(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~
続 王女のワガママ・5
城の中を歩いていく俺とリーサ。
すれ違う人も居るのだけれど、大半の人が新任のメイドくらいにしか思っていないらしく、普通に挨拶してくる。もちろん、普通にこちらも挨拶を返すのだが、どうやら誰も俺が男であることを理解していないらしかった。
「……ここまで誰にも気付かれないとそれはそれで辛い……」
テレパシーで呟く俺。
「まあ、気付かれないのならばそれはそれで問題無いのではないでしょうか? だって、男と気づかれたくないのでしょう?」
確かにそれもそうだけれど……。
しかし、何故メイド長――アルシスさんはわざわざ中に入れたのだろうか。いくら人手不足とはいえ、実質俺たちは部外者。部外者を簡単に入れるなんて……。
「己惚れないで下さいよ」
そう言ったアルシスさんの口調は、とても冷たかった。
普段と変わらないのかもしれないけれど、いまの口調はそれよりも遥かに冷たく感じられた。
「別に私はあなたたちを信用しているわけではないのですよ。信用しているのは寧ろ……ミルシア女王陛下です」
歩いたまま、アルシスさんの話は続く。
「彼女は危機管理能力がとても低い。私は先代から仕えていますが、彼女は正直な話、世間知らずなところがとても多いのですよ」
先代から仕えている。
それを聞いただけで長年ここにメイドとして君臨? していることが理解出来る。しかし、そう考えるとアルシスさんは幾つなのか……。いや、考えないほうがいい。女性の年齢は考えないほうが身のためだ。
「先代は、ほんとうに素晴らしい方でした。女性が国王になることが珍しかった時代でしたから、ほかの国と交流するときにも、大臣と話すときにも、女性だからといった目で見られていたそうです。……要するに、女性には政治など出来るはずがない、そう思われていた……ということになります」
それは俺の世界でも未だ残っていることかもしれない。最近は先進国でも漸く女性が要職に就くようにはなってきたけれど、それでも国のトップを務めることは殆どといっていいほど無いかもしれない。
「しかしながら、それでも先代は諦めませんでした。夜、寝る時間を削って政治の知識を蓄えて、いろいろな意見を考えていました。私は何回体調に障りますとお伝えしても、ダメでした。けれど、その努力は最終的に実を結びました。その努力によって、ほかの国の人も、大臣やこの国の中の人たちも、徐々に先代を認めるようになってきたのです。『やはりこの国の王に相応しい人間だった』と、手の平を返すようになったのです」
すれ違う人も居るのだけれど、大半の人が新任のメイドくらいにしか思っていないらしく、普通に挨拶してくる。もちろん、普通にこちらも挨拶を返すのだが、どうやら誰も俺が男であることを理解していないらしかった。
「……ここまで誰にも気付かれないとそれはそれで辛い……」
テレパシーで呟く俺。
「まあ、気付かれないのならばそれはそれで問題無いのではないでしょうか? だって、男と気づかれたくないのでしょう?」
確かにそれもそうだけれど……。
しかし、何故メイド長――アルシスさんはわざわざ中に入れたのだろうか。いくら人手不足とはいえ、実質俺たちは部外者。部外者を簡単に入れるなんて……。
「己惚れないで下さいよ」
そう言ったアルシスさんの口調は、とても冷たかった。
普段と変わらないのかもしれないけれど、いまの口調はそれよりも遥かに冷たく感じられた。
「別に私はあなたたちを信用しているわけではないのですよ。信用しているのは寧ろ……ミルシア女王陛下です」
歩いたまま、アルシスさんの話は続く。
「彼女は危機管理能力がとても低い。私は先代から仕えていますが、彼女は正直な話、世間知らずなところがとても多いのですよ」
先代から仕えている。
それを聞いただけで長年ここにメイドとして君臨? していることが理解出来る。しかし、そう考えるとアルシスさんは幾つなのか……。いや、考えないほうがいい。女性の年齢は考えないほうが身のためだ。
「先代は、ほんとうに素晴らしい方でした。女性が国王になることが珍しかった時代でしたから、ほかの国と交流するときにも、大臣と話すときにも、女性だからといった目で見られていたそうです。……要するに、女性には政治など出来るはずがない、そう思われていた……ということになります」
それは俺の世界でも未だ残っていることかもしれない。最近は先進国でも漸く女性が要職に就くようにはなってきたけれど、それでも国のトップを務めることは殆どといっていいほど無いかもしれない。
「しかしながら、それでも先代は諦めませんでした。夜、寝る時間を削って政治の知識を蓄えて、いろいろな意見を考えていました。私は何回体調に障りますとお伝えしても、ダメでした。けれど、その努力は最終的に実を結びました。その努力によって、ほかの国の人も、大臣やこの国の中の人たちも、徐々に先代を認めるようになってきたのです。『やはりこの国の王に相応しい人間だった』と、手の平を返すようになったのです」
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