(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~
魔女学校からの刺客・4
「……そこまで言うなら、食べてあげてもいいでしょう。ほんとうは亜人の作るものなど口に入れたくはありませんが」
言い訳を繰り返した挙句、やっと魔女はモンブランを口に入れた。なんというか、一つの行動にいちいち言い訳をしていかないと行動出来ないのだろうか? 正直、非常に面倒な行動原理だと思うけれど。
さて、魔女はモンブランを口に入れてからどうしたかというと、硬直していた。ちょうどそのタイミングで氷漬けにでもさせたような、そんな感じだった。
魔女はずっと一口分消えていたモンブランを見つめていた。余程モンブランが気になっていたのかもしれないが、いずれにせよ何らかの反応を示していることには間違いない。食べる前と後で、反応が大違いだ。
そして、ゆっくりと魔女は顔を上げて、顔を震わせながら、呟いた。
「お、美味しい……」
魔女が甘味に屈服した瞬間だった。
「な、何よ。このスイーツは! まったくもって理解ができない。今まで、食べたことの無い味だわ!」
「特殊なものは何一つ使っていませんよ」
メリューさんは魔女の思考を読み取ったのか、そんなことを口にした。
魔女はそれを聞いて目を見開く。
「それなら、これは……」
「強いて言うなら、愛情」
答えたのはメリューさんでは無く、その隣に立っていたリーサだった。
ということは、このモンブランを作ったのはメリューさんでは無く。
「まさか、リーサ。これを、あなたが?」
こくり。リーサはしっかりと頷いた。
それを聞いた魔女は、それでもリーサが言った言葉を理解出来なかったのか、もう一口モンブランを口にした。
しかし、何口食べようとも味が、評価が、変わることは無い。
「美味しい、美味しい……。これほどまでの料理を、あなたが作ることが出来るだなんて」
「未だ修行中の身ではありますが、それでも食べた人に評価してもらえる物を作ることが出来るようにはなりました」
神妙な面持ちで告げるリーサ。
それにしても初めて知ったな。まさかリーサがこれほどまでに美味しそうなモンブランを作れるなんて。
「……あなた、ここでずっと暮らしていくつもり?」
「少なくとも、ここではあの学校で学べなかったことを学べていますし、充実しています。だから、今の私はとても幸せですよ」
それを聞いた魔女は小さく笑みを浮かべる。
「……そう言われてしまったら、何も出来ないわね。分かったわ。ご馳走様でした、美味しいスイーツだったわ」
立ち上がると、魔女は数枚の銀貨をカウンターの上に置いた。
そしてリーサを見つめながら、魔女は言った。
「流石にこのスイーツを食べて、無料で帰ろうとは思わないわ。でも、私はまだ諦めていないし、あなたをいつでも受け入れる準備は出来ている。それは忘れないでね」
そして、魔女はボルケイノを出ていった。
どこかすっきりとしない、そんな感じを俺たちに残していきながら。
言い訳を繰り返した挙句、やっと魔女はモンブランを口に入れた。なんというか、一つの行動にいちいち言い訳をしていかないと行動出来ないのだろうか? 正直、非常に面倒な行動原理だと思うけれど。
さて、魔女はモンブランを口に入れてからどうしたかというと、硬直していた。ちょうどそのタイミングで氷漬けにでもさせたような、そんな感じだった。
魔女はずっと一口分消えていたモンブランを見つめていた。余程モンブランが気になっていたのかもしれないが、いずれにせよ何らかの反応を示していることには間違いない。食べる前と後で、反応が大違いだ。
そして、ゆっくりと魔女は顔を上げて、顔を震わせながら、呟いた。
「お、美味しい……」
魔女が甘味に屈服した瞬間だった。
「な、何よ。このスイーツは! まったくもって理解ができない。今まで、食べたことの無い味だわ!」
「特殊なものは何一つ使っていませんよ」
メリューさんは魔女の思考を読み取ったのか、そんなことを口にした。
魔女はそれを聞いて目を見開く。
「それなら、これは……」
「強いて言うなら、愛情」
答えたのはメリューさんでは無く、その隣に立っていたリーサだった。
ということは、このモンブランを作ったのはメリューさんでは無く。
「まさか、リーサ。これを、あなたが?」
こくり。リーサはしっかりと頷いた。
それを聞いた魔女は、それでもリーサが言った言葉を理解出来なかったのか、もう一口モンブランを口にした。
しかし、何口食べようとも味が、評価が、変わることは無い。
「美味しい、美味しい……。これほどまでの料理を、あなたが作ることが出来るだなんて」
「未だ修行中の身ではありますが、それでも食べた人に評価してもらえる物を作ることが出来るようにはなりました」
神妙な面持ちで告げるリーサ。
それにしても初めて知ったな。まさかリーサがこれほどまでに美味しそうなモンブランを作れるなんて。
「……あなた、ここでずっと暮らしていくつもり?」
「少なくとも、ここではあの学校で学べなかったことを学べていますし、充実しています。だから、今の私はとても幸せですよ」
それを聞いた魔女は小さく笑みを浮かべる。
「……そう言われてしまったら、何も出来ないわね。分かったわ。ご馳走様でした、美味しいスイーツだったわ」
立ち上がると、魔女は数枚の銀貨をカウンターの上に置いた。
そしてリーサを見つめながら、魔女は言った。
「流石にこのスイーツを食べて、無料で帰ろうとは思わないわ。でも、私はまだ諦めていないし、あなたをいつでも受け入れる準備は出来ている。それは忘れないでね」
そして、魔女はボルケイノを出ていった。
どこかすっきりとしない、そんな感じを俺たちに残していきながら。
「(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
ドラゴン&メイド喫茶へようこそ!
-
5
-
-
私とサーガくんの宇宙人攻略記録
-
1
-
-
ポンコツ少女の電脳世界救世記 ~外れスキル『アイテムボックス』は時を超える~
-
81
-
-
俺は君が
-
19
-
-
ゲームの世界で天下統一を目指す俺
-
13
-
-
外道魔術師転生から始まる異世界動物のお医者さん
-
80
-
-
俺は主人公にはなりたくない!
-
25
-
-
黒龍の傷痕 【時代を越え魂を越え彼らは物語を紡ぐ】
-
3
-
-
8月31日の冒険
-
1
-
-
何で死ぬのに生きてるのですか〜ネズミに転生した最強闇魔法使い、銀髪の少女のペットになる〜
-
2
-
-
竜王暗殺 ~王国を第一王子と共に追放された少女騎士は最強の竜王として目覚めるまで殿下を溺愛します~
-
5
-
-
いえいえ。私は元の世界に帰るから結婚は却下しますっ!
-
8
-
-
BLACK・LIKE
-
4
-
-
捨てられおっさんと邪神様の異世界開拓生活~スローライフと村造り、時々ぎっくり腰~
-
5
-
-
恋愛委員会!
-
4
-
-
あなたの身代わり捜します。
-
4
-
-
霊能者、異世界を征く!~奴隷からの出発、魂の能力継いで下剋上。
-
3
-
-
異世界のスキル屋さん~スキルなんでも貸し出します~
-
3
-
-
Q.攻撃方法は何ですか? A.卓球です。
-
0
-
-
転んだら異世界統一の刑だった! 〜元暗殺者の国盗り物語〜 第一部
-
4
-
コメント