殺人鬼の3怪人と不思議な少女

鬼怒川 ますず

珍妙な4人

路地裏を抜けた4人。
互いに息を切らせながら、彼らは互いの顔を見合わせる。

まず1人に葉隠。
体格が大きく、身長も腕っ節もそれに相応しいものを持っている。
顔の方はワイルド系イケメン。

次に黒田。
細っこくて体格も小さく、他の2人よりも背が低い。
こちらは年下美少年。

そして葛原。
体格と身長は平均で人並み。
顔はチャラついたホスト系のイケメン。

そして金髪女性『シュガー』
体格と身長は葛原と同じく平均。
顔はそばかすが少しあり、同じように平均的な顔。

そんな4人は人がいない道路の真ん中で顔を見合わせ、同じように荒々しい息を吐く。
なんとも珍妙な光景ではあるが、それ故に一瞬も気が抜けない。


「「「「………」」」」


この女は何者なのか。
この男たちは何者なのか。

互いに疑問で曇らせる。
先に静けさを裂き喋ったのは少年のような容姿をした黒田だった。


「…で、あんたは何者なの?僕たちについてきてまだこの子を狙っているの?」

「え、ち…違う!私はあの場から能力でお前達とは違う逃走手段が取れることができたのに、そこのアホそうな奴が無理矢理連れてきたんだ!」


そう言ってビシッと指を指す。
葛原にだ。

黒田と葉隠は「何面倒ごと増やしやがったんだこのバカ」と言いたげな顔で葛原を睨む。
葛原はめんどくさそうに頭をかいて反論する。


「いやよ、この変態を人質にすれば逃げ切れるんじゃねーかなって思ってさ」

「バカ、相手の感情を逆なでしただけだよこんなの。大体こんな変態を人質にするのは僕は反対だよ」

「そうだ、生首的には合格だが俺は変態だけは生理的に受け付けられん」

「いやいや、俺はけっこう健康的で良いもんだと思うぜ?人が入ってるシャワー室に入ってきた変態だけど」

「おいい加減にしろよ日本人!!ただシャワー室入っただけで変態扱いすんじゃねーよ!!」


3人が揃いも揃って変態と言うのでキレる『シュガー』。
だがハッと気がついたのか 、彼女は葉隠が持っているバックに向かって走り出し、肩掛け部分に手をかける。

それには葉隠も油断していたが、すぐに肩掛けヒモを掴む握力をあげて引っ張られないようにする。


「やめておけ変態、俺たちを相手にしたところでお前は勝てないぞ」

「その対象者は元々こちらが所有していたものだ。元の所有者へ返すのが正解だろ………あとその呼び名は止めろ」

「ほう、では返すのを嫌だと…そこのバカが言ったらどうする変態」

「では実行手段をとr……って、へ?バカってあのバカ?あんた達が総意で決めたんじゃないの?」

「知るか、あのバカが決めたことだからあいつに聞け。そもそも、俺は面倒ごとには巻き込まれたくない」


葉隠が視線を向ける葛原に驚き、視線を変えながら『シュガー』は混乱する。
黒田に向けるがそちらも首を横に振って「そいつが決めた」と言いたげに指を葛原に向ける。


「……じゃ、じゃあんたに聞くわ!もう私達に懲りたのならこの子を渡しなさい!!」


『シュガー』が葛原に対して言う。
そして、全員の視線を受けた葛原バカの回答は。


「…ダメだな、ありゃ俺が食うからな」

「…食う???」

「あぁ食う、体の隅から隅まで綺麗に食うためにあのガキはいただいている。ありゃ最高の一品…俺を満たすもんだ…!」

((その通りだがもっと他に付け足せよ!))


黒田と葉隠の呆れ顔が葛原に向けられるが、それをそのままの意味ではなくもっと意味深いものとして受取った『シュガー』は言葉の連想を始める。


(くう…食うって日本語で食べる意味よね…でも本当に食べるわけじゃないだろうし、でも、そうだとしたら体の隅々まで……隅々で一品…あいつを満たすもの…あれ?これってまさか…性的な……嘘よねまさかそんなもうあの歳であの能力を持っているのに傷物になってるとかってワケじゃないよねフフフ私ってば何考えてるんだろうなあー早く仕事終わらせて寝たいな)

「もう傷だらけだったけど、治れば」

「やっぱりこいつロリコンペド野郎だ!!キャァァァァァ……!」


『シュガー』が叫んで飛び退く前に、察した葉隠がその口と体を押さえる。
むがむがともがく『シュガー』に黒田が一から説明して落ち着くまで時間がかかった。
その間、『シュガー』が落ち着いて手を離した葉隠が葛原を「面倒ごとを増やすな馬鹿野郎」といって殴り、それに怒った葛原も殴り返しそのまま殴り合いを続けた。


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