(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~
ビターな片思い・後編
後日談。
というか、今回のオチ。
結局、あのあとラインハルトさんはポテトサラダをメリューさんに差し出したのだという。いったい誰に作ってもらったのだろうか、それについてはよく解らないのだけれど、問題はそこからだ。
「この前、唐突にあなたが、私に好きなものを質問したじゃない? それって、これのことだったのね」
ああ、やっぱりメリューさんには嘘を吐けないな。
俺はそう思って、こくりと頷いた。
それを見たメリューさんは溜息を吐いて、
「別にいいのだけれどね、問題はポテトサラダだよ。残念ながら、ポテトサラダは日持ちしない。だからこれを食べるわけにはいかないよ。お腹を壊すわけにはいかないからね」
「日持ちしないんですか」
「そうだよ。だって考えてみたまえよ、芋にマヨネーズだぞ? まあ、料理に従事しない人間はあまりそんなことを考えないだろうがね。……だからといってこれを無駄にするわけにはいかないな。いったい誰に作らせたものなのだろうか……」
そう言ってメリューさんはフライパンに油を入れて、火をつけた。
油が弾けるほど火が通ったタイミングで、ポテトサラダをフライパンの中に放り込んだ。
「……え、え? メリューさん、いったい何をしているのですか??」
「何を敬語にしている。簡単なことだよ、日持ちしないのならば炒めてしまえばいい。正確に言えば、火を通す、ということかな。そういうことをすれば、最悪食べることは出来る。まあ、それが正しい選択であるかどうかは別として、これで味がダメだったら、もうどうしようもないよ」
そう話していくうちにポテトサラダに焼き目がついていく。
それを固めてハンバーグのようなテイストに仕上げていく。
そして塩を振って、それをさらに盛り付けて、俺のテーブルの前に置いた。
「……これは?」
「毒味だ。一応熱消毒したけれど、ほんとうにそこまで消毒できたか怪しいからな。一先ず口にしてみろ、そして問題無さそうなら食べる」
毒味、か。
まあ、メリューさんの目には俺が共犯者に映っているようだし(そもそも犯罪をした覚えはないのだが、今それをメリューさんに言ったところで何か俺の立場が良くなるとは到底思えない)、だったらここは素直にメリューさんの言葉に従ったほうがいいだろう。
そう思って、俺はフォークを手に取ると、一口分にポテトサラダを切り分けて――それを恐る恐る口に入れた。
……美味い。
ポテトサラダが美味いことは当然理解していたが、ポテトサラダに焼き目をつけて塩を振るだけでこれほどまでに風味が違ってしまうとは知らなかった。
「どう……? まあ、その様子だと食べても問題無さそうね。それちょうだい」
そう言ってまだ残りが刺さっているフォークごと奪い取ると、その残りをメリューさんは自分の口に入れた。
少し考えてメリューさんは呟く。
「うん……。なかなか美味しいわね。まあ、ちょっと私なりにアレンジしちゃったけれど、おそらくアレンジ前からも美味しかったでしょうね。ふうん、誰に作らせたか知らないけれど、腕のいいコックじゃない」
別の日、正確に言えばラインハルトさんが来店した日に、メリューさんに気付かれないようにそれを言ったところ、「あれは俺が作ったんだ!」と声を抑えめに憤慨したのは、また別の話。
まあ、なんというか……一言言えることは、こんなことであわただしくなるくらい、ボルケイノは今日も平和だということである。
というか、今回のオチ。
結局、あのあとラインハルトさんはポテトサラダをメリューさんに差し出したのだという。いったい誰に作ってもらったのだろうか、それについてはよく解らないのだけれど、問題はそこからだ。
「この前、唐突にあなたが、私に好きなものを質問したじゃない? それって、これのことだったのね」
ああ、やっぱりメリューさんには嘘を吐けないな。
俺はそう思って、こくりと頷いた。
それを見たメリューさんは溜息を吐いて、
「別にいいのだけれどね、問題はポテトサラダだよ。残念ながら、ポテトサラダは日持ちしない。だからこれを食べるわけにはいかないよ。お腹を壊すわけにはいかないからね」
「日持ちしないんですか」
「そうだよ。だって考えてみたまえよ、芋にマヨネーズだぞ? まあ、料理に従事しない人間はあまりそんなことを考えないだろうがね。……だからといってこれを無駄にするわけにはいかないな。いったい誰に作らせたものなのだろうか……」
そう言ってメリューさんはフライパンに油を入れて、火をつけた。
油が弾けるほど火が通ったタイミングで、ポテトサラダをフライパンの中に放り込んだ。
「……え、え? メリューさん、いったい何をしているのですか??」
「何を敬語にしている。簡単なことだよ、日持ちしないのならば炒めてしまえばいい。正確に言えば、火を通す、ということかな。そういうことをすれば、最悪食べることは出来る。まあ、それが正しい選択であるかどうかは別として、これで味がダメだったら、もうどうしようもないよ」
そう話していくうちにポテトサラダに焼き目がついていく。
それを固めてハンバーグのようなテイストに仕上げていく。
そして塩を振って、それをさらに盛り付けて、俺のテーブルの前に置いた。
「……これは?」
「毒味だ。一応熱消毒したけれど、ほんとうにそこまで消毒できたか怪しいからな。一先ず口にしてみろ、そして問題無さそうなら食べる」
毒味、か。
まあ、メリューさんの目には俺が共犯者に映っているようだし(そもそも犯罪をした覚えはないのだが、今それをメリューさんに言ったところで何か俺の立場が良くなるとは到底思えない)、だったらここは素直にメリューさんの言葉に従ったほうがいいだろう。
そう思って、俺はフォークを手に取ると、一口分にポテトサラダを切り分けて――それを恐る恐る口に入れた。
……美味い。
ポテトサラダが美味いことは当然理解していたが、ポテトサラダに焼き目をつけて塩を振るだけでこれほどまでに風味が違ってしまうとは知らなかった。
「どう……? まあ、その様子だと食べても問題無さそうね。それちょうだい」
そう言ってまだ残りが刺さっているフォークごと奪い取ると、その残りをメリューさんは自分の口に入れた。
少し考えてメリューさんは呟く。
「うん……。なかなか美味しいわね。まあ、ちょっと私なりにアレンジしちゃったけれど、おそらくアレンジ前からも美味しかったでしょうね。ふうん、誰に作らせたか知らないけれど、腕のいいコックじゃない」
別の日、正確に言えばラインハルトさんが来店した日に、メリューさんに気付かれないようにそれを言ったところ、「あれは俺が作ったんだ!」と声を抑えめに憤慨したのは、また別の話。
まあ、なんというか……一言言えることは、こんなことであわただしくなるくらい、ボルケイノは今日も平和だということである。
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