我が家の床下で築くハーレム王国
第2話始まりはゴールイン
気になる事を言われたとはいえど、まだ決断には踏み出せず、もうしばらくだけ時間をもらう事にしたところで、話は現在に戻ってくる。
地上とも連結しているからなのか、テレビやその他の家電もある程度は流通しており、暮らしは地上とはあまり変わらない。ただし、先程のニュースでやっていた通り、かなり騒がれてしまっているのが現状だ。その影響もあってか、俺はかれこれ三日もこの地下王国で暮らす事になっていた。
(入学式に行けなかったのはマズイよな……)
こんなニュースになってたら、通学する事も出来ないかもしれないくらいだ。
「そういえば姫はまだ帰ってきてないのか?」
三日目の昼、俺は城で出された昼飯を食べながら彼女に尋ねた。この三日間俺に代わってあの姫が留守番ならぬ居留守をしていたわけだけど、いつになったら戻ってくるのかと疑問に思っていた。
「本日ご帰宅なされると思います。よろしければあなた様もお話ししてみてはいかがでしょうか」
「まあ、一応話だけは聞くつもりだけどさ」
あの全裸少女と三日振りに会うわけだけど、果たしてどんな話をすればいいのだろうか。そもそもただ一人の運命の人なんて言われてしまったら(本人は言ってないけど)、会うのが少し恥ずかしい。
(しかも相手は一国の姫だし)
そんな事考えるとつい食事の手が止まってしまう。色々考えすぎるのが悪い癖だけど、こればかりはこの先の事がただ不安になるだけだった。
「ついでにもう一つ聞いてなかったんだけど、お前は名前なんて言うんだ?」
そんな気を紛らわすために、俺はこの三日間ずっと聞き忘れていた初歩的な質問をする。
「自己紹介がまだでしたっけ。私はハナティア様に仕えるメイドのサクヤと申します。もし今回の話を了承してくれるのなら、長い付き合いになると思いますのでよろしくお願いします」
サクヤとハナティア。この三日間一度も聞くことがなかった名前。どちらも変わった名前だけど、ハナティアとかの名前とかに比べてサクヤが普通の名前に俺は少し驚く。
「サクヤって、普通にありそうな名前だよな」
「そうでしょうか。まあ、私の親は元は地上の者ですからその影響もあるのかもしれません」
「元々地上の者、ねぇ」
だったら彼女はあのハナティアよりは、地上の知識はあるという事だろうか。でもそれだと、さっきの地上の事はあまり知らないような発言達は一体どうなのだろうか。
「地上で暮らしていたとは言っても、期間は短いのでそこまで知識はないんですよ。最近の知識はむしろ知らないくらいです。PHSとかなら知っていますけど」
「いや、いつの時代だよそれ」
「姫様にはスマホを持たせるつもりです」
「何て近代的!」
時代が遅れているのか、遅れていないのかどっちなのやら。
「ただいまサクヤ」
「あ、ハナティアさまがお帰りになられましたね」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
三日間俺の家に居候をしていたというか勝手に住んでいたハナティアがようやく城に帰って来た。
帰宅したのはいいのだけれど……。
「えっと、ハナティア、さん?」
「何?」
「その両手に持っている紙袋は?」
「服」
「いや、それは見れば分かりますけど」
彼女は両手に渋谷の数字が三つの名前店の名前が書いてある紙袋を大量に持っていた。そのあまりの数に思わず敬語になってしまう俺。
(いや、確かに渋谷の近くにある家だけどさ)
まさかこの三日間をそれに費やしたのか、と思うと何ともコメントしにくい。というかガッツリ楽しんでるし。
「買い物楽しかった」
「昨日は服に興味なかったのにか?」
「別に興味がなかったわけじゃない。着るのが面倒臭かっただけ」
「俺お前の今後が心配だわ」
ちゃっかり着ている服もそこで買ったものみたいだし、どれだけ金を使ったのかあとで聞いてみたいくらいだ。
「それでサクヤは話したの?」
「はい。一通りの説明はしました」
「そう」
ハナティアの言葉には、どこか冷酷さを感じる。なんというかこういう事をするのが、本当は不本意みたいな感じが彼女からはしていた。
(まあ計画自体、無茶苦茶ではあるけど)
果たして本人がどう思っているのかは、完全には分からない。ただでさえ、自分の人生がかかっているかもしれないのだから、気が進まない気持ちも分かる。
「それで翔平は、どうするの?」
「どうするって言われても、そんな簡単には結論は出せないよ。って、今俺の名前を……」
「とりあえず二人で話したいから、私の部屋来て」
そう言って部屋を出て行くハナティア。
「これって行くべきなのか?」
しかも行く場所が一人の女の子の部屋だなんて考えたら、男として抵抗を感じる。
「是非。二人だけでお話ししてきてください。部屋には私がご案内しますので」
そんな俺に対して何故かノリノリのサクヤの案内で、俺はとりあえずハナティアの部屋へと向かった。
(いいのか、本当にこれで)
これ以上踏み込んだら後には引けない気もする。
「男が女性の部屋に入るのってあれだけど、大丈夫なのか?」
「ご心配なく。ハナティア様はあなた様を信頼しておりますから」
「信頼って言われてもな」
俺はいつあなたに信頼されるような事をしましたか?
