ」
「それまでに俺達も覚悟を決めておけって事か」
「二人には迷惑かけるな」
「そう思うなら、トリナディアで暮らす事を選択しないで欲しいですけどね」
「悪い」
この話がどれだけのものなのか、俺は分かっていた。雪音と正志と同じように俺だって寂しいし、普通なら元の生活に戻る選択をする。
(けど俺は……)
それよりも勝る想いを知ってしまった。ハナティアが好きだという思い。それはもう揺るがない。
「さてと、この話は一旦終わりだ。折角まだ時間あるし、何かして遊ぼうぜ」
「何かって何だよ」
「人生ゲームとか?」
「それ三人でやるものじゃないだろ。あと何で家にあるんだよ」
■□■□■□
その後俺達は、眠くなるまでゲームやボードゲームなどとにかく遊んだ。大学生になった人間が何しているんだと思うけど、折角の時間を俺達は楽しみたかった。
「んじゃ、おやすみ」
「ああ、おやすみ」
「おやすみなさい」
そして楽しい時間も終わり、皆それぞれ眠りにつく。俺はというと、なかなか寝付く事ができなかった。
「寝れませんか、翔平君」
寝静まってからしばらく経ってボーッと天井を眺めていると、ふと雪音の声がする。
「考え事してたら寝れなくなって。雪音は?」
「私もです」
正志はぐっすり眠ってしまったのか、俺達の声には反応しない。こうして雪音と二人で話すのは、温泉旅行以来だろうか。
「翔平君と二人で話すのは少し久しぶりですね」
「そうだな」
「この時間も、のちになくなってしまうのでしょうか」
「それは……まだ分からない。でも、俺は出来る限りこの時間を大切にしたいとは思っている」
「そうですか……」
そこで一旦会話が途切れる。そういえば温泉旅行の時、俺は雪音を振ってしまった。あれ以降ゆっくり二人で話す機会がなかったから、少しだけ気まずい。
「突然こんな事を聞くのもあれなんですが、翔平君は失っていた記憶を思い出して、ハナティアちゃんとの事も思い出した時、どう思いましたか?」
「どうって、それは色々ショックだったよ。今まで十八歳だと思っていたのが、本当はもう二十歳以上だったんだから」
「それだけですか?」
「それだけってわけじゃいけど、正直まだ俺には分からないことが多すぎて、整理できてないんだ」
「分からないこと?」
「雪音はともかくとして、どうして俺は元からトリナディアにいたのか。そしてどうして、俺には本当の家族がいないのか、まだまだ信じられないような事ばっかりなことが多いんだ」
「本当の家族? 翔平君の両親は今も生きているじゃないですか」
「俺もずっと思っていた。けど先日、それを思わせるような写真を見つけたんだ」
「写真ですか?」
「ハナティアとその両親と、俺と今の両親とは別の二人が写っていたんだ」
「それはもしかして……」
雪音が何かを言いかけるが、その続きの言葉は発さない。
「雪音?」
「あ、えっと、私は何も知りません。記憶にあるのは今の両親ですから」
分かりやすい嘘をつく雪音。だがそれ以上聞いても答えてはくれなさそうなので、俺は諦めた。
「だからさその事もあるから、まだ気持ちの整理もついてないんだ。俺が取り戻した記憶はまだ一部で、本当はまだ何かが隠されているんじゃないかなって」
「そうですか。私も手助けしてあげたいところですが、ハナティアちゃんがいないと何も」
「じゃあ明日、三人で行くかトリナディアに」
「え?」
「雪音もハナティアに聞きたいことがあるんだろ?」
「……はい」
「だったら行こう、明日」
雪音がハナティアと話したい事は何となく想像できる。でも恐らくだけど雪音はハナティアの妊娠の件は知っていたと思う。そうでなければ、もう少し大きな反応していたし、もしかしたら正志以上に動揺していたかもしれない。
(雪音は多分、俺以上に俺の事を知っているんだ、きっと)
「翔平君」
「ん?」
「もしこの先別れる事になっても、また会う事は出来ますよね?」
「……ああ。それは約束するよ」
「守ってくださいね、その約束。絶対に」
「分かってる。絶対に約束する」
そんなの破るわけないだろ。
「冗談でも何でもないんだよ。正直俺がその話を聞いた時驚いたよ」
俺の話に信じられない様子の正志に、俺はそう言葉をかける。彼の反応は予想通りだったが、これは紛れもない事実。
正直常識とは明らかにかけ離れていて、俺ですらも受け入れるのに時間がかかった。
「俺も信じるのには時間かかったけど、ハナティアは本気だったんだ。その姿を見てたら、俺もそれに応えるべきなのかって考えたんだよ」
「その答えが、トリナディアの王様として生活する事なのか。でもお前は俺達の気持ちは考えたのか?」
「ずっと悩んでいたさ。だからこの日まで話す事を躊躇っていたんだ。だって俺だって、大切な親友に会えなくなるなんてそんなの寂しいに決まっているだろ」
「そこまで言うなら、どうしてお前は」
「俺はこの決断をするくらい、ハナティアの事が好きなんだよ!」
