(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~
ワインレッドの心・前編
ドラゴンメイド喫茶、ボルケイノ。
このお店はどんな異世界にも繋がっていて、どんな異世界からも干渉することの出来る、ちょっと変わった空間にある喫茶店だ――なんてことを言ってもきっと理解してくれないだろうと思うので、簡単に告げよう。
このお店はいろんな世界に扉が繋がっている。そしてその扉はどんなタイミングでも使うことが出来る。だから一見さん大歓迎。むしろ一見が多すぎてちょっと回っていないくらい。
だからと言ってサービスの質が落ちることは無い。そんなことは有り得ない。そんなことをさせないためにも、俺たちは必死に頑張っている……ということになる。
……申し遅れたけど、俺はこのボルケイノのアルバイターだ。名前はケイタ。まあ、それくらい覚えておけばあとはこのお店については関係ないだろう。流れで理解してもらえればいい。そんな深い話は、まあ、きっとないと思うから。
そういえば最近ボルケイノには新しいスタッフが入った。俺と違って休む時もあるにはあるので、この前の新聞記者がやってきたときも偶然休みを取っていた。
「ねえ、ケイタ。これってどこに入っているの?」
彼女の名前はサクラ。俺と同じ世界の人間だ。もっと正確に言えば、俺の幼馴染でもあるわけだけれど。
サクラが持っていたのはワイングラスだった。ワイングラス。はて、そんなもの最近使った覚えがないのだけれど、いったいどこからそれを持ち出してきたのだろうか?
「なあサクラ、いったいそれをどこから……」
――持ち出したんだ? と言おうと思ったところだったが。
「あ、そのワイングラス。私が使ったんだった。すまなかったな、サクラ。私が戻しておくよ」
そう言ってメリューさんが背後から近づいて、ひょいとそれを受け取った。
メリューさんはこのボルケイノのコックを務めている。……一応言っておくけれど、女性でコックをしているのか? という質問は野暮だ。むしろ、普通かもしれない。男女平等の世の中で女性がある意味では優位に立てる職業なのかもしれないな。まあ、あくまでも俺の主観ではあるけれど。
ともあれそう言われたサクラは、その言葉の通りメリューさんにワイングラスを渡した。
カランコロン、とドアにつけられた鈴が鳴ったのはちょうどその時だった。
「いらっしゃいませ」
俺はいつも通りの営業スマイルを見せる。
「いらっしゃいませ。空いている席にどうぞ」
続いてサクラがお客さんを空いている席へと誘導する。
お客さんは赤いドレスを着ていた女性だった。どこか悲しそうな表情をしていた彼女は開口一番こう言った。
「ワインをちょうだい。それと、それによく合う料理を」
ワインと、よく合う料理。
さて、そういわれてしまったけれどいったいどうすればいいかな。まずはメリューさんに言っておかないと。
「ワインと、それに合う料理だって?」
厨房で何かの下準備をしていたメリューさんは俺にそう言った。
このお店はどんな異世界にも繋がっていて、どんな異世界からも干渉することの出来る、ちょっと変わった空間にある喫茶店だ――なんてことを言ってもきっと理解してくれないだろうと思うので、簡単に告げよう。
このお店はいろんな世界に扉が繋がっている。そしてその扉はどんなタイミングでも使うことが出来る。だから一見さん大歓迎。むしろ一見が多すぎてちょっと回っていないくらい。
だからと言ってサービスの質が落ちることは無い。そんなことは有り得ない。そんなことをさせないためにも、俺たちは必死に頑張っている……ということになる。
……申し遅れたけど、俺はこのボルケイノのアルバイターだ。名前はケイタ。まあ、それくらい覚えておけばあとはこのお店については関係ないだろう。流れで理解してもらえればいい。そんな深い話は、まあ、きっとないと思うから。
そういえば最近ボルケイノには新しいスタッフが入った。俺と違って休む時もあるにはあるので、この前の新聞記者がやってきたときも偶然休みを取っていた。
「ねえ、ケイタ。これってどこに入っているの?」
彼女の名前はサクラ。俺と同じ世界の人間だ。もっと正確に言えば、俺の幼馴染でもあるわけだけれど。
サクラが持っていたのはワイングラスだった。ワイングラス。はて、そんなもの最近使った覚えがないのだけれど、いったいどこからそれを持ち出してきたのだろうか?
「なあサクラ、いったいそれをどこから……」
――持ち出したんだ? と言おうと思ったところだったが。
「あ、そのワイングラス。私が使ったんだった。すまなかったな、サクラ。私が戻しておくよ」
そう言ってメリューさんが背後から近づいて、ひょいとそれを受け取った。
メリューさんはこのボルケイノのコックを務めている。……一応言っておくけれど、女性でコックをしているのか? という質問は野暮だ。むしろ、普通かもしれない。男女平等の世の中で女性がある意味では優位に立てる職業なのかもしれないな。まあ、あくまでも俺の主観ではあるけれど。
ともあれそう言われたサクラは、その言葉の通りメリューさんにワイングラスを渡した。
カランコロン、とドアにつけられた鈴が鳴ったのはちょうどその時だった。
「いらっしゃいませ」
俺はいつも通りの営業スマイルを見せる。
「いらっしゃいませ。空いている席にどうぞ」
続いてサクラがお客さんを空いている席へと誘導する。
お客さんは赤いドレスを着ていた女性だった。どこか悲しそうな表情をしていた彼女は開口一番こう言った。
「ワインをちょうだい。それと、それによく合う料理を」
ワインと、よく合う料理。
さて、そういわれてしまったけれどいったいどうすればいいかな。まずはメリューさんに言っておかないと。
「ワインと、それに合う料理だって?」
厨房で何かの下準備をしていたメリューさんは俺にそう言った。
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