我が家の床下で築くハーレム王国
第19話二人の関係
サクヤとそんなやり取りをしながら、俺はその足でトリナディアへと向かいハナティアにその事を話した。
「それ本当なの? 私すごく嬉しい!」
「そんなに喜ばなくてもいいんだけどさ。俺も、その、柚姉ちゃんやハナティアとかつて過ごした場所でもう一度暮らしてもいいのかなって思ってさ」
「どんな理由でも構わないよ。私はただこの時をずっと……ずっと……」
突然泣き出してしまうハナティア。その様子にサクヤは慌てふためいていたが、俺はその涙の理由がなんとなく分かった。
「泣くなよハナティア。ずっと二十年以上もその、待たせて悪かったな」
「遅いわよ! 私どれだけ待ったと思っているのよ! 翔平とやっと結婚できるなんて……」
「え?」
いや、俺結婚するとまでは言ってないけど。ただトリナディアのその計画を手伝うって言っただけで、そんな事は一度も口にしていないはず。
「良かったですねハナティア様、さあお二人は今からでも夜の営みを」
「待て待て待て、二人とも早まるな。俺は一度たりとも結婚するなんて言ってないよ?」
「「え?」」
「いや、え、じゃないから」
しかもサクヤ今とんでもない事を口走っていたけど、これって完全にアウトだよな。
「だって計画に力を貸してくれるイコール、結婚でしょ?」
「何でそうなる!」
「式はいつ挙げましょうか」
「まず人の話を聞けお前ら!」
当然この後結婚式も夜の営みもありませんでした。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
翌日、大学の講義の合間を縫っていつも通りの三人で昼飯を食べながら昨日の事を話した。
「何だよもうおめでたなのかよ。羨ましいな」
「お前今の話聞いてたよな? 俺は一度たりともそんな事言ってないからな」
「式には呼んでくれますよね?」
「お前らも人の話を聞こうかまず」
何故人間はこうも話を聞いてくれないのだろうか。本当嫌になってくる。
「でもいずれはするんだろ? 結婚」
「いや、それは……」
「だったらそこまでムキになる必要ないだろ。それに、翔平とハナティアちゃんはお似合いだと思うんだけどな俺」
「そうか? むしろ釣り合わないと思うんだけどな、主に身長とか」
「それ本人に言ったら多分怒られるぞ」
今更の話だが、俺とハナティアはそこそこ身長差がある。決してハナティアが小さいわけではなく、俺が身長が高いのだ。
「確かに翔平君って、身長大きいですよね昔から」
「昔からって、三年前の話だろ?」
「え、あ、そうですけど。それでも昔じゃないですか」
「そうかな」
何が気に入らないのか、ムッとする雪音。俺はそんな彼女に疑問を持ちながらも昼食を食べ続ける。
「お前も随分と面倒臭いことに巻き込まれたよな、翔平」
「高校卒業するまでこんな目に合うなんて考えてなかったよ。まさか部屋の床に大きな穴が開くなんてさ」
「でも何だかんたでお前楽しんでないか? 今の生活」
「馬鹿、何でそうなるんだよ」
楽しくなくはないけど、こうも生活が一変すると俺もそれについて行けない。まさか大学生になって早々に結婚申し込まれるなんて、誰が予想できただろうか。
「結婚、ですか。私は少し羨ましいです」
「何で?」
「結婚と言えば女性からしたら最高の幸せですから。翔平君もその辺も考えてみては?」
「最高の幸せ、か」
そこまでは考えた事なかったけど、ハナティアにとっても同じ事なのだろうか。どちらかといえば彼女はトリナディアのためを思っているから、自分の幸せとかそういうのは……。
「って俺次の講義があるんだった。二人は?」
「俺は特にない」
「私も」
「俺だけか。じゃあ行ってくる」
すぐに昼飯を食べた俺は、そのまま席を外した。
「なあ雪音、お前はそれでよかったのか?」
「本当は辛いですけど、翔平君の意思なら、私は手助けするだけです」
「損な役割だよな、お前も」
