我が家の床下で築くハーレム王国
第56話お泊まり会は事実と共に 前編
幽霊屋敷での冒険から一週間後。八月も間も無く半分が終わる頃、雪音と正志が夕方に突然家に泊まりに来ていた。
「急に家に泊まりたいだなんて、どうしたんだよ」
「いいだろ、どうせ一人暮らしなんだから」
「せめてあらかじめ言えよな」
「最近会ってなかったんですからいいじゃないですか」
「まあ、それは予定が合わなかったから仕方がなかったんだよ。俺も会いたかったんだから」
「何だよ気持ち悪いな」
二人と会うのは夏休みに入ってからは初めてだった。本当はプールにだって誘いたかったのだけれど、予定が合わなかったから仕方がないとは思っている。
「この調子だと四人で旅行も難しいよな」
「そういえばそうだな」
夏休みも残り少ない中でまた四人揃っての旅行は少し難しくなってきたのは本当だった。だからと言って何の連絡もなしに人の家に泊まりに来るのはいかがと思うけど、こうして三人きりになれる機会も夏休みが終わるまでにさほど多くはない。
(もしかしたらこれが最後のチャンスなのかもな)
二人に別れを切り出すチャンスも。
「というか盆休みなのに、家に来ていいのか?」
「俺は明後日から帰るからいいんだよ。雪音も確かそうだよな」
「はい」
「じゃあ明日も時間があるのか。ある意味都合いいかもな」
「何だよ翔平、そんなに改まって」
「いや、別に」
とにかく急に敢行されたお泊まり会。まだ夏休みがあるとはいえ、夏休みが終わる前にこの話をされても二人の心の準備はできない。だから話すなら心の準備が必要だし、俺の心もまだ決まっていない。
「とりあえずどこか飯食べに行くか」
「そうですね。私達お腹が減っています」
「今日は翔平の奢りな」
「いきなり泊まりに来て奢らせようとするなよ」
「いやぁ、今月ピンチで」
「まさかまたバイト辞めたのか?」
「まあ色々あってな」
「色々ってお前な……」
俺は知っている。正志のバイトが一ヶ月も続かない事が多い事を。その癖バイトの面接は簡単に受かるから腹がたつ。俺なんて探すのに苦労したのに(ちなみにバイトはずっと変わっていない)。
「本当正志君はバイトをコロコロ変えすぎですよ」
「雪音はいいよなぁ。バイトしなくてもお金に困らないから」
「その話だけはやめてください」
「あ、悪い」
とりあえず俺達は近くのファミレスで夕飯を食べる事になったのだった。
■□■□■□
「それでどうだったんだよ、女子だらけのプールは」
「あ、それ私も気になります」
「ご飯食べ終わって最初の一声がそれかよ」
ファミレスで夕飯を食べ終え、ドリンクバーを飲みながら一息していると、正志がそんな話題を振ってきた。
「女子だらけってのは何か変だけど、普通に楽しかったよ」
「お前だけ水着を独り占めしたんだろ? 男の俺としては羨ましくなるよ」
「独り占めってな……。選んだの俺だぞ?」
「でもそれって翔平君の好みなんですよね?」
「ぐっ、そ、それはだな」
間違っていなって言えば間違っていないが、俺はただそれぞれに似合いそうなものを選んだだけで……。
「本当は私も新しい水着買ったんですよ?」
「こんな夏の終わりも近い時期にか?」
「だってもう一度くらい行きたかったんよ皆で。日帰りでもいいから」
「日帰りでも、か。それだったら行けなくもないか」
予定の一つに改めて考えておこう。
「何か翔平、さっきから元気ないな。どうしたんだよ」
「ちょっと悩み事があってな」
「またハナティアちゃんと何かあったのですか?」
「色々あったけど、それ以外に二人にも関わってくる事があるんだ」
「俺達に? 珍しいなお前からなんて」
「ここで話すのもアレだから、家に帰ってから話すよ」
とりあえず会計を済ませて、ファミレスを出る。
約四ヶ月近く二人にずっと黙っていた事を話すときが来てしまった、そう考えると俺は震えが止まらない。あと一ヶ月したら一緒に大学を行くこともできなくなるし、何よりこうして一緒にご飯も食べることもできなくなる。その現実を突きつけられたら、二人はどんな反応をするのだろうか……。
「翔平君、私達にも関係する話ってもしかしてとは思いますけど」
雪音がふと言葉を漏らす。そういえば彼女もトリナディアにいた経験があるのだから、その事実を知っていてもおかしくはない。というか前に雪音には話したよな確か。
「何だよ雪音、お前も何か知っているのか?」
「すいません正志君。私達はあなただけに秘密にしていた事があるんです」
「何だよそれ」
「翔平君は、選択によってはこの夏休みが終わったら、ずっと会えなくなるんです」
俺からではなく雪音から告げられた事実。本来なら俺が話さなければならない事なのに、雪音は俺の想いを知っていて助け舟を出してくれたのだろうか。
「何だよそれ。どういう意味だよ」
「まだ決めてはいないんだけど、俺は夏休みが終わったらハナティアと一緒にトリナディアで生活するんだ。国の活性化を進めるために、俺はハナティアと結婚式を挙げて、トリナディアの王になるんだ」
「そんな滅茶苦茶な話、信じられるかよ」
「信じられないかもしれないけど、これは紛れもない真実なんだよ」
それがたとえ、俺達の仲を裂く事になろうとも。
「意味分からねえよ。おい、ちゃんと説明してくれよ翔平!」
「ちゃんと説明するよ。家に戻ってから」
正志が怒る気持ちも分かる。こんな大切な話、ずっと黙っていたのだから怒ったって当然だ。だからこそ、俺は話さなければならない。