「翔平、お前……」
二十年前の事故の時から、ハナティアはずっと待ってくれていた。四ヶ月前に再会した時には、俺は気付けなかったけどハナティアは俺が思い出してくれるその時まで待っていてくれた。
そしてその想いに気づいた時、俺の中で彼女の存在がどれだけのものなのか気づいたんだ。
(もう俺にとってハナティアは……)
「俺はハナティアとなら家族にもなっていいと思ったんだ。結婚して、子供が生まれて、そして王国をあいつと築き上げる。それが俺の今の幸せなんだと思う」
「もうその想いには迷いはないんですね」
「ないと言えば、嘘になる。だから俺は、最後の最後まで悩んで決めようと思うんだ」
「それまでに俺達も覚悟を決めておけって事か」
「二人には迷惑かけるな」
「そう思うなら、トリナディアで暮らす事を選択しないで欲しいですけどね」
「悪い」
この話がどれだけのものなのか、俺は分かっていた。雪音と正志と同じように俺だって寂しいし、普通なら元の生活に戻る選択をする。
(けど俺は……)
それよりも勝る想いを知ってしまった。ハナティアが好きだという思い。それはもう揺るがない。
「さてと、この話は一旦終わりだ。折角まだ時間あるし、何かして遊ぼうぜ」
「何かって何だよ」
「人生ゲームとか?」
「それ三人でやるものじゃないだろ。あと何で家にあるんだよ」
■□■□■□
その後俺達は、眠くなるまでゲームやボードゲームなどとにかく遊んだ。大学生になった人間が何しているんだと思うけど、折角の時間を俺達は楽しみたかった。
「んじゃ、おやすみ」
「ああ、おやすみ」
「おやすみなさい」
そして楽しい時間も終わり、皆それぞれ眠りにつく。俺はというと、なかなか寝付く事ができなかった。
「寝れませんか、翔平君」
寝静まってからしばらく経ってボーッと天井を眺めていると、ふと雪音の声がする。
「考え事してたら寝れなくなって。雪音は?」
「私もです」
正志はぐっすり眠ってしまったのか、俺達の声には反応しない。こうして雪音と二人で話すのは、温泉旅行以来だろうか。
「翔平君と二人で話すのは少し久しぶりですね」
「そうだな」
「この時間も、のちになくなってしまうのでしょうか」
「それは……まだ分からない。でも、俺は出来る限りこの時間を大切にしたいとは思っている」
「そうですか……」
そこで一旦会話が途切れる。そういえば温泉旅行の時、俺は雪音を振ってしまった。あれ以降ゆっくり二人で話す機会がなかったから、少しだけ気まずい。
「突然こんな事を聞くのもあれなんですが、翔平君は失っていた記憶を思い出して、ハナティアちゃんとの事も思い出した時、どう思いましたか?」
「どうって、それは色々ショックだったよ。今まで十八歳だと思っていたのが、本当はもう二十歳以上だったんだから」
「それだけですか?」
「それだけってわけじゃいけど、正直まだ俺には分からないことが多すぎて、整理できてないんだ」
「分からないこと?」
「雪音はともかくとして、どうして俺は元からトリナディアにいたのか。そしてどうして、俺には本当の家族がいないのか、まだまだ信じられないような事ばっかりなことが多いんだ」
「本当の家族? 翔平君の両親は今も生きているじゃないですか」
「俺もずっと思っていた。けど先日、それを思わせるような写真を見つけたんだ」
「写真ですか?」
「ハナティアとその両親と、俺と今の両親とは別の二人が写っていたんだ」
「それはもしかして……」
雪音が何かを言いかけるが、その続きの言葉は発さない。
「雪音?」
「あ、えっと、私は何も知りません。記憶にあるのは今の両親ですから」
分かりやすい嘘をつく雪音。だがそれ以上聞いても答えてはくれなさそうなので、俺は諦めた。
「だからさその事もあるから、まだ気持ちの整理もついてないんだ。俺が取り戻した記憶はまだ一部で、本当はまだ何かが隠されているんじゃないかなって」
「そうですか。私も手助けしてあげたいところですが、ハナティアちゃんがいないと何も」
「じゃあ明日、三人で行くかトリナディアに」
「え?」
「雪音もハナティアに聞きたいことがあるんだろ?」
「……はい」
「だったら行こう、明日」
雪音がハナティアと話したい事は何となく想像できる。でも恐らくだけど雪音はハナティアの妊娠の件は知っていたと思う。そうでなければ、もう少し大きな反応していたし、もしかしたら正志以上に動揺していたかもしれない。
(雪音は多分、俺以上に俺の事を知っているんだ、きっと)
「翔平君」
「ん?」
「もしこの先別れる事になっても、また会う事は出来ますよね?」
「……ああ。それは約束するよ」
「守ってくださいね、その約束。絶対に」
「分かってる。絶対に約束する」
そんなの破るわけないだろ。
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