(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~
亜人会議 当日・中編
メリューさんの居る裏方へと向かい、俺は酒の瓶を取り出した。
「ケイタ。どうかしたのか?」
「お客さんから酒が足りない、って言われたんですよ。だから、酒を取りに来ました」
「そうか。なら構わない。てっきり私はお前が酒を飲もうとしているんじゃないか、と思ってね」
「そんなことするわけないじゃないですか。というか、休憩する余裕すら無いんですから」
慣れた手つきで酒を入れて、俺は瓶を仕舞う。
「……まあ、いいけれど。取り敢えず今のところ何も起きていなくてよかったよ。亜人会議ってあんまり評判が良くないって噂があったからなあ」
「何だか聞き捨てならない話を聞いた気がするのですけれど?」
俺はメリューさんが呟いた内容を聞き逃さなかった。
メリューさんは溜息を吐いて、
「……ケイタ、お前はほんとうに地獄耳だな。それはそれで別に構わないが……、まあ、話しても別に問題ないか。亜人会議はいろいろなテロリストに狙われやすいと言われている。その会議の注目度もあるからね。けれど、今まで一度も入ったことは無かったから、何の問題は無いと思うけれど。何でも噂になっているのは『鬼神同盟』という名前のテロ集団がやってくるかもしれない、ということだ」
「鬼神同盟?」
名前を聞いただけだと何とも強そうな集団だけれど、いったいどのような集団なのだろうか。
「鬼神同盟は現在不遇となっている鬼によって結成された面々だよ。世界平和と、世界を亜人のものにしようとするために結成されているらしく……人間の国でもテロ行為を繰り返し続けている、危険思想を持つ集団と呼ばれている」
「鬼……ねえ」
そこで俺は何かを思い出した。
ちょっと待てよ――俺に御猪口を提供した少女は何に見えた?
「まあ、そいつらが実際にやってきているかどうかは解らない。それに警備態勢は完璧だと言われているし、そう簡単には入れないだろうな。気にする必要は無いと思うぞ、取り敢えず私たちは私たちでやれることをやっていったほうがいいだろうし……、っておい、ケイタ。人の話は最後まで聞いてから――」
気が付けば俺は大急ぎで会場に戻っていた。御猪口の酒が零れないように、けれど確認したいことがあって大急ぎで。俺は心に残っている不安を、はやく払拭したかった。
会場に到着し、先程の場所に到着するとまだ少女は居た。ちょくちょくいろんな亜人が彼女と会話をして、直ぐに離れていく。
「お待たせいたしました。お酒でございます」
息切れしている様子を見せることなく、あくまでも冷静に語り掛ける。
それを聞いた少女は踵を返すと、
「あらあら、ありがとうございますねえ。もう少し時間がかかるものかと思っていましたけれど、こんなに早くなるとは思いもしませんでした」
そう言って受け取ると、笑みを浮かべてそのまま少女は立ち去って行った。
俺が質問をしようと試みるよりも早く――少女は雑踏の中に消えていった。
「ケイタ。どうかしたのか?」
「お客さんから酒が足りない、って言われたんですよ。だから、酒を取りに来ました」
「そうか。なら構わない。てっきり私はお前が酒を飲もうとしているんじゃないか、と思ってね」
「そんなことするわけないじゃないですか。というか、休憩する余裕すら無いんですから」
慣れた手つきで酒を入れて、俺は瓶を仕舞う。
「……まあ、いいけれど。取り敢えず今のところ何も起きていなくてよかったよ。亜人会議ってあんまり評判が良くないって噂があったからなあ」
「何だか聞き捨てならない話を聞いた気がするのですけれど?」
俺はメリューさんが呟いた内容を聞き逃さなかった。
メリューさんは溜息を吐いて、
「……ケイタ、お前はほんとうに地獄耳だな。それはそれで別に構わないが……、まあ、話しても別に問題ないか。亜人会議はいろいろなテロリストに狙われやすいと言われている。その会議の注目度もあるからね。けれど、今まで一度も入ったことは無かったから、何の問題は無いと思うけれど。何でも噂になっているのは『鬼神同盟』という名前のテロ集団がやってくるかもしれない、ということだ」
「鬼神同盟?」
名前を聞いただけだと何とも強そうな集団だけれど、いったいどのような集団なのだろうか。
「鬼神同盟は現在不遇となっている鬼によって結成された面々だよ。世界平和と、世界を亜人のものにしようとするために結成されているらしく……人間の国でもテロ行為を繰り返し続けている、危険思想を持つ集団と呼ばれている」
「鬼……ねえ」
そこで俺は何かを思い出した。
ちょっと待てよ――俺に御猪口を提供した少女は何に見えた?
「まあ、そいつらが実際にやってきているかどうかは解らない。それに警備態勢は完璧だと言われているし、そう簡単には入れないだろうな。気にする必要は無いと思うぞ、取り敢えず私たちは私たちでやれることをやっていったほうがいいだろうし……、っておい、ケイタ。人の話は最後まで聞いてから――」
気が付けば俺は大急ぎで会場に戻っていた。御猪口の酒が零れないように、けれど確認したいことがあって大急ぎで。俺は心に残っている不安を、はやく払拭したかった。
会場に到着し、先程の場所に到着するとまだ少女は居た。ちょくちょくいろんな亜人が彼女と会話をして、直ぐに離れていく。
「お待たせいたしました。お酒でございます」
息切れしている様子を見せることなく、あくまでも冷静に語り掛ける。
それを聞いた少女は踵を返すと、
「あらあら、ありがとうございますねえ。もう少し時間がかかるものかと思っていましたけれど、こんなに早くなるとは思いもしませんでした」
そう言って受け取ると、笑みを浮かべてそのまま少女は立ち去って行った。
俺が質問をしようと試みるよりも早く――少女は雑踏の中に消えていった。
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