講義の途中で携帯が鳴った。知らない電話番号だったので、とりあえず講義が終わるまで待って様子を見る事に。
で、講義終了後、携帯を再度確認すると、
「げっ」
携帯をサイレントモードにしておいたので気づかなかったのだが、あれから五分おきくらいに電話がかかってきていた。
(何これ怖い)
これ以上かかってくるのも迷惑なので、恐る恐るその見知らぬ電話番号にかけてみた。
「も、もしもし?」
『もういい加減出なさいよ! 間違えたかと思ったでしょ』
「え? ハナティア?」
電話をかけてきた主の正体は、ハナティアだった。番号は携帯だったので、いつの間にか彼女も携帯を持っていたらしい。
「お前って携帯持っていたのか?」
『ついこの前買ったの。最近流行りのすまほだっけ? この前翔平が持っていたのを見て欲しくなったの』
「まあいいんじゃない?  だけど五分おきに電話はかけるなよ」
『いつまでも出ないから悪いんでしょ』
「講義中だったんだよ」
(この勢いだと、講義中じゃなくても電話かけてきそうだし、今度SNSとか教えた方がいいかもしれないな)
その度に電話に出たら、電話代が馬鹿にならないし。
「それでなんか用か? 何度も電話して」
『特に用はないのに電話しちゃ駄目?』
「駄目って事はないけどさ」
(まるで恋人同士のやり取りみたいだな、これだと)
例の計画に参加する事になったとはいえ、恋人とかそういう関係になったわけではない。でもハナティアが本気で結婚する気でいて、それを幸せと願っているなら、これもその形なのだろうか。
まだ俺には分からない。
「なあハナティア」
『何?』
「今日少し時間あるか?」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
「へえ、このらいんを使えば電話しなくても、連絡できるんだ」
「今は電話とかメールよりこういうのが主流になっているからな」
大学終了後、久しぶりにハナティアを家に呼んだ。トリナディアに行ってもいいのだが、明日も大学あるしハナティア自身が俺の家に行きたいと言ったので来てもらう事にした。
「それでどうしたの? 翔平から誘うなんて」
「特に用があるって事はないんだけどさ、ちょっとだけ話がしたくてさ」
「話?」
「俺とお前って、これからどうなるんだ?」
「どうなるって?」
「今日も思ったんだけどさ、俺とお前って別に付き合ってもいないし、結婚もしてない。ましてや出会ってまだ二ヶ月も経ってない。だからこれからどうなってくのかなって」
電話をしてからずっと感じていた事を俺は言葉にする。それは最もの事だし、変な勘違いをするのもあまりよくないと思っていた。だからハナティア自身に聞いてみたのだ。
「私はこの計画を通して、もう一度止まっていた時間を取り戻そうと思っているの。あの事故からずっと止まっていた時間を。だからどんな関係かとかは、私も分からないかも」
「でも、その、結婚はしたいんだよな? 国のためとかそういうの無しで」
「だってそれが私にとって最高の幸せだし」
少し時間をおいてハナティアはそう答える。その言葉に偽りは感じられない。
「翔平がどう考えているかは私には分からないけど、私はもう決めたの。これからずっと、あなたの側にいたいって」
「俺の意思関係なくか?」
「翔平だって同じ事考えているでしょ?」
「俺も?」
「私はそう信じてるよ。翔平も同じ思いだって」
(そうなのかな……)
長い間止まってしまっていたその時間は、ハナティアと同様に俺も一緒なのかもしれない。でも果たして当時、俺はハナティアに思いを寄せていたのかは分からない。
(それを確かめるためにも)
「ハナティア、今日家に泊まっていくか?」
「え? いいの?」
ふと自分の口からそんな言葉が出た。二人きりで一夜を過ごすなんて、それはまさにそういう関係に見えるが、俺自身がその感情が何なのかは分からない。
恋なのか、それとも別の何かなのか。
そして当時の俺の中にもその感情があったのか。
答えは出てこなかった。