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
「では、どうぞ二人でごゆっくり」
ハナティアの部屋に入ると、茶菓子だけ出してサクヤは部屋を出て行く。残されたのは俺とハナティアのみ。
(こうやって女の子の部屋に入るのなんて、滅多にないけど……)
やはり緊張はしてしまう。部屋は何とも女の子らしい雰囲気だけど(人形とかがその辺に置いてあったりする)、その中にいるハナティアがいかにもみたいなオーラを出している。
(まあ一国の姫なだけはあるよな)
服装は渋谷で売っているものだけど。
「どう? ここに来て多分三日は経っているけど」
「どうとは言われても、城から出てないからな。というか別の事でずっと悩んでばかりだし」
「サクヤから話は聞いているんでしょ?」
「一応は。でもまだ納得できてないところが多かったりする」
「気持ちは分からなくもないけどね」
どこか無関心さが彼女から伝わってくるような会話が続く。さっきも感じたけど、本当は嫌だったりするのかな。
「それで答えは決まったの?」
「まだ。お前からも話は聞いておきたかったし」
「私から?」
「だってその話の要になっているのが、お前と俺みたいなものなんだろ? それに子作りなんて簡単にできる話でもないし、俺には地上での生活もある。だからハナティア自身はどう思っているのか知っておきたい」
「私は……」
言葉を少しだけ詰まらせるハナティア。やはり彼女も賛成できてないんじゃ……。
「この計画すごく賛成なんだ!」
パアッ
思わずそんな音が出てしまいそうなくらい表情が変化するハナティア。
(あ、あれ?)
「え、ちょっ、どうした?」
その唐突な変化に俺は思わずたじろぐ。さっきまでの冷酷さはどこへ消えてしまったのやら。
「だってやっと子作りができるんだもん。女ばかりのこの国じゃ、そっち路線な関係ばかりの人達が多いけど、私みたいにロマンを求める人もいる。そう、私にとってはただ一人の運命の人なの。だから是非子作りしましょう」
「いや、だからちょっと待てって。お、俺はいきなりそんな事は……」
「ほら、今からでも、さあ!」
布団に潜りこんで、いざと言わんばかりに誘ってくるハナティア。もしかして彼女、さっきまでのはあくまで姫としてのキャラクターで、こっちが本性? だとしたら、すごい危ない香りがする。
ここで誘いに乗ってしまったら、物語的にもジエンドになる。なのでここは……。
(逃げよう!)
