(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~
龍の姫・前編
昔話をしましょうか。
話者はバトンタッチといきましょう。なに、たまにはあなたが聞き手に回ることも悪いことでは無いかと思いますよ。それに、あなたも疲れていることでしょうから、少し休憩がてら話を聞いてもらいましょうか。
何の話をするのか、とすぐにあなたは思ったことでしょう。そう思うのも仕方ありません。あなたは私のことを殆ど知らないから、私が何を話すのか解らないのですから。正確に言えば、何を話すか見当もつかない、とでも言えばいいでしょうか?
そんなに畏る必要もありませんよ。きっと私が今から話す内容は、あなたが確実に知りたいと思っていた内容だと思いますから。
……勿体ぶらずにさっさと話し始めたほうがいいですね。いいでしょう。それでは話し始めましょうか。
――龍の姫と呼ばれた女性の物語を。
◇◇◇
龍の姫、とは言いますが実際にそこまで位の高い存在だったかと言われるとそうでもありません。私が住んでいた『龍の山』はそういう龍が多く暮らしている場所でもありました。だから人間にそのように名前が付けられ、人々は龍を恐れ、龍を崇めたのです。
しかしながら、ある日そのバランスが脆く崩れ去る日がやってきました。
一匹の龍がその人々の信仰に溺れ、酒と女を所望するようになったのです。
あなたの世界でも、昔話には酒が好きな龍が出てくると聞いたことがありますが、まさにその通り。どの世界でもそんなモチーフはあるのですね。
……冗談は程々にしておきましょうか。
一匹の龍が所望した酒と女は最初は少ないものでした。その龍いわく、人間の、特に女性の肢体は柔らかく食べやすいなどと妄言を発していました。我々はそのようなことをするためにこの世界に居たわけではなかったのに。
龍はどの世界でも『悪魔』というイメージが強い。だから人と相容れることなど有り得ないのですよ。
私たちはそれを知っていた。理解していたからこそ、この世界の考えはとても良いものだと思っていました。
人と龍の距離が、もっともちょうどよかった世界。それがあの世界だと言えるでしょう。
そして、あの龍の要望も徐々にエスカレートして行きました。
そのうち人間が龍を殺してしまおうと思うようになりました。
しかしながら、人間の中にも寛容な方は居ました。龍は神に近い存在だから、その龍を殺してしまうとは何事だ、と。何故人間は人ならざるモノを神に仕立て上げるのでしょうね?
言葉だけの戦争は、道具を使うようになるまでそう時間はかかりませんでした。
それからは簡単な話。力こそ簡単に物事を決めることのできるバロメーターですからね。
その後には何も残りませんでした。けっこう巨大な町だったのですが、何一つ消えてしまいました。
それだけ聞けばほんとうに切ない話なのですが、それが真実なのですから隠しようがありません。
しかし、それをどうにかして元に戻そう。また人間たちの故郷にしよう、そう思う勢力も出てきました。
それが私の父の勢力であり、その先陣を切ったのが私でした。
話者はバトンタッチといきましょう。なに、たまにはあなたが聞き手に回ることも悪いことでは無いかと思いますよ。それに、あなたも疲れていることでしょうから、少し休憩がてら話を聞いてもらいましょうか。
何の話をするのか、とすぐにあなたは思ったことでしょう。そう思うのも仕方ありません。あなたは私のことを殆ど知らないから、私が何を話すのか解らないのですから。正確に言えば、何を話すか見当もつかない、とでも言えばいいでしょうか?
そんなに畏る必要もありませんよ。きっと私が今から話す内容は、あなたが確実に知りたいと思っていた内容だと思いますから。
……勿体ぶらずにさっさと話し始めたほうがいいですね。いいでしょう。それでは話し始めましょうか。
――龍の姫と呼ばれた女性の物語を。
◇◇◇
龍の姫、とは言いますが実際にそこまで位の高い存在だったかと言われるとそうでもありません。私が住んでいた『龍の山』はそういう龍が多く暮らしている場所でもありました。だから人間にそのように名前が付けられ、人々は龍を恐れ、龍を崇めたのです。
しかしながら、ある日そのバランスが脆く崩れ去る日がやってきました。
一匹の龍がその人々の信仰に溺れ、酒と女を所望するようになったのです。
あなたの世界でも、昔話には酒が好きな龍が出てくると聞いたことがありますが、まさにその通り。どの世界でもそんなモチーフはあるのですね。
……冗談は程々にしておきましょうか。
一匹の龍が所望した酒と女は最初は少ないものでした。その龍いわく、人間の、特に女性の肢体は柔らかく食べやすいなどと妄言を発していました。我々はそのようなことをするためにこの世界に居たわけではなかったのに。
龍はどの世界でも『悪魔』というイメージが強い。だから人と相容れることなど有り得ないのですよ。
私たちはそれを知っていた。理解していたからこそ、この世界の考えはとても良いものだと思っていました。
人と龍の距離が、もっともちょうどよかった世界。それがあの世界だと言えるでしょう。
そして、あの龍の要望も徐々にエスカレートして行きました。
そのうち人間が龍を殺してしまおうと思うようになりました。
しかしながら、人間の中にも寛容な方は居ました。龍は神に近い存在だから、その龍を殺してしまうとは何事だ、と。何故人間は人ならざるモノを神に仕立て上げるのでしょうね?
言葉だけの戦争は、道具を使うようになるまでそう時間はかかりませんでした。
それからは簡単な話。力こそ簡単に物事を決めることのできるバロメーターですからね。
その後には何も残りませんでした。けっこう巨大な町だったのですが、何一つ消えてしまいました。
それだけ聞けばほんとうに切ない話なのですが、それが真実なのですから隠しようがありません。
しかし、それをどうにかして元に戻そう。また人間たちの故郷にしよう、そう思う勢力も出てきました。
それが私の父の勢力であり、その先陣を切ったのが私でした。
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