(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~
ビターな片思い・前編
カウンターで煮物の芋を頬張るラインハルトさんは俺に唐突にこう問いかけた。
「あの料理を作っているメイドの好きなものを知っているか?」
「料理を作っているメイド……ああ、メリューさんのこと? メリューさんの好きなもの、か……」
そもそも。
どうしてラインハルトさんがそんな質問をしているのか、ということになる。
まあ、なんとなくではあるが理由は理解できる。きっと、ラインハルトさんはメリューさんに恋をしてしまったのだろう。そんなベターな理由で、しかも本人には聞けないから一番近い存在で、なおかつ一番聞きやすそうな俺に訊ねた、って魂胆だろう。
正直、見え見えな気持ちだが、それは教えない。本人の気持ちを尊重して、のことだから。
「……でも、正直な話俺も知りませんよ。幾ら付き合いがあるとはいえ仕事中の付き合いしかありませんから。そこまでの話はしませんし」
「だからこそ、だよ。別にその解答をすぐ求めているわけではない。まさに、これからだ。これから君が質問をしてくれればいいんだ。メリューさんの好きなものを、質問するんだ。そして、僕に教えてほしいのだよ」
「とはいえ、ですねえ……」
まあ、この前いろいろあったからどちらかといえば前に比べれば聞きやすくなった……のか? ちなみに『いろいろ』の詳細については……まあ、過去のエピソードを呼んでもらえると大変有難いかな。
さておき。
コーヒーカップに入っているコーヒーが無くなっていることに気付いた俺は、それにコーヒーを注いだ。ちなみに常連に関してはコーヒーは飲み放題となっている。相手が『飲みたくない』というまで続くので、止めないと終わらない。それは最初の注文時に念を押しているので、みな理解している。
「……有難う。それにしても、ここのコーヒーは美味しいな。君が煎れているのか?」
「ええ、まあ。最初はメリューさんに怒られましたが、何とか褒められる……いや、正確に言えば何も言われない程度、ですかね。それくらいには成長した感じでしょうか」
「ふむ。メリューさんも厳しいなあ。しかし、それがあるからこそのクオリティを保つことが出来るのだろうね」
そう言ってラインハルトさんはコーヒーを一口啜る。
そんなこんなあって、会計時。
ラインハルトさんは僕に耳打ちするように近づいて、言った。
「――それじゃ、彼女の好きなものを聞いておいてくれよ。よろしく頼む」
そう言って、ラインハルトさんは適当に会計を済ませると、そそくさと去っていった。
「あの料理を作っているメイドの好きなものを知っているか?」
「料理を作っているメイド……ああ、メリューさんのこと? メリューさんの好きなもの、か……」
そもそも。
どうしてラインハルトさんがそんな質問をしているのか、ということになる。
まあ、なんとなくではあるが理由は理解できる。きっと、ラインハルトさんはメリューさんに恋をしてしまったのだろう。そんなベターな理由で、しかも本人には聞けないから一番近い存在で、なおかつ一番聞きやすそうな俺に訊ねた、って魂胆だろう。
正直、見え見えな気持ちだが、それは教えない。本人の気持ちを尊重して、のことだから。
「……でも、正直な話俺も知りませんよ。幾ら付き合いがあるとはいえ仕事中の付き合いしかありませんから。そこまでの話はしませんし」
「だからこそ、だよ。別にその解答をすぐ求めているわけではない。まさに、これからだ。これから君が質問をしてくれればいいんだ。メリューさんの好きなものを、質問するんだ。そして、僕に教えてほしいのだよ」
「とはいえ、ですねえ……」
まあ、この前いろいろあったからどちらかといえば前に比べれば聞きやすくなった……のか? ちなみに『いろいろ』の詳細については……まあ、過去のエピソードを呼んでもらえると大変有難いかな。
さておき。
コーヒーカップに入っているコーヒーが無くなっていることに気付いた俺は、それにコーヒーを注いだ。ちなみに常連に関してはコーヒーは飲み放題となっている。相手が『飲みたくない』というまで続くので、止めないと終わらない。それは最初の注文時に念を押しているので、みな理解している。
「……有難う。それにしても、ここのコーヒーは美味しいな。君が煎れているのか?」
「ええ、まあ。最初はメリューさんに怒られましたが、何とか褒められる……いや、正確に言えば何も言われない程度、ですかね。それくらいには成長した感じでしょうか」
「ふむ。メリューさんも厳しいなあ。しかし、それがあるからこそのクオリティを保つことが出来るのだろうね」
そう言ってラインハルトさんはコーヒーを一口啜る。
そんなこんなあって、会計時。
ラインハルトさんは僕に耳打ちするように近づいて、言った。
「――それじゃ、彼女の好きなものを聞いておいてくれよ。よろしく頼む」
そう言って、ラインハルトさんは適当に会計を済ませると、そそくさと去っていった。
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