(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~
新聞記者とペペロンチーノ・2
ピンクのフリルがついたドレス、栗色の髪はツインテールになっている。そして、髪の上には小さなティアラが飾りのように装着されていた。
目鼻顔立ちは整っており、どこか貴族のような雰囲気も感じさせる。
ミルシア女王陛下。
それが彼女の名前と、階級だった。
メリューさんは新聞をもって立ち上がると、ゆっくりとバックヤードへと戻っていく。
「いらっしゃいませ、ミルシア女王陛下。まだちょっと時間が早いのですが……」
「それは重々承知しているわ! けれど、ちょっと用事があってね。メリュー、あなた新聞は読んでいるかしら?」
「新聞。なら読んでいるが」
「それってアルキメディアタイムズ?」
「そうだけれど?」
「それならオーケイ。実はちょっと頼みがあってね……。いいかしら?」
よく見るとミルシア女王陛下の背後には、彼女より少し低い身長の女性が立っていた。ベレー帽のような帽子を被って、手帳とペンを持っている。
簡単に言えば、記者のような感じ。
そんな感じの女性が彼女の背後に立っていた。
ミルシア女王陛下はそれに気づいて、彼女に問いかける。
「ほら。前に出ないと解らないでしょう? いいから、挨拶だけでも早々に済ませてちょうだい」
そうして強引に前に出すミルシア女王陛下。
女性は緊張した様子のまま、頭を下げた。
「はじめまして。私の名前はアルター・イノシスといいます。新聞記者を、務めています」
「新聞記者?」
俺は首を傾げる。一体全体、どうしてそのような業種の人間がここにやってきたのだろうか。
笑みを浮かべたのはミルシア女王陛下だった。
「実は、アルキメディアタイムズはお店を紹介するコーナーがあるのよね。そこで宣伝されるといろんなお客がやってきて必ず集客増に繋がるという、とても素晴らしいものなのだけれど」
前置きした後に、アルターさんに手を添えた。
「今回、ボルケイノでその取材をしたい、と言ってきたのよ!」
「な、なんだってー!」
それは一大事だ! もしそれが成功すれば集客増は間違いない。最近新規客が少なくなってきている現状、新規客の獲得をどうすればいいかメリューさんは考えていたはずだ。
もしこれが本当にあることならば、願ってもいないチャンスだと思う。これは絶対に受けるべき――。
「お言葉ですが、女王陛下」
メリューさんは俺の思考を中断するように言った。
「今回の申し出、お断りしたく思います」
「……理由を聞かせてくれないかしら?」
突然の却下にミルシア女王陛下は怒りを露わにすることなく、メリューさんに尋ねた。
メリューさんは頷いて、
「このお店は、確かに最近新規の客があまり入ってきていません。既存の常連さんによく来ていただいてなんとか経営を持っている状態といっても半ば過言ではない」
「うむ。確かにそうだろうな。少し前までは私がいた時もそれなりに人がいたらしいが、今はほとんど見かけることもない。私はそれを心配しているのだぞ?」
目鼻顔立ちは整っており、どこか貴族のような雰囲気も感じさせる。
ミルシア女王陛下。
それが彼女の名前と、階級だった。
メリューさんは新聞をもって立ち上がると、ゆっくりとバックヤードへと戻っていく。
「いらっしゃいませ、ミルシア女王陛下。まだちょっと時間が早いのですが……」
「それは重々承知しているわ! けれど、ちょっと用事があってね。メリュー、あなた新聞は読んでいるかしら?」
「新聞。なら読んでいるが」
「それってアルキメディアタイムズ?」
「そうだけれど?」
「それならオーケイ。実はちょっと頼みがあってね……。いいかしら?」
よく見るとミルシア女王陛下の背後には、彼女より少し低い身長の女性が立っていた。ベレー帽のような帽子を被って、手帳とペンを持っている。
簡単に言えば、記者のような感じ。
そんな感じの女性が彼女の背後に立っていた。
ミルシア女王陛下はそれに気づいて、彼女に問いかける。
「ほら。前に出ないと解らないでしょう? いいから、挨拶だけでも早々に済ませてちょうだい」
そうして強引に前に出すミルシア女王陛下。
女性は緊張した様子のまま、頭を下げた。
「はじめまして。私の名前はアルター・イノシスといいます。新聞記者を、務めています」
「新聞記者?」
俺は首を傾げる。一体全体、どうしてそのような業種の人間がここにやってきたのだろうか。
笑みを浮かべたのはミルシア女王陛下だった。
「実は、アルキメディアタイムズはお店を紹介するコーナーがあるのよね。そこで宣伝されるといろんなお客がやってきて必ず集客増に繋がるという、とても素晴らしいものなのだけれど」
前置きした後に、アルターさんに手を添えた。
「今回、ボルケイノでその取材をしたい、と言ってきたのよ!」
「な、なんだってー!」
それは一大事だ! もしそれが成功すれば集客増は間違いない。最近新規客が少なくなってきている現状、新規客の獲得をどうすればいいかメリューさんは考えていたはずだ。
もしこれが本当にあることならば、願ってもいないチャンスだと思う。これは絶対に受けるべき――。
「お言葉ですが、女王陛下」
メリューさんは俺の思考を中断するように言った。
「今回の申し出、お断りしたく思います」
「……理由を聞かせてくれないかしら?」
突然の却下にミルシア女王陛下は怒りを露わにすることなく、メリューさんに尋ねた。
メリューさんは頷いて、
「このお店は、確かに最近新規の客があまり入ってきていません。既存の常連さんによく来ていただいてなんとか経営を持っている状態といっても半ば過言ではない」
「うむ。確かにそうだろうな。少し前までは私がいた時もそれなりに人がいたらしいが、今はほとんど見かけることもない。私はそれを心配しているのだぞ?」
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