(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~
年越しそばと除夜の鐘・後編
シュリンプの天ぷらを箸で取り、そのまま口に放り込んだ。
すぐにサクサクと衣の食感が口の中に広がり、とても香ばしい。つゆに浸かった部分は、マキヤソース(確か、ケイタの世界では『ショーユ』と言っていたか)ベースの味がしっかりと衣に染み込んでいて、口に入れただけでほろほろと崩れそうだ。
「……うむ、はっきり言って、美味い」
思わずその言葉が、私の口から零れた。
「そう言ってもらえて何よりですよ」
彼は笑みを浮かべて、そう言った。
◇◇◇
気付けば、私は年越しそばとやらをペロリと平らげていた。何となく予想はついていたけれど、それにしてもこの年越しそばは美味い。美味すぎる。
「まさか普通に完食してもらえるとは、思いませんでしたよ。はっきり言って、舌に合わないものかと思っていましたから」
「マキヤソースベースだったのが強かったかな。あれは私たちの舌にもよく馴染みがある味だ。だから私たちも直ぐにその味に馴染むことが出来たと言っても過言では無い」
そう言いながらも脳内ではレシピの構築に取り掛かっている。まあ、そんなに難しいことでは無いだろう。とにかく、そのレシピさえ完成させればいいだけの話だ。あとはメニューに組み込むかどうかを決めればいいだけの話なのだから。
「……急いで食べないと年が明けてしまいますからね。急がないといけません」
「さっきから言っているが、お前の国ではそれ程『年越し』ということに重要な意味を持ち合わせているのか? はっきり言ってまったく理解出来ないのだが……」
「理解出来ないのは致し方ないかもしれません。しかしながらそれは重要なビッグイベントであると言っても、何ら過言ではないでしょう。だってそれ自体が難しいことではありませんから」
そう言ってそばを食べ終えると、ケイタは時計を確認した。ケイタの時計は、彼の国での時間を基準としている。確か、少し盗み見した感じだと、もうすぐ日付が変わる時間帯だった気がした。
「お! そろそろ日付が変わりますよ……。ほら、カウントダウンしますよ! 三、二、一……!」
そして日付が変わったと同時にケイタは頭を下げた。
「あけましておめでとうございます。今年も、よろしくお願いします」
「あ、あけましておめでとう……?」
「俺の国では年越しの挨拶はこれなんですよ。年に一度しか言えないですから、とても貴重な挨拶なんですよ」
そうなのか。
別に私は挨拶についてあまり気にしたことは無いのだが……まあ、今年はケイタの言うとおりに返すこととしよう。
「あけましておめでとう、ケイタ」
それを言うとケイタは大きく頷いて、笑みを浮かべた。
果たして今年はどんな一年になるのだろうか。それを考えるととても楽しくなって――私も笑みを浮かべるのだった。
すぐにサクサクと衣の食感が口の中に広がり、とても香ばしい。つゆに浸かった部分は、マキヤソース(確か、ケイタの世界では『ショーユ』と言っていたか)ベースの味がしっかりと衣に染み込んでいて、口に入れただけでほろほろと崩れそうだ。
「……うむ、はっきり言って、美味い」
思わずその言葉が、私の口から零れた。
「そう言ってもらえて何よりですよ」
彼は笑みを浮かべて、そう言った。
◇◇◇
気付けば、私は年越しそばとやらをペロリと平らげていた。何となく予想はついていたけれど、それにしてもこの年越しそばは美味い。美味すぎる。
「まさか普通に完食してもらえるとは、思いませんでしたよ。はっきり言って、舌に合わないものかと思っていましたから」
「マキヤソースベースだったのが強かったかな。あれは私たちの舌にもよく馴染みがある味だ。だから私たちも直ぐにその味に馴染むことが出来たと言っても過言では無い」
そう言いながらも脳内ではレシピの構築に取り掛かっている。まあ、そんなに難しいことでは無いだろう。とにかく、そのレシピさえ完成させればいいだけの話だ。あとはメニューに組み込むかどうかを決めればいいだけの話なのだから。
「……急いで食べないと年が明けてしまいますからね。急がないといけません」
「さっきから言っているが、お前の国ではそれ程『年越し』ということに重要な意味を持ち合わせているのか? はっきり言ってまったく理解出来ないのだが……」
「理解出来ないのは致し方ないかもしれません。しかしながらそれは重要なビッグイベントであると言っても、何ら過言ではないでしょう。だってそれ自体が難しいことではありませんから」
そう言ってそばを食べ終えると、ケイタは時計を確認した。ケイタの時計は、彼の国での時間を基準としている。確か、少し盗み見した感じだと、もうすぐ日付が変わる時間帯だった気がした。
「お! そろそろ日付が変わりますよ……。ほら、カウントダウンしますよ! 三、二、一……!」
そして日付が変わったと同時にケイタは頭を下げた。
「あけましておめでとうございます。今年も、よろしくお願いします」
「あ、あけましておめでとう……?」
「俺の国では年越しの挨拶はこれなんですよ。年に一度しか言えないですから、とても貴重な挨拶なんですよ」
そうなのか。
別に私は挨拶についてあまり気にしたことは無いのだが……まあ、今年はケイタの言うとおりに返すこととしよう。
「あけましておめでとう、ケイタ」
それを言うとケイタは大きく頷いて、笑みを浮かべた。
果たして今年はどんな一年になるのだろうか。それを考えるととても楽しくなって――私も笑みを浮かべるのだった。
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