我が家の床下で築くハーレム王国
第52話ハナティアの姉
ハナティアと二人でプールを回る時間は凄く幸せだった。今まで俺は、雪音と雄一と一緒に何度も出掛けたことはあったが、こうして好きな人と二人でプールを堪能する何て事は初めてだった。
「ねえ翔平」
「ん?」
「私ここに来れてよかった。また来てみたい、今度は二人で」
「そうだな。旅行もそうだけど、夏休みはまだ残ってるから二人でどんどん出かけよう」
「うん」
結局俺達は、日が暮れるまでプールで遊び尽くした。サクヤもほんの少しだけ泳げるようになれたし、キャロルも大満足のようだった。そして何より、ハナティアが心の底から楽しんでくれた事が何よりも俺の幸せだった。
そしてその帰り道の電車内。
「ハナティア様もキャロル様も寝てしまいましたね」
「あれだけはしゃいだから疲れたんだよきっと。電車を降りる時に起こせばいいさ」
すっかり疲れてしまったハナティアとキャロルは二人揃ってぐっすり眠っており、起きてたのは俺とサクヤだけになった。
「翔平様、今日は改めてお礼を言わせていただきます。ありがとうございました」
「そんな改まる必要はないよ。皆楽しめたんだし」
「そうですけど。ハナティア様がああやって楽しんでいる姿を見ると、私嬉しくて」
「まあ楽しいのが一番だからな」
「そうですね」
正直ここ最近重たい話ばかりで、ああやって楽しそうにしているハナティアの姿を見たのは少し久しぶりだった。俺自身も最近は色々なことを考えてばかりで、心の底から何かを楽しめたのはある意味温泉以来だった。
「でもサクヤもなんだかんだで楽しめたからよかったよ」
「少しだけですけど、水に慣れることができました」
「まさかカナヅチだなんて予想できなかったけどさ」
「私にも苦手なものくらいありますよ」
サクヤは何でもできるようなイメージが俺の中にあったのは事実だった。でもまさかカナヅチという弱点があったなんて……。
「話は変わるけどさ、この夏休みが明けたらもうこうした楽しい事は出来なくなるのか?」
「はい。国の決まりでそうなります。翔平様には大変申し訳ないのですが、これはハナティア様の為にもなるんです」
「それってなんか寂しいよな。こうして楽しい事が、しばらく出来なくなるのって。でもいずれハナティアは出産の準備をする準備に入るから、そもそも出かけられないか」
「でもそれをハナティア様は望んでいるから、それでいいと私は思います」
「でも正直な話をしていいか」
「何でしょうか」
「国の存続のために子供を産む、それって間違っていないか?」
子供というのは、産んだ母親にとって、そして家族にとって大切な宝物。出産というのはある意味命をかけて行う。それを国の為という表現は、俺は間違っていると思う。
「それについては私も賛成です。ハナティア様のメイドとしてではなく、一人の女性としてその表現はおかしいとは思っていました。しかし、私達は国を発展させるためにも、ハナティア様と翔平様にハナティア頑張っていただく他ないのです」
「俺とハナティアが、か。じゃあ俺から一つサクヤに聞きたい事がある」
「何でしょうか」
「今日の昼間、三人の飲み物を買いに行った時に、ハナティアを知っている女性と出会った」
だからこそ俺は今一度、今日俺が遭遇した事について聞いてみたかった。本当ならハナティアだけが背負う必要なんてないんじゃないかと、わずかな希望を抱いて。
「しかもその人はハナティアと髪の色も若干ながら顔と似ていた。それが誰なのか知っているか?」
「えっと、その方は……多分翔平様の言葉をただ聞き間違いしただけではないでしょうか?」
「いや、彼女は確かにハナティアって言ったぞ。むしろこの名前を聞き間違える方が珍しいんじゃないのか?」
「そ、それは……」
どこか言いづらそうな顔をするサクヤ。俺は昼の事をただの偶然とは思っていない。あれだけそっくりの人物が、ハナティアの名前を知っていた理由、それで尚且つ親ではないとしたらそれは……。