「あ、ちょっとどうして逃げるの? 早く」
「お、俺はまだ犯罪には走りたくない!」
俺は部屋を飛び出した。まだ見た目は幼い女の子と、そんな事をしたら確実に犯罪者の仲間入りだ。小説で例えるなら、冒頭一ページから結婚を申し込まれてゴールしているようなものだ。
(いかんいかん、これはマズイ)
どうやら俺は、とんでもない事に巻き込まれてしまったようだ。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
一方一人部屋に取り残されたハナティア。
「ちぇ、折角のチャンスだったのに」
いきなり飛ばしすぎた事に少し後悔をしていた。でもこの国の未来のためならと思うと、反省はしない。それに翔平は気づいていないけど……。
(まだ先は長いのかなやっぱり)
ここまで積み上げてきたものもやはり無駄だったので、今はこれくらいがいいのかもしれない。少し刺激が強いけれど、城の外へ出ればもっと危ない。あそこは更に刺激が強い子達がいる。
だからせめて、今のうちに……。
「って、早く追わないと」
私は彼がい部屋を出て間もなく、後を追うように部屋を飛び出していた。
(こんな所で終わらせたくない。ずっと、ずっとこの時を私は待っていたんだから)
地上とも連結しているからなのか、テレビやその他の家電もある程度は流通しており、暮らしは地上とはあまり変わらない。ただし、先程のニュースでやっていた通り、かなり騒がれてしまっているのが現状だ。その影響もあってか、俺はかれこれ三日もこの地下王国で暮らす事になっていた。
(入学式に行けなかったのはマズイよな……)
こんなニュースになってたら、通学する事も出来ないかもしれないくらいだ。
「そういえば姫はまだ帰ってきてないのか?」
三日目の昼、俺は城で出された昼飯を食べながら彼女に尋ねた。この三日間俺に代わってあの姫が留守番ならぬ居留守をしていたわけだけど、いつになったら戻ってくるのかと疑問に思っていた。
「本日ご帰宅なされると思います。よろしければあなた様もお話ししてみてはいかがでしょうか」
「まあ、一応話だけは聞くつもりだけどさ」
あの全裸少女と三日振りに会うわけだけど、果たしてどんな話をすればいいのだろうか。そもそもただ一人の運命の人なんて言われてしまったら(本人は言ってないけど)、会うのが少し恥ずかしい。
(しかも相手は一国の姫だし)
そんな事考えるとつい食事の手が止まってしまう。色々考えすぎるのが悪い癖だけど、こればかりはこの先の事がただ不安になるだけだった。
「ついでにもう一つ聞いてなかったんだけど、お前は名前なんて言うんだ?」
そんな気を紛らわすために、俺はこの三日間ずっと聞き忘れていた初歩的な質問をする。
「自己紹介がまだでしたっけ。私はハナティア様に仕えるメイドのサクヤと申します。もし今回の話を了承してくれるのなら、長い付き合いになると思いますのでよろしくお願いします」
サクヤとハナティア。この三日間一度も聞くことがなかった名前。どちらも変わった名前だけど、ハナティアとかの名前とかに比べてサクヤが普通の名前に俺は少し驚く。
「サクヤって、普通にありそうな名前だよな」
「そうでしょうか。まあ、私の親は元は地上の者ですからその影響もあるのかもしれません」
「元々地上の者、ねぇ」
だったら彼女はあのハナティアよりは、地上の知識はあるという事だろうか。でもそれだと、さっきの地上の事はあまり知らないような発言達は一体どうなのだろうか。
「地上で暮らしていたとは言っても、期間は短いのでそこまで知識はないんですよ。最近の知識はむしろ知らないくらいです。PHSとかなら知っていますけど」
「いや、いつの時代だよそれ」
「姫様にはスマホを持たせるつもりです」
「何て近代的!」
時代が遅れているのか、遅れていないのかどっちなのやら。
「ただいまサクヤ」
「あ、ハナティアさまがお帰りになられましたね」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
三日間俺の家に居候をしていたというか勝手に住んでいたハナティアがようやく城に帰って来た。
帰宅したのはいいのだけれど……。
「えっと、ハナティア、さん?」
「何?」
「その両手に持っている紙袋は?」
「服」
「いや、それは見れば分かりますけど」
彼女は両手に渋谷の数字が三つの名前店の名前が書いてある紙袋を大量に持っていた。そのあまりの数に思わず敬語になってしまう俺。
(いや、確かに渋谷の近くにある家だけどさ)
まさかこの三日間をそれに費やしたのか、と思うと何ともコメントしにくい。というかガッツリ楽しんでるし。
「買い物楽しかった」
「昨日は服に興味なかったのにか?」
「別に興味がなかったわけじゃない。着るのが面倒臭かっただけ」
「俺お前の今後が心配だわ」
ちゃっかり着ている服もそこで買ったものみたいだし、どれだけ金を使ったのかあとで聞いてみたいくらいだ。
「それでサクヤは話したの?」
「はい。一通りの説明はしました」
「そう」
ハナティアの言葉には、どこか冷酷さを感じる。なんというかこういう事をするのが、本当は不本意みたいな感じが彼女からはしていた。
(まあ計画自体、無茶苦茶ではあるけど)
果たして本人がどう思っているのかは、完全には分からない。ただでさえ、自分の人生がかかっているかもしれないのだから、気が進まない気持ちも分かる。
「それで翔平は、どうするの?」
「どうするって言われても、そんな簡単には結論は出せないよ。って、今俺の名前を……」
「とりあえず二人で話したいから、私の部屋来て」
そう言って部屋を出て行くハナティア。
「これって行くべきなのか?」
しかも行く場所が一人の女の子の部屋だなんて考えたら、男として抵抗を感じる。
「是非。二人だけでお話ししてきてください。部屋には私がご案内しますので」
そんな俺に対して何故かノリノリのサクヤの案内で、俺はとりあえずハナティアの部屋へと向かった。
(いいのか、本当にこれで)
これ以上踏み込んだら後には引けない気もする。
「男が女性の部屋に入るのってあれだけど、大丈夫なのか?」
「ご心配なく。ハナティア様はあなた様を信頼しておりますから」
「信頼って言われてもな」
俺はいつあなたに信頼されるような事をしましたか?
