我が家の床下で築くハーレム王国
第15話私の愛はフォーエバー
ゴールデンウィークが終わって一週間。大学の昼休み、いつもの三人で昼食を食べていると正志がふとこんな事を言ってきた。
「そういえば最近、翔平元気ないけど何かあったのか?」
「え? まあ、あったて言えばあったけど」
俺は一週間前の事をずっと今日まで引きずっていた。本当なら気にしないようにしたかったのだが、どうも忘れることができない。それを証拠に、俺はあれから一日もトリナディアに行っていない。
「また床に穴が開いたんですか?」
「いや、そうじゃない。ただ、ハナティアと少しだけいざこざがあってな」
「ああ、あの姫の」
何度か会っている上意気投合していたので、二人は勿論面識がある。ただ、それ以上の詳細は話していないし、例の計画の事も話していない。
「まさか翔平、お前あの姫に恋しているのか?」
「馬鹿そういう話じゃねえよ。ちょっと喧嘩みたいなのをしたくらいだよ」
「じゃあ謝らないといけませんね」
「まあ、そうなるのかな……」
謝る必要があるのかは分からないけど、ハナティアが泣いていたのは事実だ。でも俺も、知りたい事を知ろうとしただけだし、それでどうしてハナティアが泣いてしまったのかも分からない。
「なんかお前変わったな」
「変わったって?」
「お前がそんなに悩んでいる姿初めて見たよ。普段そんなに悩む人間じゃないのに」
「それはそれで失礼だろ」
「まあ、一人じゃどうしようもなくなったら、俺達に相談してくれよ。その為の親友なんだから」
「そうだな、ありがとう」
こういう時に思うのは多少失礼かもしれないが、こうやって心置きなく相談できる相手がいる俺は、やはり幸せ者なのかもしれない。相談でなくてもただ話をするだけでも、心が軽くなる。本当親友っていいものだとつくづく感じる。
(明日は休みだし、行くか)
あれから色々あやふやなままだし、これ以上間を空けてしまうと気まづさが増してしまうので、ハナティアに会いに行こう。
その日の帰り道。雪音とは途中で別れ、正志と二人でくだらない会話をしながら帰っていた。
「なあ翔平、一つ気になっていたんだけど」
「何だよ」
「さっきから人影がちらほら見えるんだけど、あれハナティアちゃんじゃないのか?」
「あ」
正志に言われて後ろを振り返る。あちらも俺が突然振り返るのを予測できていなかったのか、姿を隠しきれていない。むしろバレバレだ。
「悪い正志、先に帰っていてくれないか?」
「話したい事があるんだろ? だったら俺は邪魔だよな」
「別に邪魔ではないけどな。ちょっと行ってくる」
「おう、行ってこい」
正志に背中を押され、隠れきれていないその人物の元に寄っていく。
「別に隠れてストーカーみたいな事しなくて、よかったんじゃないのか?」
俺が声をかけると、電柱に隠れていた人物は顔だけ出して俺を見た。
「だって翔平、あれから一度も来なかったら怒っているのかと思って」
「俺は小学生じゃないんだから、ずっと怒っているなんて事はないよ。気にはしていたけどさ」
「本当に?」
「ああ。それに今日トリナディアに行くつもりだった」
 正志や雪音が背中を押してくれた事もあってか、行く事に対しての戸惑いはなかった。あの話の続きをできるかは分からないけど、せめて今はあそこに帰って、ハナティアと話をしたかった。
「明日休みだし、今からトリナディアに行っていいか?」
「勿論!」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
という訳で一週間振りにトリナディアへとやって来た。大学終わってからの時間だったので、夕食は外で済ませて今日は寝るだけだった。
「ダーリン! 会いに来たよー」
ハナティアと共に部屋でゆっくりしようと思っていたが、部屋で待っていたのはいつか会った事があるようなないような、ミルという少女だった。
「ミル、あんた何やっているのよ。勝手に人の部屋に入って」
「だって、ダーリンにずっと会えなかったんだもん。けど、今日なら会えそうな予感がしたから来てみた」
「来てみたじゃないわよ。あといつまで、彼の事ダーリンって呼ぶ気?」
「私の愛はフォーエバー。つまり永遠。いつまてまもダーリンって呼ぶに決まっているじゃない」
「相変わらずあんた、頭が狂っているわね」
(何だよこのテンションの差)
ミルのおかしなテンションと、相変わらずのハナティアの演じ分けの差に、変な空気が生まれる。俺が先程から黙っているのはその影響であったりする。
