(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~
冬の風物詩・後編
「……どうしたの、ケイタ。冷めちゃうよ?」
サクラの話を聞いて、我に返った。
気付けば目の前には一人前の鍋が取り分けられていた。いつの間に……! そんなことを考えながらサクラを見ると、他の人には見えないようにウインクをしてきやがった。お前、先に俺に食えと?
「いただきます」
もう俺は観念するしかなかった。否、観念するというか、折角出されたものを『異世界のものだから』という自分勝手な理由で断ることが出来なかった。
だから俺は箸を手に取ると、もつを掴んだ。そのもつは豚や牛、はたまた鳥でもないようにも見えた。今までに見たことがない、とでも言えばいいだろうか。とにかく、見たことがないものだった。
もつを見ながら、暫し沈黙。ちらりとメリューさんの方を見るとニコニコしながらこちらを見つめていた。取り敢えず愛想笑いをしておく。
こうなったら、覚悟を決めるしかない。そう思って俺はそれを口の中に入れた。
◇◇◇
後日談。
というよりもただのエピローグ。
結論からいって、メリューさんの作ったモツ鍋は最高に美味かった。メリューさんに聞いたところ、これは羊のモツだったらしい。羊のモツはくどいらしいが、メリューさんの調理では大分和らいだらしい。向かうところ敵無し、とはこのことを言うのかもしれない。
味付けはマキヤソースをベースにしていた。とてもあっさりな味付けだったので、さっぱり食べられることが出来たので、とても有り難かった。
シメはライスを入れて雑炊にした。……それもそれでなかなか美味しかったな。今度レシピを教えて欲しいものだけれど、材料の殆どが異世界の食材だから果たしてあの世界にあるもので代用できるかどうかが微妙なところだ。マキヤソースは醤油で代用できるとは思うのだけれど。
そして、最後の最後におまけをもう一つ。
鍋を食べ終えて、やっぱりいつもの片付けは俺だった。とはいうものの、皆忙しいから仕方ないのだよな。まあ、それがどこまで通用するかは解った話ではないけれど。
さて、そんな状況でメリューさんが牛乳を飲みながら俺のそばにやってきた。
「……そうだ。ケイタ、一言忘れていたが牛乳は飲んでおけよ」
「何でですか? もう身長が伸びる年齢でも無いですけれど」
「馬鹿、そうじゃない」
メリューさんは牛乳を飲み干して、コップをキッチンに置いて笑いながら答えた。
「……あの鍋はニンニクを多く使っているから、臭い消しのために牛乳を飲んでおけ、という話だよ」
そうしてメリューさんは厨房へと消えていった。
だったらそんな回りくどいことせずにストレートで言ってくれればいいのに、と思ったが俺は口に出さないでおいた。ただ、これが終わったら牛乳を飲もうということを頭の片隅に置いただけだった。
サクラの話を聞いて、我に返った。
気付けば目の前には一人前の鍋が取り分けられていた。いつの間に……! そんなことを考えながらサクラを見ると、他の人には見えないようにウインクをしてきやがった。お前、先に俺に食えと?
「いただきます」
もう俺は観念するしかなかった。否、観念するというか、折角出されたものを『異世界のものだから』という自分勝手な理由で断ることが出来なかった。
だから俺は箸を手に取ると、もつを掴んだ。そのもつは豚や牛、はたまた鳥でもないようにも見えた。今までに見たことがない、とでも言えばいいだろうか。とにかく、見たことがないものだった。
もつを見ながら、暫し沈黙。ちらりとメリューさんの方を見るとニコニコしながらこちらを見つめていた。取り敢えず愛想笑いをしておく。
こうなったら、覚悟を決めるしかない。そう思って俺はそれを口の中に入れた。
◇◇◇
後日談。
というよりもただのエピローグ。
結論からいって、メリューさんの作ったモツ鍋は最高に美味かった。メリューさんに聞いたところ、これは羊のモツだったらしい。羊のモツはくどいらしいが、メリューさんの調理では大分和らいだらしい。向かうところ敵無し、とはこのことを言うのかもしれない。
味付けはマキヤソースをベースにしていた。とてもあっさりな味付けだったので、さっぱり食べられることが出来たので、とても有り難かった。
シメはライスを入れて雑炊にした。……それもそれでなかなか美味しかったな。今度レシピを教えて欲しいものだけれど、材料の殆どが異世界の食材だから果たしてあの世界にあるもので代用できるかどうかが微妙なところだ。マキヤソースは醤油で代用できるとは思うのだけれど。
そして、最後の最後におまけをもう一つ。
鍋を食べ終えて、やっぱりいつもの片付けは俺だった。とはいうものの、皆忙しいから仕方ないのだよな。まあ、それがどこまで通用するかは解った話ではないけれど。
さて、そんな状況でメリューさんが牛乳を飲みながら俺のそばにやってきた。
「……そうだ。ケイタ、一言忘れていたが牛乳は飲んでおけよ」
「何でですか? もう身長が伸びる年齢でも無いですけれど」
「馬鹿、そうじゃない」
メリューさんは牛乳を飲み干して、コップをキッチンに置いて笑いながら答えた。
「……あの鍋はニンニクを多く使っているから、臭い消しのために牛乳を飲んでおけ、という話だよ」
そうしてメリューさんは厨房へと消えていった。
だったらそんな回りくどいことせずにストレートで言ってくれればいいのに、と思ったが俺は口に出さないでおいた。ただ、これが終わったら牛乳を飲もうということを頭の片隅に置いただけだった。
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