(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~
新メンバーの一日・前編
はじめまして。私の名前は柊木桜。新しくボルケイノに入ったメンバーになります。
まあ、何で入ることになったかと言えばそんな難しいことを言う必要は無いと思うのだけれど――とにかく、私としてはここで務めていくことは別に悪い話じゃないと思っている。
ケイタが長い間ここで働いているだけでも、このお店がいいお店ってことは解るしね。
朝は別に決められた時間に入ることは無い。放課後に行くのが大半、っていうけれどそんな時間から入ると朝の仕込みには参加しないのかな? ……と思っていたら、どうやらこの世界に流れる時間は私たちの世界に流れる時間とは違うスピードで動いているようで、あんまり意味がないらしい。……そういえば、今日は何か甘いものが食べたいなあ。ホットケーキとか。バニラアイスを乗せていてそこからはちみつをかけると、もう最高だよね。今日、時間が余ったらホットケーキを提案してみようかなあ。
……なんてことを考えていたら、もうこんな時間。急いで扉を潜らないとね。
そういうわけで午後四時半にその扉をくぐると、ボルケイノ時間では未だ午前八時前。正直言って便利な世界観だけれど、アリと言えばアリ。ケイタがずっと働いていける理由もなんとなくわかる気がする。
「おはよう、サクラ。今日はケイタのことを手伝ってもらうのもいいのだけれど、少しはあなたに料理のことも学んでほしいかな」
メリューさんは開口一番そう言った。
はて、料理――ケイタは料理を作ったことがない、ということになるのだろうか? まあ、男に料理を任せられない、って人は多いしそういう観念は異世界でも変わっていないのかもしれない。
「そのためにも、私が持つ能力について教えてあげないとね。……さすがにあなたにそれを教えてあげることは出来ないのだけれど、能力の意味を理解してもらうことは必要になる」
そう言ってメリューさんは私をじっと見つめた。
どうしてメリューさんは私のことじっと見つめてくるのか解らないけれど――、とにかく私はメリューさんの目を見返した。
少しの時間だけだったと思うけれど、とても長い時間に感じられた。
先に折れたのはメリューさんのほうだった。笑みを浮かべると、メリューさんは頷く。
「今あなたが食べたいものは、ホットケーキじゃないかしら? それもバニラアイスをトッピングした、とびっきりはちみつのかかったやつ」
それを聞いて、私は目を丸くしていた。
「実はちょいと『目』が良いのさ」
そう言ってメリューさんは自らの目を指さした。
「目が良い、というのはまさに文字通りの意味だよ。ちょっと考えればその人が今食べたいものを教えてくれる。まさに天職ともいえる能力だ。正直言って、この能力があるからこそ私はこのお店をやっていけると言ってもいいのだけれどね」
まあ、何で入ることになったかと言えばそんな難しいことを言う必要は無いと思うのだけれど――とにかく、私としてはここで務めていくことは別に悪い話じゃないと思っている。
ケイタが長い間ここで働いているだけでも、このお店がいいお店ってことは解るしね。
朝は別に決められた時間に入ることは無い。放課後に行くのが大半、っていうけれどそんな時間から入ると朝の仕込みには参加しないのかな? ……と思っていたら、どうやらこの世界に流れる時間は私たちの世界に流れる時間とは違うスピードで動いているようで、あんまり意味がないらしい。……そういえば、今日は何か甘いものが食べたいなあ。ホットケーキとか。バニラアイスを乗せていてそこからはちみつをかけると、もう最高だよね。今日、時間が余ったらホットケーキを提案してみようかなあ。
……なんてことを考えていたら、もうこんな時間。急いで扉を潜らないとね。
そういうわけで午後四時半にその扉をくぐると、ボルケイノ時間では未だ午前八時前。正直言って便利な世界観だけれど、アリと言えばアリ。ケイタがずっと働いていける理由もなんとなくわかる気がする。
「おはよう、サクラ。今日はケイタのことを手伝ってもらうのもいいのだけれど、少しはあなたに料理のことも学んでほしいかな」
メリューさんは開口一番そう言った。
はて、料理――ケイタは料理を作ったことがない、ということになるのだろうか? まあ、男に料理を任せられない、って人は多いしそういう観念は異世界でも変わっていないのかもしれない。
「そのためにも、私が持つ能力について教えてあげないとね。……さすがにあなたにそれを教えてあげることは出来ないのだけれど、能力の意味を理解してもらうことは必要になる」
そう言ってメリューさんは私をじっと見つめた。
どうしてメリューさんは私のことじっと見つめてくるのか解らないけれど――、とにかく私はメリューさんの目を見返した。
少しの時間だけだったと思うけれど、とても長い時間に感じられた。
先に折れたのはメリューさんのほうだった。笑みを浮かべると、メリューさんは頷く。
「今あなたが食べたいものは、ホットケーキじゃないかしら? それもバニラアイスをトッピングした、とびっきりはちみつのかかったやつ」
それを聞いて、私は目を丸くしていた。
「実はちょいと『目』が良いのさ」
そう言ってメリューさんは自らの目を指さした。
「目が良い、というのはまさに文字通りの意味だよ。ちょっと考えればその人が今食べたいものを教えてくれる。まさに天職ともいえる能力だ。正直言って、この能力があるからこそ私はこのお店をやっていけると言ってもいいのだけれどね」
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