「でも本当に久しぶりにダーリンに会えてよかった。もう会えないと思ってたもん」
「たかが一ヶ月くらいで随分大袈裟だな。勝手に人の部屋に不法侵入しておいて」
「一カ月でも私は不安なの。だからいいでしょ」
「別によくはねえよ」
そんな感じでミルはこの後も散々俺達を振り回した後、はしゃぎ過ぎて疲れたのか、何故か勝手に眠ってしまった。
「まさか勝手にはしゃいで、勝手に寝るとは……」
「この子はそういう人間だから」
「昔からこれだと、ちょっと嫌だな」
「でも嫌いじゃないわよ。この子だっていい所はあるんだから」
「ふぅん。例えば?」
「ほら、鬱陶しい所とか」
「それ絶対褒めてないよな」
鬱陶しいところがいいところって、どうなんだよそれ。よくそれで幼馴染とか続けられるな。
「ところで翔平に一つ相談なんだけど」
「何だ?」
「ミルが私のベッド使っちゃったから、今日は翔平の部屋に泊めてくれない?」
「俺の部屋って言っても、お前に借りている部屋だけどな。まあ別に構わないけど」
「ありがとう」
この後俺の部屋に行き、寝る前にまた少しだけ話をした。
「ハナティアって結構恵まれているよな」
「何よいきなり」
「だってほら、姫ってどちらかというと箱入り娘みたいなものだから、なかなか幼馴染とかいないだろ?」
「だろって言われても……。でも私どちらかというと、城から出ることが多かったと思う」
「外に出て何かやっているのか?」
「色々とね。城の中にいても退屈だし」
「まあ、そうだよな普通は」
俺も同じ立場だったら、退屈で死にたくなる。だから彼女の外へ出たいという気持ちも分かる。
「ミウもキャロルも、私が姫であってもああやって分け隔てなく接してくれるのがいい所なの。だからこれまでずっと大切にしてきた親友だし、多分これからもずっと続くと思うの」
「続くといいな」
俺にも正志と雪音がいるが、大学を卒業したらそれぞれの道を進んでしまい、会える回数も減る。もちろんハナティアとも会える回数も減るだろう。
「翔平ともこの先続くといいなぁ。いや、ずっと続いているからいいのかな」
寝る直前、ハナティアはそんな事を言っていたけど俺にはその意味が分からなかった。
(ずっと続いている?)
何の事だろう。
「そういえば最近、翔平元気ないけど何かあったのか?」
「え? まあ、あったて言えばあったけど」
俺は一週間前の事をずっと今日まで引きずっていた。本当なら気にしないようにしたかったのだが、どうも忘れることができない。それを証拠に、俺はあれから一日もトリナディアに行っていない。
「また床に穴が開いたんですか?」
「いや、そうじゃない。ただ、ハナティアと少しだけいざこざがあってな」
「ああ、あの姫の」
何度か会っている上意気投合していたので、二人は勿論面識がある。ただ、それ以上の詳細は話していないし、例の計画の事も話していない。
「まさか翔平、お前あの姫に恋しているのか?」
「馬鹿そういう話じゃねえよ。ちょっと喧嘩みたいなのをしたくらいだよ」
「じゃあ謝らないといけませんね」
「まあ、そうなるのかな……」
謝る必要があるのかは分からないけど、ハナティアが泣いていたのは事実だ。でも俺も、知りたい事を知ろうとしただけだし、それでどうしてハナティアが泣いてしまったのかも分からない。
「なんかお前変わったな」
「変わったって?」
「お前がそんなに悩んでいる姿初めて見たよ。普段そんなに悩む人間じゃないのに」
「それはそれで失礼だろ」
「まあ、一人じゃどうしようもなくなったら、俺達に相談してくれよ。その為の親友なんだから」
「そうだな、ありがとう」
こういう時に思うのは多少失礼かもしれないが、こうやって心置きなく相談できる相手がいる俺は、やはり幸せ者なのかもしれない。相談でなくてもただ話をするだけでも、心が軽くなる。本当親友っていいものだとつくづく感じる。
(明日は休みだし、行くか)
あれから色々あやふやなままだし、これ以上間を空けてしまうと気まづさが増してしまうので、ハナティアに会いに行こう。
その日の帰り道。雪音とは途中で別れ、正志と二人でくだらない会話をしながら帰っていた。
「なあ翔平、一つ気になっていたんだけど」
「何だよ」
「さっきから人影がちらほら見えるんだけど、あれハナティアちゃんじゃないのか?」
「あ」
正志に言われて後ろを振り返る。あちらも俺が突然振り返るのを予測できていなかったのか、姿を隠しきれていない。むしろバレバレだ。
