(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~
レーションよりも美味しいものを・後編
メリューさんは派遣を嫌っている。理由はよく知らないけれど、あまりここから離れたくないらしい。まあ当然といえば当然かもしれないけれど、それを俺に言わせるあたりがいやらしいというかなんというか。もっと何か方法は無かったのだろうか。
……まあ、何も考えていないだけかもしれないけれど。
「そうか。派遣はやっていないか。そいつは残念」
サリドという男は肩を竦めて、また麺を啜った。
「ですが、美味しい食事はここに来ていただければいつでも食べることが出来ます」
俺はそう付け足して、営業スマイルを浮かべる。
「ですから今度は、そのリーフガットさんという人も連れてきてあげてください」
「そうだな、サリド。今度はリーフガットさんも強引に連れてきて、俺たちの分をおごらせようぜ! ついでに姫様もだ!」
「ついで、て……。そっちが明らかに目的っぽいけど?! ……まあ、いいか。そうだな、今度は誰か別の人を連れてくることにしよう。……ご馳走様、とても美味かったよ」
ラーメンをあっという間に平らげた二人はぴったりのお金を置いていき、そのまま出口へと向かった。
彼らは再び戦場へと向かうのだろうか。
そう思いながら、俺はスープまで飲み干されたラーメンの器をカウンターから片付けるのだった。
◇◇◇
後日談。
というよりもただのエピローグ。
「あの世界のレーション、というよりも味覚は酷いことで有名だった、って知っていたかしら?」
「レーション……だけではなくて、ということですか?」
「そう。あの世界はいろいろとあった世界でね……。正確に言うととんでもなく時間がかかって尺に収まりきらないから簡単に言うと放射能を浴びてしまって遺伝子レベルで構造が変わってしまったらしいのよ」
「メタ発言したかと思ったらたった一言でとんでもない世界観発言しましたね?」
「世界観発言だろうがメタ発言だろうがどうだっていいのよ。この時間軸はどの世界とも違う時間軸であるということを、あなたは忘れたつもり?」
「別に忘れてはいませんよ」
「そうでしょう。そうであってほしいものよ。……それはそれとして、だからはっきり言って、あの世界は嫌いなのよね。何度か仕事の都合がつかなくて行ったことがあるけれど、空気も汚いし食事も美味しくない。強いて言うならマキヤソースがあったことが救いかしら。あれはどの世界だって一緒の味付けができる、超万能だからね。どうしてだと思う?」
「……え。どうしてですか?」
「それはね……私があの製造法を各世界に教えたからよ。だから、マキヤソースの原液はこの喫茶店にあるの。覚えておきなさい」
……まだまだ世界には知らないことがあるんだな。そんなことを思った、ある昼下がりの出来事であった。
……まあ、何も考えていないだけかもしれないけれど。
「そうか。派遣はやっていないか。そいつは残念」
サリドという男は肩を竦めて、また麺を啜った。
「ですが、美味しい食事はここに来ていただければいつでも食べることが出来ます」
俺はそう付け足して、営業スマイルを浮かべる。
「ですから今度は、そのリーフガットさんという人も連れてきてあげてください」
「そうだな、サリド。今度はリーフガットさんも強引に連れてきて、俺たちの分をおごらせようぜ! ついでに姫様もだ!」
「ついで、て……。そっちが明らかに目的っぽいけど?! ……まあ、いいか。そうだな、今度は誰か別の人を連れてくることにしよう。……ご馳走様、とても美味かったよ」
ラーメンをあっという間に平らげた二人はぴったりのお金を置いていき、そのまま出口へと向かった。
彼らは再び戦場へと向かうのだろうか。
そう思いながら、俺はスープまで飲み干されたラーメンの器をカウンターから片付けるのだった。
◇◇◇
後日談。
というよりもただのエピローグ。
「あの世界のレーション、というよりも味覚は酷いことで有名だった、って知っていたかしら?」
「レーション……だけではなくて、ということですか?」
「そう。あの世界はいろいろとあった世界でね……。正確に言うととんでもなく時間がかかって尺に収まりきらないから簡単に言うと放射能を浴びてしまって遺伝子レベルで構造が変わってしまったらしいのよ」
「メタ発言したかと思ったらたった一言でとんでもない世界観発言しましたね?」
「世界観発言だろうがメタ発言だろうがどうだっていいのよ。この時間軸はどの世界とも違う時間軸であるということを、あなたは忘れたつもり?」
「別に忘れてはいませんよ」
「そうでしょう。そうであってほしいものよ。……それはそれとして、だからはっきり言って、あの世界は嫌いなのよね。何度か仕事の都合がつかなくて行ったことがあるけれど、空気も汚いし食事も美味しくない。強いて言うならマキヤソースがあったことが救いかしら。あれはどの世界だって一緒の味付けができる、超万能だからね。どうしてだと思う?」
「……え。どうしてですか?」
「それはね……私があの製造法を各世界に教えたからよ。だから、マキヤソースの原液はこの喫茶店にあるの。覚えておきなさい」
……まだまだ世界には知らないことがあるんだな。そんなことを思った、ある昼下がりの出来事であった。
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