「翔平の出会った人、それってまさか私のお姉ちゃん?」
隣から声がする。どうやらハナティアは途中から話を聞いていたらしい。
「翔平、もしかして私のお姉ちゃんに会ったの?」
■□■□■□
やたら長く感じた電車での帰り道も終わり、外が既に真っ暗になった頃に我が家へと帰宅した。
「今日はありがとう、平ちゃん」
「いいって事よ。また時間があれば連れて行ってあげるからな」
「うん」
「では私も先に帰らせていただきますね」
「ああ、また近いうちトリナディアへ行くよ」
帰りの途中で夕飯を食べてきたので、サクヤもキャロルも家へ着くとすぐにトリナディアに帰っていく。しかし、ハナティアは家に残っていた。
「ハナティアは帰らないのか?」
「今日は翔平の家に泊めてほしい」
「構わないけど、どうしたんだよいきなり」
「さっきの話、翔平とちゃんとしたい」
「お前の姉の事か?」
「うん……」
正直ハナティアに姉がいたなんて思わなかった。俺の姉を柚お姉ちゃんって呼んでいるくらいだから、ハナティアは当然一人っ子だと思っていた。
(俺が勝手に決めつけていたとはいえ、やっぱり驚きだよな)
そして気になるのが、どうしてその彼女の姉が普通に地上へ出ているのか。何故ハナティアの元にいないのか。ハナティアの姉なら、当然姫になる権力があるわけで。
「何か話せない理由があったのか? お前の姉について」
「私のお姉ちゃんは私が本当に小さい頃に勘当されているの。それ以来誰もお姉ちゃんの事を口にしなくなった。サクヤが話すのを渋っていたのも、それが理由なの」
「勘当って、どうして一国の王の血を引く子供がそんな事されないといけないんだよ」
「私も詳しい事は分からない。誰も話してくれないから。でも一つはっきりしている事があるの」
「分かっている事?」
「私のお姉ちゃんは何があってもトリナディアには戻ってこない。たとえ勘当された原因がお姉ちゃん自身でなくても」
「ねえ翔平」
「ん?」
「私ここに来れてよかった。また来てみたい、今度は二人で」
「そうだな。旅行もそうだけど、夏休みはまだ残ってるから二人でどんどん出かけよう」
「うん」
結局俺達は、日が暮れるまでプールで遊び尽くした。サクヤもほんの少しだけ泳げるようになれたし、キャロルも大満足のようだった。そして何より、ハナティアが心の底から楽しんでくれた事が何よりも俺の幸せだった。
そしてその帰り道の電車内。
「ハナティア様もキャロル様も寝てしまいましたね」
「あれだけはしゃいだから疲れたんだよきっと。電車を降りる時に起こせばいいさ」
すっかり疲れてしまったハナティアとキャロルは二人揃ってぐっすり眠っており、起きてたのは俺とサクヤだけになった。
「翔平様、今日は改めてお礼を言わせていただきます。ありがとうございました」
「そんな改まる必要はないよ。皆楽しめたんだし」
「そうですけど。ハナティア様がああやって楽しんでいる姿を見ると、私嬉しくて」
「まあ楽しいのが一番だからな」
「そうですね」
正直ここ最近重たい話ばかりで、ああやって楽しそうにしているハナティアの姿を見たのは少し久しぶりだった。俺自身も最近は色々なことを考えてばかりで、心の底から何かを楽しめたのはある意味温泉以来だった。
「でもサクヤもなんだかんだで楽しめたからよかったよ」
「少しだけですけど、水に慣れることができました」
「まさかカナヅチだなんて予想できなかったけどさ」
「私にも苦手なものくらいありますよ」
サクヤは何でもできるようなイメージが俺の中にあったのは事実だった。でもまさかカナヅチという弱点があったなんて……。
「話は変わるけどさ、この夏休みが明けたらもうこうした楽しい事は出来なくなるのか?」
「はい。国の決まりでそうなります。翔平様には大変申し訳ないのですが、これはハナティア様の為にもなるんです」
