我が家の床下で築くハーレム王国

りょう

第51話バカップルです

 ハナティアとよく似た女性と遭遇した後、皆の元へ戻った俺は早速サクヤが作った弁当を舌鼓した。

「うん、美味い」

「そう言っていただけると嬉しいです」

「流石サクヤ、私も見習わないと」

「ハナちゃんには、今度私が教えてあげるね」

「キャロルは料理ができるのか?」

「これでも一人暮らしなの。だから平ちゃんと同じく家事全般できる」

「なるほど。それはハナティアも見習わないとな」

 それにしてもサクヤが作ったこの弁当、そこらのシェフが作る料理のレベルを遥かに越えるくらい美味しい。この卵焼きだって、ただの卵焼きのはずなのにいつもと違う味わいがする。

「というか日本の料理もできるんだな」

「そういう知識は地上の方から仕入れているので。これでも咲田様を迎え入れるために勉強したんですよ?」

「そっか。それはすごいな」

 言われてみればトリナディアに来てから、変な料理を食べた記憶はない。それはわざわざ俺に合わせて料理を変えてくれたという事なのだろうか。

(それだったら、ある意味責任重大だよな)

 それから二十分後。美味しい昼食も終わり、俺達は再びプールで泳ごうとしたのだが、案の定サクヤがカナヅチなので、地下にある温水プールで食やすめをする事に。

「これなら私もゆっくりできます」

「ここはプールというよりはちょっとした温泉みたいだしな。こうやって寝転がっても大丈夫だし」

「でもずっと居たらふやけそうね」

「まあそれは本人のさじ加減だろうな」


 他のお客さんもいる中、俺達はまったりした時間を過ごす。

「はぁ、気持ちいいな」

 先程あったこともすっかり忘れ、ボーッと何も考えずにお湯に浸っていると、ハナティアが俺の隣にやってきた。

「プールって楽しいところなんだね、翔平」

「だろ?  夏といえばプールや海だからな。ハナティアに楽しんでもらえて嬉しいよ」

「連れてきてくれてありがとう」

「礼を言われるほどじゃないよ。俺の方こそ礼を言いたいくらいだし」

 改めてハナティアを見ると、やはり水着姿がものすごく似合っていた。温泉に行った時も浴衣が似合っていたけど、水着姿は別格。こういう時こそ、男として生まれてよかったと思える瞬間だ。

「じ、ジロジロ見ないでよ。恥ずかしい……」

「何を今更恥ずかしがっているんだよ」

「は、恥ずかしがったっていいでしょ?!」

 照れ隠しからなのか、ハナティアが俺をポカポカ叩いてくる。そんなやり取りをしながらも、俺達はゆったりした時間を過ごす。

「ねえ翔平」

「ん?」

「何か隠し事しているでしょ?」

 そんな中ふいにハナティアがそんな事を言い出した。

「何だよいきなり」

「さっき私達の飲み物を買いに行っている時、ちらっと翔平と誰かが話しているのを見たの」

「何だその事か。別に隠し事と言えるような事はしてないよ。向こうも結局、何も言わないでどっか行ったし」

「なら、いいんだけど」

 俺は先ほどのハナティアとよく似ていた人物を思い出す。彼女は一体何者なのか、正直なところ憶測ではあるけど、見当がついている。でもただの偶然だとも思っている自分がいる。

(でもハナティアの名前を知っていた以上、関係ないわけがないよな)

「翔平?」

「あ、悪い。何か言ったか」

「何も言ってないけど、さっきから黙っている時間が多い」

「ちょっと眠いだけだよ」

 変に悟られないように上手く誤魔化す。ハナティアはそのあと、それ以上の事は聞いてこなかった。俺もハナティアに試しに聞いてみようかと考えたが、結局やめる。

(まあ、いつかは分かるよな多分……)

 もしかしたら触れられたくない傷かもしれないし。

 ■□■□■□
 温水プールを堪能した後は、それぞれが思うがままに好きな場所で遊んだ。キャロルはウォータースライダーが気に入ったのか、何度も並んで楽しんでいる。サクヤは泳げないので温水プールでくつろかな、俺はハナティアと一緒に色々なところを回っていた。

「翔平、行くよ!」

「うわ、ちょ、いきなり抱きつくな」

 今俺達がいるのは流れるプール。流れに身をまかせる最中、ハナティアが飛びついてきたせいで彼女もろともプールにダイビングしてしまう。

「ぶはっ、いきなりは怖いからやめてくれよ」

「いいじゃん。折角二人だけの時間になったんだから」

「いや、まあ、そうだけど」

 さっきから周りの視線がすごく気になる。バカップルとかに見られていないだろうか。

「もう翔平はこういう時だけ楽しもうとしないんだから。あ、もしかしてこういうの初めてだから慣れてないとか?」

「そ、それはお前だけには言われたくない!  俺だって雪音や雄一達と泳ぎに来た事あるし」

「へぇ。ある割にはさっきからぎこちないけど」

「あ、あのな。それは周りの目が気になってだな」

「はいはい、気にしない気にしない」

 よほど嬉しいのかどんどんハナティアが俺の手を引っ張っていく。俺はというと周りの視線に緊張しながらも、彼女に引っ張られていく。

「次はどこへ行こうか翔平」

 俺を引っ張りながらハナティアが尋ねてくる。

「じゃああのウォータースライダーに行くか?」

 そう言って指差したのはここでも一番大きいウォータースライダー。俺もあれには一度乗ってみたかったのだが、なかなか人混みが多く後回しにしていた。

「え、あ、あれに乗るの?」

「どうしたんだよ急にビビって。午前中あんなに楽しんでたのに」

「それは他のウォータースライダーは楽しかったけど、あれはちょっといいかな」

「そこまで言うなら、違うのにするけどさ」

 俺が乗ろうとしたのは、トンネル型でかなり長いウォータースライダー。別に何も怖い事ないのに、どうしたのだろうか急に。

「じゃあ最初に乗ったウォータースライダーにするか」

「う、うん」

 結局この日、彼女があのウォータースライダーに乗れなかった謎はが解けることはなかった。そしてその謎が解けるのはもっとしばらく経った後の事になる。

「も、もうあれだけは乗りたくないわよ!」

「いや、なんで怒っているんだよ」

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