東方魔人黙示録外伝【異世界のドッペルゲンガー】

怠惰のあるま

六日目その四・・・決意


今日の授業は終了し、放課後となった。これほど授業が長く感じたことはないよ。幽香が心配で気が気でなかった。
帰りのショートHRも終わって、速攻で帰宅準備をしてリグルに保健室で幽香を見ててもらって、俺は陸部の部室に向かう。
学園の部室は一箇所にまとまっている。場所は学園の裏。陸上部の部室は、一階の入ってすぐの部屋だった。ノックして自分の名を告げると扉が開き、豊郷さんが笑顔で出てきた。

「よく来てくれたね!さぁ入って!!」

中にやや強く手を引っ張られ入室させられた。中は綺麗で広かったが、靴の数が少ない。廃部の危機は本当だったんだ。部室内をぐるりと見回すと、もう一人部員がいた。もしかして、文が言っていた友達っていうのはこの子か?

「紹介するよ!この娘は忍冬椛って言っても同じ学年だから知ってるか」
「も、もみじです!改めてよろしくお願いします!」
「よろしくな。部員って二人だけ?」
「ああ、そうだ」

陸上ってそんな人気ないのか?まあ、陸上競技って言ったら走るだけってイメージが強いからだろうな。投擲、跳躍、走るの三つで陸上競技って言うらしい。
ユニフォームが恥ずかしいのもあるのかもしれない。男子はギリギリ大丈夫だとしても、女子は露出度高すぎる。セパレートだっけ?あれなんかへそ出てる。ましてや元女子学校入る人少ないよなぁ・・・・・。

「桜野君は体験入部だったんですね・・・私の勘違いでご迷惑をおかけしました!」
「もしかして、文の件かな?それだったらあいつが悪いから、椛さんは何も悪くない。だから頭下げないでください」
「で、でも・・・・」
「じゃあ、椛さんが陸上の凄さ教えてくれないかな?」
「は、はい!」

椛さんの熱烈な説明は三十分ほど続いた。いや、よくあそこまで虎視眈々と語れるよ。もはや尊敬の域に達しているわ。
けど、陸上って言うのは意外にすごいものなんだな。たった一秒でも大きいコンマ一秒の勝負を陸上部はしているのか・・・・。凄いんだなぁ陸上って。

「豊郷さん」
「ん?入部の決意でもしたのかい?」
「はい」

冗談でいったつもりだったのだろう。予想外な返事が返って来たことに、豊郷さんは驚いていた。

「ほんとに?い、いいの!?」
「椛さんの説明でやりがいを感じました。入部させてください!」
「うん!いいだろう。入部を許可する!これからよろしく」
「はい!」

こうして、今日を持って俺、桜野アルマは陸上部に入部したのでした。豊郷さんは椛さんにすごいお礼を言っていた。椛さんのおかげでもあるからなぁ。いや、あれだけ語られて凄さが伝わらない方がおかしい。
とりあえず今日は帰ることにした。幽香を迎えに行かなきゃ行けない。部室を出たら猛ダッシュで保健室に向かった。挨拶もなしにガラッと、力いっぱいドアを開けたら永琳先生に怒られた。何も言い返せない・・・・。
説教が終わり幽香の方を見ると、リグルと一緒に笑っていた。幽々子もいた。

「あれ?ゆゆ姉なんでいるの?」
「幽香ちゃんが怪我したって言ったから様子見に来たの。そしたらアルマを待ってるって言ったから一緒に待ってたの」
「家に帰っても飯作れないからじゃないのか?」
「それもあるわ!」

そんなに堂々と言わなくてもいいだろ。しかも、ドヤ顔をしている意味をしりたい。君が威張るところは無いよ?

「まったく・・・そんじゃ帰りますか!」
「お姉ちゃんはどうするの?」
「俺がおんぶするに決まってるだろ?」
「え!?い、いいわよ!軽い捻挫だし」
「クセついたらどうすんだよ?いいから遠慮せずにおんぶされろ」

うぅと恥ずかしそうに呻きながら渋々俺の背中に乗る。幽香って結構軽いんだな。そして、おんぶしてわかったが柔らかいものが背中に当たって、理性が吹き飛びそうです。思春期真っ只中の高校男児には手強すぎる!!

「重くない・・・・?」
「よ、余裕だ!」

そんなしおらしい声で話しかけるのは反則だ・・・・!

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