殺人鬼の3怪人と不思議な少女
能力使用
ったく、とんだ災難だ。
シュガーは本名が書かれた会員証を睨みながらぶつぶつと文句を言った。
PDMT。
表に出てはいけない組織のメンバー達。
全員がある事情があって表で死人として扱われるあってはいけない組織。
その組織のメンバーにして本部からきた部隊の隊長を務めているシュガーは、自身が行なった行為がどれほど危ないか自覚している。
死んだ人間。
その人間が遠い異国の地で確認されれば組織全体に影響を与える。
そもそもこういった組織だ。
情報漏洩の罪で本当に殺されてもおかしくない。
幸いにも『スペースレンジャー』がこの任務が終わったら情報を消すように計らってくれるようだが…。
「はぁ…」
何やってんだろ私。
心で緊張して慣れないことをしたせいだと思ったが、それは自身の未熟さの表れだ。
何か決まらないと思いつつも、取り敢えずは目先の任務をーー。
「よぉお姉さん、こんな時間にご利用かい?」
「偶然だね、僕らも今さっき入ったばっかなんだよね〜」
にこやかに、狭い通路を塞ぐように二人の大小異なる男達がシュガーの目の前に立つ。
対象を匿う部外者の二人。
顔を写真で覚えていたのですぐに分かった。
こんな状況は祖国の路地裏で慣れている。
倒すことも想像できる。
こんな2人を相手にする対人戦も得意のはず。
なのに……。
にこやかな笑顔をした2人は、1人はズボンに直接手を入れてもう1人の手もポケットに入っている。
武器。
それを察知したシュガーは、傷付かないと内心でほくそ笑みながら目の前の部外者達に対して肩掛けカバンを前に出して首を振る。
「ノー!チガうよ! ワタシ別に怪しくナイ!お金ホシイの?イマ少ない、ホカノヒトニヤッテsorry!」
シュガーはそう言って二人の間を通ろうとする。
これで誤魔化せたはず。
そう思っていた。
「へぇ…俺たち怪しいとかひとことも言ってねぇんだけどな」
「僕も言ってないねぇ、普通ならナンパと思うけど…一体何を早とちりしちゃったのかな?」
はっとシュガーは自分の失敗に気づいて、能力を発動するがその前に大男の手が彼女の耳に付けていた無線インカムを取り、握りつぶす。
そしてもう1人がシュガーの口に布を当て、首筋に注射針を近づけた。
「騒がない方がいいよ、注射って消毒もせずに使えば怖いことが起きるからね」
「……ッ!」
「さーてと、洗いざらい吐いてもらおうかな。君たちが誰かを、個室でじっくりとね」
そう言って誘導しようとするがその前にシュガーは能力を使う。
能力使用。
スルリと注射針の男の手から抜けた。
男はすかさず首筋に注射針を刺す。
何の躊躇いもなく。
しかし、注射針はベキリと音を立てて折れた。
まだあどけなさが残る少年に見える男は驚きながら注射針がなぜ折れたかを確認しようとするが、その顔にシュガーはカバンをぶつける。
大男もズボンにしまっていた包丁を出し、すかさずシュガーに斬りかかった。
だが包丁は何かに跳ねたかのようにシュガーの頭部を切ることはできなかった。
シュガーは未遂で終わったのを確認するとシャワー室に走り出した。
もちろん無理矢理でも任務を終えるために。
シュガーは本名が書かれた会員証を睨みながらぶつぶつと文句を言った。
PDMT。
表に出てはいけない組織のメンバー達。
全員がある事情があって表で死人として扱われるあってはいけない組織。
その組織のメンバーにして本部からきた部隊の隊長を務めているシュガーは、自身が行なった行為がどれほど危ないか自覚している。
死んだ人間。
その人間が遠い異国の地で確認されれば組織全体に影響を与える。
そもそもこういった組織だ。
情報漏洩の罪で本当に殺されてもおかしくない。
幸いにも『スペースレンジャー』がこの任務が終わったら情報を消すように計らってくれるようだが…。
「はぁ…」
何やってんだろ私。
心で緊張して慣れないことをしたせいだと思ったが、それは自身の未熟さの表れだ。
何か決まらないと思いつつも、取り敢えずは目先の任務をーー。
「よぉお姉さん、こんな時間にご利用かい?」
「偶然だね、僕らも今さっき入ったばっかなんだよね〜」
にこやかに、狭い通路を塞ぐように二人の大小異なる男達がシュガーの目の前に立つ。
対象を匿う部外者の二人。
顔を写真で覚えていたのですぐに分かった。
こんな状況は祖国の路地裏で慣れている。
倒すことも想像できる。
こんな2人を相手にする対人戦も得意のはず。
なのに……。
にこやかな笑顔をした2人は、1人はズボンに直接手を入れてもう1人の手もポケットに入っている。
武器。
それを察知したシュガーは、傷付かないと内心でほくそ笑みながら目の前の部外者達に対して肩掛けカバンを前に出して首を振る。
「ノー!チガうよ! ワタシ別に怪しくナイ!お金ホシイの?イマ少ない、ホカノヒトニヤッテsorry!」
シュガーはそう言って二人の間を通ろうとする。
これで誤魔化せたはず。
そう思っていた。
「へぇ…俺たち怪しいとかひとことも言ってねぇんだけどな」
「僕も言ってないねぇ、普通ならナンパと思うけど…一体何を早とちりしちゃったのかな?」
はっとシュガーは自分の失敗に気づいて、能力を発動するがその前に大男の手が彼女の耳に付けていた無線インカムを取り、握りつぶす。
そしてもう1人がシュガーの口に布を当て、首筋に注射針を近づけた。
「騒がない方がいいよ、注射って消毒もせずに使えば怖いことが起きるからね」
「……ッ!」
「さーてと、洗いざらい吐いてもらおうかな。君たちが誰かを、個室でじっくりとね」
そう言って誘導しようとするがその前にシュガーは能力を使う。
能力使用。
スルリと注射針の男の手から抜けた。
男はすかさず首筋に注射針を刺す。
何の躊躇いもなく。
しかし、注射針はベキリと音を立てて折れた。
まだあどけなさが残る少年に見える男は驚きながら注射針がなぜ折れたかを確認しようとするが、その顔にシュガーはカバンをぶつける。
大男もズボンにしまっていた包丁を出し、すかさずシュガーに斬りかかった。
だが包丁は何かに跳ねたかのようにシュガーの頭部を切ることはできなかった。
シュガーは未遂で終わったのを確認するとシャワー室に走り出した。
もちろん無理矢理でも任務を終えるために。
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