「お前と二人でいたいんだ、今日は」
「それ本当なの? 私すごく嬉しい!」
「そんなに喜ばなくてもいいんだけどさ。俺も、その、柚姉ちゃんやハナティアとかつて過ごした場所でもう一度暮らしてもいいのかなって思ってさ」
「どんな理由でも構わないよ。私はただこの時をずっと……ずっと……」
突然泣き出してしまうハナティア。その様子にサクヤは慌てふためいていたが、俺はその涙の理由がなんとなく分かった。
「泣くなよハナティア。ずっと二十年以上もその、待たせて悪かったな」
「遅いわよ! 私どれだけ待ったと思っているのよ! 翔平とやっと結婚できるなんて……」
「え?」
いや、俺結婚するとまでは言ってないけど。ただトリナディアのその計画を手伝うって言っただけで、そんな事は一度も口にしていないはず。
「良かったですねハナティア様、さあお二人は今からでも夜の営みを」
「待て待て待て、二人とも早まるな。俺は一度たりとも結婚するなんて言ってないよ?」
「「え?」」
「いや、え、じゃないから」
しかもサクヤ今とんでもない事を口走っていたけど、これって完全にアウトだよな。
「だって計画に力を貸してくれるイコール、結婚でしょ?」
「何でそうなる!」
「式はいつ挙げましょうか」
「まず人の話を聞けお前ら!」
当然この後結婚式も夜の営みもありませんでした。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
翌日、大学の講義の合間を縫っていつも通りの三人で昼飯を食べながら昨日の事を話した。
「何だよもうおめでたなのかよ。羨ましいな」
「お前今の話聞いてたよな? 俺は一度たりともそんな事言ってないからな」
「式には呼んでくれますよね?」
「お前らも人の話を聞こうかまず」
何故人間はこうも話を聞いてくれないのだろうか。本当嫌になってくる。
「でもいずれはするんだろ? 結婚」
「いや、それは……」
「だったらそこまでムキになる必要ないだろ。それに、翔平とハナティアちゃんはお似合いだと思うんだけどな俺」
「そうか? むしろ釣り合わないと思うんだけどな、主に身長とか」
「それ本人に言ったら多分怒られるぞ」
今更の話だが、俺とハナティアはそこそこ身長差がある。決してハナティアが小さいわけではなく、俺が身長が高いのだ。
「確かに翔平君って、身長大きいですよね昔から」
「昔からって、三年前の話だろ?」
「え、あ、そうですけど。それでも昔じゃないですか」
「そうかな」
何が気に入らないのか、ムッとする雪音。俺はそんな彼女に疑問を持ちながらも昼食を食べ続ける。
「お前も随分と面倒臭いことに巻き込まれたよな、翔平」
「高校卒業するまでこんな目に合うなんて考えてなかったよ。まさか部屋の床に大きな穴が開くなんてさ」
「でも何だかんたでお前楽しんでないか? 今の生活」
「馬鹿、何でそうなるんだよ」
楽しくなくはないけど、こうも生活が一変すると俺もそれについて行けない。まさか大学生になって早々に結婚申し込まれるなんて、誰が予想できただろうか。
「結婚、ですか。私は少し羨ましいです」
「何で?」
「結婚と言えば女性からしたら最高の幸せですから。翔平君もその辺も考えてみては?」
「最高の幸せ、か」
そこまでは考えた事なかったけど、ハナティアにとっても同じ事なのだろうか。どちらかといえば彼女はトリナディアのためを思っているから、自分の幸せとかそういうのは……。
「って俺次の講義があるんだった。二人は?」
「俺は特にない」
「私も」
「俺だけか。じゃあ行ってくる」
すぐに昼飯を食べた俺は、そのまま席を外した。
「なあ雪音、お前はそれでよかったのか?」
「本当は辛いですけど、翔平君の意思なら、私は手助けするだけです」
「損な役割だよな、お前も」
講義の途中で携帯が鳴った。知らない電話番号だったので、とりあえず講義が終わるまで待って様子を見る事に。
で、講義終了後、携帯を再度確認すると、
「げっ」
