(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~

巫夏希

トリック・オア・トリート? 中編

「……いや、そういうことでは無くて、だな」

 とは言ったところで、あまり具体的な打開策が出てこない。
 そうなると結局のところ俺はこのことを受け入れるしか無いのかもしれない。
 しかし……今俺はお菓子を持ち合わせていない。『トリック・オア・トリート』という言葉が『悪戯か、持て成しか』という意味だったはずだから、持て成しということを子供向けにコンバートすれば、やはりお菓子という言葉が浮かび上がることだろう。
 となれば、お菓子を持っていない今の俺は――。

「みんな。お菓子が出来たよ」

 そう言ってきたのは、メリューさんだった。
 まさに助け船、といったタイミング。
 メリューさんは大きなお皿に何かを載せていた。お菓子、と言っていたからその類かもしれないが――。
 シュテンとウラはその『お菓子』というパワーワードを聞いて、メリューさんの持つお皿を眺めていた。

「メリューさん、いい香りがするけれど、いったい何を作ったの?」
「かぼちゃを使ったクッキーよ。思ったよりうまくできちゃった」

 そう言ってカウンターにお皿を置くメリューさん。うーん、確かにかぼちゃの香りがいい香りだ。チョコチップが塗されているのもなかなか。

「ミルクティーもあるわよ!」

 そう言ったのは桜だった。桜はトレーにミルクティーが入ったティーカップを置いて、それを持ってきていた。カウンターにそれぞれ一人ずつカップを置いて、桜もカウンター席の一つに腰掛けた。
 魔女っ子コスのシュテンとウラ、メイド服のサクラ、いつもの恰好のメリューさんとティアさん、そして普段着の俺。あの世界の人間から見れば完全にコスプレか何かの類と思われてしまうかもしれないけれど、寧ろここでは今の俺の服装がコスプレと言っても過言では無いだろう。世界によって常識が違ってしまうのだから、それについては致し方ない。
 そんなことを思いながら、俺はかぼちゃのクッキーを口に入れる。
 食べた瞬間、かぼちゃの甘さが優しく口の中に広がった。

「……甘いですね、このかぼちゃ。いったいどこで作ったものなんですか?」
「うん?」

 メリューさんは窓の外を指さす。
 ……え?

「あれ? 言っていなかったか、自家栽培、というやつだったか。最近始めたのだが、かなりいいものでね。第一号の野菜がかぼちゃ、というわけだ。まだお客さんには出していないが、ちょっと身内で食べてみよう、という話だ。……どうやら、大成功という感じだが」
「……自家栽培って、割と初耳ですね。いつから始めたんですか?」
「数か月前だよ。ちょうど、忙しくなる前だ。……まあ、別に珍しいことでもあるまい? ミルシアにも聞いたけれど、彼女の国でも珍しい話ではないらしいし」

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