「それってなんか寂しいよな。こうして楽しい事が、しばらく出来なくなるのって。でもいずれハナティアは出産の準備をする準備に入るから、そもそも出かけられないか」
「でもそれをハナティア様は望んでいるから、それでいいと私は思います」
「でも正直な話をしていいか」
「何でしょうか」
「国の存続のために子供を産む、それって間違っていないか?」
子供というのは、産んだ母親にとって、そして家族にとって大切な宝物。出産というのはある意味命をかけて行う。それを国の為という表現は、俺は間違っていると思う。
「それについては私も賛成です。ハナティア様のメイドとしてではなく、一人の女性としてその表現はおかしいとは思っていました。しかし、私達は国を発展させるためにも、ハナティア様と翔平様にハナティア頑張っていただく他ないのです」
「俺とハナティアが、か。じゃあ俺から一つサクヤに聞きたい事がある」
「何でしょうか」
「今日の昼間、三人の飲み物を買いに行った時に、ハナティアを知っている女性と出会った」
だからこそ俺は今一度、今日俺が遭遇した事について聞いてみたかった。本当ならハナティアだけが背負う必要なんてないんじゃないかと、わずかな希望を抱いて。
「しかもその人はハナティアと髪の色も若干ながら顔と似ていた。それが誰なのか知っているか?」
「えっと、その方は……多分翔平様の言葉をただ聞き間違いしただけではないでしょうか?」
「いや、彼女は確かにハナティアって言ったぞ。むしろこの名前を聞き間違える方が珍しいんじゃないのか?」
「そ、それは……」
どこか言いづらそうな顔をするサクヤ。俺は昼の事をただの偶然とは思っていない。あれだけそっくりの人物が、ハナティアの名前を知っていた理由、それで尚且つ親ではないとしたらそれは……。
「翔平の出会った人、それってまさか私のお姉ちゃん?」
隣から声がする。どうやらハナティアは途中から話を聞いていたらしい。
「翔平、もしかして私のお姉ちゃんに会ったの?」
■□■□■□
やたら長く感じた電車での帰り道も終わり、外が既に真っ暗になった頃に我が家へと帰宅した。
「今日はありがとう、平ちゃん」
「いいって事よ。また時間があれば連れて行ってあげるからな」
「うん」
「では私も先に帰らせていただきますね」
「ああ、また近いうちトリナディアへ行くよ」
帰りの途中で夕飯を食べてきたので、サクヤもキャロルも家へ着くとすぐにトリナディアに帰っていく。しかし、ハナティアは家に残っていた。
「ハナティアは帰らないのか?」
「今日は翔平の家に泊めてほしい」
「構わないけど、どうしたんだよいきなり」
「さっきの話、翔平とちゃんとしたい」
「お前の姉の事か?」
「うん……」
正直ハナティアに姉がいたなんて思わなかった。俺の姉を柚お姉ちゃんって呼んでいるくらいだから、ハナティアは当然一人っ子だと思っていた。
(俺が勝手に決めつけていたとはいえ、やっぱり驚きだよな)
そして気になるのが、どうしてその彼女の姉が普通に地上へ出ているのか。何故ハナティアの元にいないのか。ハナティアの姉なら、当然姫になる権力があるわけで。
「何か話せない理由があったのか? お前の姉について」
「私のお姉ちゃんは私が本当に小さい頃に勘当されているの。それ以来誰もお姉ちゃんの事を口にしなくなった。サクヤが話すのを渋っていたのも、それが理由なの」
「勘当って、どうして一国の王の血を引く子供がそんな事されないといけないんだよ」
「私も詳しい事は分からない。誰も話してくれないから。でも一つはっきりしている事があるの」
「分かっている事?」
「私のお姉ちゃんは何があってもトリナディアには戻ってこない。たとえ勘当された原因がお姉ちゃん自身でなくても」
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