携帯をサイレントモードにしておいたので気づかなかったのだが、あれから五分おきくらいに電話がかかってきていた。
(何これ怖い)
これ以上かかってくるのも迷惑なので、恐る恐るその見知らぬ電話番号にかけてみた。
「も、もしもし?」
『もういい加減出なさいよ! 間違えたかと思ったでしょ』
「え? ハナティア?」
電話をかけてきた主の正体は、ハナティアだった。番号は携帯だったので、いつの間にか彼女も携帯を持っていたらしい。
「お前って携帯持っていたのか?」
『ついこの前買ったの。最近流行りのすまほだっけ? この前翔平が持っていたのを見て欲しくなったの』
「まあいいんじゃない?  だけど五分おきに電話はかけるなよ」
『いつまでも出ないから悪いんでしょ』
「講義中だったんだよ」
(この勢いだと、講義中じゃなくても電話かけてきそうだし、今度SNSとか教えた方がいいかもしれないな)
その度に電話に出たら、電話代が馬鹿にならないし。
「それでなんか用か? 何度も電話して」
『特に用はないのに電話しちゃ駄目?』
「駄目って事はないけどさ」
(まるで恋人同士のやり取りみたいだな、これだと)
例の計画に参加する事になったとはいえ、恋人とかそういう関係になったわけではない。でもハナティアが本気で結婚する気でいて、それを幸せと願っているなら、これもその形なのだろうか。
まだ俺には分からない。
「なあハナティア」
『何?』
「今日少し時間あるか?」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
「へえ、このらいんを使えば電話しなくても、連絡できるんだ」
「今は電話とかメールよりこういうのが主流になっているからな」
大学終了後、久しぶりにハナティアを家に呼んだ。トリナディアに行ってもいいのだが、明日も大学あるしハナティア自身が俺の家に行きたいと言ったので来てもらう事にした。
「それでどうしたの? 翔平から誘うなんて」
「特に用があるって事はないんだけどさ、ちょっとだけ話がしたくてさ」
「話?」
「俺とお前って、これからどうなるんだ?」
「どうなるって?」
「今日も思ったんだけどさ、俺とお前って別に付き合ってもいないし、結婚もしてない。ましてや出会ってまだ二ヶ月も経ってない。だからこれからどうなってくのかなって」
電話をしてからずっと感じていた事を俺は言葉にする。それは最もの事だし、変な勘違いをするのもあまりよくないと思っていた。だからハナティア自身に聞いてみたのだ。
「私はこの計画を通して、もう一度止まっていた時間を取り戻そうと思っているの。あの事故からずっと止まっていた時間を。だからどんな関係かとかは、私も分からないかも」
「でも、その、結婚はしたいんだよな? 国のためとかそういうの無しで」
「だってそれが私にとって最高の幸せだし」
少し時間をおいてハナティアはそう答える。その言葉に偽りは感じられない。
「翔平がどう考えているかは私には分からないけど、私はもう決めたの。これからずっと、あなたの側にいたいって」
「俺の意思関係なくか?」
「翔平だって同じ事考えているでしょ?」
「俺も?」
「私はそう信じてるよ。翔平も同じ思いだって」
(そうなのかな……)
長い間止まってしまっていたその時間は、ハナティアと同様に俺も一緒なのかもしれない。でも果たして当時、俺はハナティアに思いを寄せていたのかは分からない。
(それを確かめるためにも)
「ハナティア、今日家に泊まっていくか?」
「え? いいの?」
ふと自分の口からそんな言葉が出た。二人きりで一夜を過ごすなんて、それはまさにそういう関係に見えるが、俺自身がその感情が何なのかは分からない。
恋なのか、それとも別の何かなのか。
そして当時の俺の中にもその感情があったのか。
答えは出てこなかった。
「お前と二人でいたいんだ、今日は」
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