自分の迷いにも決着をつけるために。
「急に家に泊まりたいだなんて、どうしたんだよ」
「いいだろ、どうせ一人暮らしなんだから」
「せめてあらかじめ言えよな」
「最近会ってなかったんですからいいじゃないですか」
「まあ、それは予定が合わなかったから仕方がなかったんだよ。俺も会いたかったんだから」
「何だよ気持ち悪いな」
二人と会うのは夏休みに入ってからは初めてだった。本当はプールにだって誘いたかったのだけれど、予定が合わなかったから仕方がないとは思っている。
「この調子だと四人で旅行も難しいよな」
「そういえばそうだな」
夏休みも残り少ない中でまた四人揃っての旅行は少し難しくなってきたのは本当だった。だからと言って何の連絡もなしに人の家に泊まりに来るのはいかがと思うけど、こうして三人きりになれる機会も夏休みが終わるまでにさほど多くはない。
(もしかしたらこれが最後のチャンスなのかもな)
二人に別れを切り出すチャンスも。
「というか盆休みなのに、家に来ていいのか?」
「俺は明後日から帰るからいいんだよ。雪音も確かそうだよな」
「はい」
「じゃあ明日も時間があるのか。ある意味都合いいかもな」
「何だよ翔平、そんなに改まって」
「いや、別に」
とにかく急に敢行されたお泊まり会。まだ夏休みがあるとはいえ、夏休みが終わる前にこの話をされても二人の心の準備はできない。だから話すなら心の準備が必要だし、俺の心もまだ決まっていない。
「とりあえずどこか飯食べに行くか」
「そうですね。私達お腹が減っています」
「今日は翔平の奢りな」
「いきなり泊まりに来て奢らせようとするなよ」
「いやぁ、今月ピンチで」
「まさかまたバイト辞めたのか?」
「まあ色々あってな」
「色々ってお前な……」
俺は知っている。正志のバイトが一ヶ月も続かない事が多い事を。その癖バイトの面接は簡単に受かるから腹がたつ。俺なんて探すのに苦労したのに(ちなみにバイトはずっと変わっていない)。
「本当正志君はバイトをコロコロ変えすぎですよ」
「雪音はいいよなぁ。バイトしなくてもお金に困らないから」
「その話だけはやめてください」
「あ、悪い」
とりあえず俺達は近くのファミレスで夕飯を食べる事になったのだった。
■□■□■□
「それでどうだったんだよ、女子だらけのプールは」
「あ、それ私も気になります」
「ご飯食べ終わって最初の一声がそれかよ」
ファミレスで夕飯を食べ終え、ドリンクバーを飲みながら一息していると、正志がそんな話題を振ってきた。
「女子だらけってのは何か変だけど、普通に楽しかったよ」
「お前だけ水着を独り占めしたんだろ? 男の俺としては羨ましくなるよ」
「独り占めってな……。選んだの俺だぞ?」
「でもそれって翔平君の好みなんですよね?」
「ぐっ、そ、それはだな」
間違っていなって言えば間違っていないが、俺はただそれぞれに似合いそうなものを選んだだけで……。
「本当は私も新しい水着買ったんですよ?」
「こんな夏の終わりも近い時期にか?」
「だってもう一度くらい行きたかったんよ皆で。日帰りでもいいから」
「日帰りでも、か。それだったら行けなくもないか」
予定の一つに改めて考えておこう。
「何か翔平、さっきから元気ないな。どうしたんだよ」
「ちょっと悩み事があってな」
「またハナティアちゃんと何かあったのですか?」
「色々あったけど、それ以外に二人にも関わってくる事があるんだ」
「俺達に? 珍しいなお前からなんて」
「ここで話すのもアレだから、家に帰ってから話すよ」
とりあえず会計を済ませて、ファミレスを出る。
約四ヶ月近く二人にずっと黙っていた事を話すときが来てしまった、そう考えると俺は震えが止まらない。あと一ヶ月したら一緒に大学を行くこともできなくなるし、何よりこうして一緒にご飯も食べることもできなくなる。その現実を突きつけられたら、二人はどんな反応をするのだろうか……。
「翔平君、私達にも関係する話ってもしかしてとは思いますけど」
雪音がふと言葉を漏らす。そういえば彼女もトリナディアにいた経験があるのだから、その事実を知っていてもおかしくはない。というか前に雪音には話したよな確か。
「何だよ雪音、お前も何か知っているのか?」
「すいません正志君。私達はあなただけに秘密にしていた事があるんです」
「何だよそれ」
「翔平君は、選択によってはこの夏休みが終わったら、ずっと会えなくなるんです」
俺からではなく雪音から告げられた事実。本来なら俺が話さなければならない事なのに、雪音は俺の想いを知っていて助け舟を出してくれたのだろうか。
「何だよそれ。どういう意味だよ」
「まだ決めてはいないんだけど、俺は夏休みが終わったらハナティアと一緒にトリナディアで生活するんだ。国の活性化を進めるために、俺はハナティアと結婚式を挙げて、トリナディアの王になるんだ」
「そんな滅茶苦茶な話、信じられるかよ」
「信じられないかもしれないけど、これは紛れもない真実なんだよ」
それがたとえ、俺達の仲を裂く事になろうとも。
「意味分からねえよ。おい、ちゃんと説明してくれよ翔平!」
「ちゃんと説明するよ。家に戻ってから」
正志が怒る気持ちも分かる。こんな大切な話、ずっと黙っていたのだから怒ったって当然だ。だからこそ、俺は話さなければならない。
自分の迷いにも決着をつけるために。
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