(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~
続 王女のワガママ・9
後日談。
というよりもただのオチ。
あれからお皿を洗っていた俺だったけれど、ちょうどお皿の水分をふき取っていたタイミングでリーサとアルシスさん、それにミルシア女王陛下が厨房にやってきた。
ミルシア女王陛下は俺の姿を見るなり爆笑していた。何だよ、したくてしているわけじゃねえんだよ。それくらい理解してほしい。
けれど最後にミルシア女王陛下は笑顔でありがとうと言ってくれた。そしてその言葉をメリューさんにも伝えてほしいといった。それくらい朝飯前だ。もう夕方になっているけれど、別にその言葉を使うのはどのタイミングだってかまわないはずだ。
さて、急いで戻ろう。
この女装という恰好にもオサラバする時間がやってきたということだ。
……ちなみに戻ってきてから、メリューさんがとくに労いの言葉をかけたわけでもなく、いつも通りの会話しかしなかったため、俺は大急ぎでメイド服から普通の服に着替えて、なるべくそのことを忘れようとしていた。
忘れたくても、その後忘れることのできない、むしろ悪化したイベントが発生したのだけれど。
ミルシア女王陛下がお店にやってきたのはそれから二週間後の話だった。
「メリュー、来てあげたわよ!」
いつも通りの掛け声で入ってくるミルシア女王陛下。それを聞いてメリューさんは料理をつくりはじめる。いつも通りとはいえ、メリューさんもメリューさんだ。ネタが尽きないのだろうか?
……それはさておき、俺もいつも通りの接客をする。
カウンターの席に座ったミルシア女王陛下にお水とお手拭きを差し出したところで、ミルシア女王陛下が首を傾げていた。
「……どうかしましたか?」
俺は疑問に思って訊ねる。
ミルシア女王陛下は不敵な笑みを浮かべて、俺に言った。
「いや、前はメイド服を着ていたのに、あれは一回きりだったのかな、って思ってね。なかなか似合っていたのに、勿体ないなあ」
――そのあと、しばらくはそれを聞いていたサクラがいちいち俺にその話題を振ってきたことについて、そしてその反応を見て楽しそうにしていたというのは言うまでもない。
ちなみに、ほんとうに最後のオマケとして。
まだ俺が着たメイド服は残しているらしく、時折メリューさんが「メイド服のぬくもりを味わいたいのならば、どうぞ?」と言って持ってきてくる。毎回俺は断っているのだが、メリューさんはそれでも諦めない。
なんというか、俺に着ろと言っているのだろうか?
だから一度言ってやったんだ。
仕事じゃなくてプライベートのお願いなら、いつでも着てやりますよ、って。
メリューさんはつまらなそうにメイド服を仕舞っていたけれど、一先ずこれで解決しただろう。……何か変な誤解をされていなければいいのだが。
というよりもただのオチ。
あれからお皿を洗っていた俺だったけれど、ちょうどお皿の水分をふき取っていたタイミングでリーサとアルシスさん、それにミルシア女王陛下が厨房にやってきた。
ミルシア女王陛下は俺の姿を見るなり爆笑していた。何だよ、したくてしているわけじゃねえんだよ。それくらい理解してほしい。
けれど最後にミルシア女王陛下は笑顔でありがとうと言ってくれた。そしてその言葉をメリューさんにも伝えてほしいといった。それくらい朝飯前だ。もう夕方になっているけれど、別にその言葉を使うのはどのタイミングだってかまわないはずだ。
さて、急いで戻ろう。
この女装という恰好にもオサラバする時間がやってきたということだ。
……ちなみに戻ってきてから、メリューさんがとくに労いの言葉をかけたわけでもなく、いつも通りの会話しかしなかったため、俺は大急ぎでメイド服から普通の服に着替えて、なるべくそのことを忘れようとしていた。
忘れたくても、その後忘れることのできない、むしろ悪化したイベントが発生したのだけれど。
ミルシア女王陛下がお店にやってきたのはそれから二週間後の話だった。
「メリュー、来てあげたわよ!」
いつも通りの掛け声で入ってくるミルシア女王陛下。それを聞いてメリューさんは料理をつくりはじめる。いつも通りとはいえ、メリューさんもメリューさんだ。ネタが尽きないのだろうか?
……それはさておき、俺もいつも通りの接客をする。
カウンターの席に座ったミルシア女王陛下にお水とお手拭きを差し出したところで、ミルシア女王陛下が首を傾げていた。
「……どうかしましたか?」
俺は疑問に思って訊ねる。
ミルシア女王陛下は不敵な笑みを浮かべて、俺に言った。
「いや、前はメイド服を着ていたのに、あれは一回きりだったのかな、って思ってね。なかなか似合っていたのに、勿体ないなあ」
――そのあと、しばらくはそれを聞いていたサクラがいちいち俺にその話題を振ってきたことについて、そしてその反応を見て楽しそうにしていたというのは言うまでもない。
ちなみに、ほんとうに最後のオマケとして。
まだ俺が着たメイド服は残しているらしく、時折メリューさんが「メイド服のぬくもりを味わいたいのならば、どうぞ?」と言って持ってきてくる。毎回俺は断っているのだが、メリューさんはそれでも諦めない。
なんというか、俺に着ろと言っているのだろうか?
だから一度言ってやったんだ。
仕事じゃなくてプライベートのお願いなら、いつでも着てやりますよ、って。
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