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
「では、どうぞ二人でごゆっくり」
ハナティアの部屋に入ると、茶菓子だけ出してサクヤは部屋を出て行く。残されたのは俺とハナティアのみ。
(こうやって女の子の部屋に入るのなんて、滅多にないけど……)
やはり緊張はしてしまう。部屋は何とも女の子らしい雰囲気だけど(人形とかがその辺に置いてあったりする)、その中にいるハナティアがいかにもみたいなオーラを出している。
(まあ一国の姫なだけはあるよな)
服装は渋谷で売っているものだけど。
「どう? ここに来て多分三日は経っているけど」
「どうとは言われても、城から出てないからな。というか別の事でずっと悩んでばかりだし」
「サクヤから話は聞いているんでしょ?」
「一応は。でもまだ納得できてないところが多かったりする」
「気持ちは分からなくもないけどね」
どこか無関心さが彼女から伝わってくるような会話が続く。さっきも感じたけど、本当は嫌だったりするのかな。
「それで答えは決まったの?」
「まだ。お前からも話は聞いておきたかったし」
「私から?」
「だってその話の要になっているのが、お前と俺みたいなものなんだろ? それに子作りなんて簡単にできる話でもないし、俺には地上での生活もある。だからハナティア自身はどう思っているのか知っておきたい」
「私は……」
言葉を少しだけ詰まらせるハナティア。やはり彼女も賛成できてないんじゃ……。
「この計画すごく賛成なんだ!」
パアッ
思わずそんな音が出てしまいそうなくらい表情が変化するハナティア。
(あ、あれ?)
「え、ちょっ、どうした?」
その唐突な変化に俺は思わずたじろぐ。さっきまでの冷酷さはどこへ消えてしまったのやら。
「だってやっと子作りができるんだもん。女ばかりのこの国じゃ、そっち路線な関係ばかりの人達が多いけど、私みたいにロマンを求める人もいる。そう、私にとってはただ一人の運命の人なの。だから是非子作りしましょう」
「いや、だからちょっと待てって。お、俺はいきなりそんな事は……」
「ほら、今からでも、さあ!」
布団に潜りこんで、いざと言わんばかりに誘ってくるハナティア。もしかして彼女、さっきまでのはあくまで姫としてのキャラクターで、こっちが本性? だとしたら、すごい危ない香りがする。
ここで誘いに乗ってしまったら、物語的にもジエンドになる。なのでここは……。
(逃げよう!)
「あ、ちょっとどうして逃げるの? 早く」
「お、俺はまだ犯罪には走りたくない!」
俺は部屋を飛び出した。まだ見た目は幼い女の子と、そんな事をしたら確実に犯罪者の仲間入りだ。小説で例えるなら、冒頭一ページから結婚を申し込まれてゴールしているようなものだ。
(いかんいかん、これはマズイ)
どうやら俺は、とんでもない事に巻き込まれてしまったようだ。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
一方一人部屋に取り残されたハナティア。
「ちぇ、折角のチャンスだったのに」
いきなり飛ばしすぎた事に少し後悔をしていた。でもこの国の未来のためならと思うと、反省はしない。それに翔平は気づいていないけど……。
(まだ先は長いのかなやっぱり)
ここまで積み上げてきたものもやはり無駄だったので、今はこれくらいがいいのかもしれない。少し刺激が強いけれど、城の外へ出ればもっと危ない。あそこは更に刺激が強い子達がいる。
だからせめて、今のうちに……。
「って、早く追わないと」
私は彼がい部屋を出て間もなく、後を追うように部屋を飛び出していた。
(こんな所で終わらせたくない。ずっと、ずっとこの時を私は待っていたんだから)
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