「悪い正志、先に帰っていてくれないか?」
「話したい事があるんだろ? だったら俺は邪魔だよな」
「別に邪魔ではないけどな。ちょっと行ってくる」
「おう、行ってこい」
正志に背中を押され、隠れきれていないその人物の元に寄っていく。
「別に隠れてストーカーみたいな事しなくて、よかったんじゃないのか?」
俺が声をかけると、電柱に隠れていた人物は顔だけ出して俺を見た。
「だって翔平、あれから一度も来なかったら怒っているのかと思って」
「俺は小学生じゃないんだから、ずっと怒っているなんて事はないよ。気にはしていたけどさ」
「本当に?」
「ああ。それに今日トリナディアに行くつもりだった」
 正志や雪音が背中を押してくれた事もあってか、行く事に対しての戸惑いはなかった。あの話の続きをできるかは分からないけど、せめて今はあそこに帰って、ハナティアと話をしたかった。
「明日休みだし、今からトリナディアに行っていいか?」
「勿論!」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
という訳で一週間振りにトリナディアへとやって来た。大学終わってからの時間だったので、夕食は外で済ませて今日は寝るだけだった。
「ダーリン! 会いに来たよー」
ハナティアと共に部屋でゆっくりしようと思っていたが、部屋で待っていたのはいつか会った事があるようなないような、ミルという少女だった。
「ミル、あんた何やっているのよ。勝手に人の部屋に入って」
「だって、ダーリンにずっと会えなかったんだもん。けど、今日なら会えそうな予感がしたから来てみた」
「来てみたじゃないわよ。あといつまで、彼の事ダーリンって呼ぶ気?」
「私の愛はフォーエバー。つまり永遠。いつまてまもダーリンって呼ぶに決まっているじゃない」
「相変わらずあんた、頭が狂っているわね」
(何だよこのテンションの差)
ミルのおかしなテンションと、相変わらずのハナティアの演じ分けの差に、変な空気が生まれる。俺が先程から黙っているのはその影響であったりする。
「でも本当に久しぶりにダーリンに会えてよかった。もう会えないと思ってたもん」
「たかが一ヶ月くらいで随分大袈裟だな。勝手に人の部屋に不法侵入しておいて」
「一カ月でも私は不安なの。だからいいでしょ」
「別によくはねえよ」
そんな感じでミルはこの後も散々俺達を振り回した後、はしゃぎ過ぎて疲れたのか、何故か勝手に眠ってしまった。
「まさか勝手にはしゃいで、勝手に寝るとは……」
「この子はそういう人間だから」
「昔からこれだと、ちょっと嫌だな」
「でも嫌いじゃないわよ。この子だっていい所はあるんだから」
「ふぅん。例えば?」
「ほら、鬱陶しい所とか」
「それ絶対褒めてないよな」
鬱陶しいところがいいところって、どうなんだよそれ。よくそれで幼馴染とか続けられるな。
「ところで翔平に一つ相談なんだけど」
「何だ?」
「ミルが私のベッド使っちゃったから、今日は翔平の部屋に泊めてくれない?」
「俺の部屋って言っても、お前に借りている部屋だけどな。まあ別に構わないけど」
「ありがとう」
この後俺の部屋に行き、寝る前にまた少しだけ話をした。
「ハナティアって結構恵まれているよな」
「何よいきなり」
「だってほら、姫ってどちらかというと箱入り娘みたいなものだから、なかなか幼馴染とかいないだろ?」
「だろって言われても……。でも私どちらかというと、城から出ることが多かったと思う」
「外に出て何かやっているのか?」
「色々とね。城の中にいても退屈だし」
「まあ、そうだよな普通は」
俺も同じ立場だったら、退屈で死にたくなる。だから彼女の外へ出たいという気持ちも分かる。
「ミウもキャロルも、私が姫であってもああやって分け隔てなく接してくれるのがいい所なの。だからこれまでずっと大切にしてきた親友だし、多分これからもずっと続くと思うの」
「続くといいな」
俺にも正志と雪音がいるが、大学を卒業したらそれぞれの道を進んでしまい、会える回数も減る。もちろんハナティアとも会える回数も減るだろう。
「翔平ともこの先続くといいなぁ。いや、ずっと続いているからいいのかな」
寝る直前、ハナティアはそんな事を言っていたけど俺にはその意味が分からなかった。
(ずっと続いている?)
何の事だろう。
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