俺にエンジョイもチートも全否定!~仕方ない、最弱で最強の俺が行ってやろう~
第六回 組織(笑)出現
――――――――
「うわあああああああっ!?」
「逃がしませんよぉ……せっかくの獲物何ですか、らっ!」
「ぐげえっ」
男は、魔力で作り上げられた刃を二つ握っていた。身体強化すらかけていない生身の足で、身体強化をかけたSランク冒険者を追い上げる。
死まで追い詰められたSランクもさすがに悲鳴を上げ、男に殺される。
男はにやり、と笑った。その後行われたことは、見るにも無残な―――。
――――――――――
――――――――――
「やっ……来ないで……」
「来るなと言われて、話を聞く敵がいるかよぉ? あぁ!?」
「いやっ……ワタシ、死にたく、な」
「ざっけんなよぉ、この俺様に向かってぇ……頭が高けえんだよバーカ」
男は、自分の身長よりもはるかに長い鎌を女に振り上げた。
そして振り下ろす。
血しぶきが飛んだ。
女の目は虚ろで、失望感と絶望感が取り巻いていた。
「ふん」
しかし次の瞬間、魂だけが抜かれたように女の体は初期と変わらず修復されていた。
しかし、命だけがない。
「みっともねえAランクだ。さいなら、最弱Aランク」
男は女を担いで手荒く馬車に放り込んだ。この後行われたことは、見る者が声を上げる―――。
――――――――――
朝、ギルドは騒ぎに包まれていた。
「んだようるせーな。昔みたいに喧嘩を売りたくなっちまうぜ?」
「はや……いや、リーゼルト。昔みたいなことをしていたら、ギルド職員に目を付けられて除名されるぞ?」
「現実的なこと言ってんじゃねえよぉおおお!?」
折角夢を語っていたのに、とリーゼルトは肩を落とす。
賢者組、レスナとサテラは組織に呼ばれたと言ってどこかに去っていった。二人が所属するのは、組織の中でも小さな『会社』だ。
組織本部の奴隷のような。まるでそんな無くてもいい組織の一部である。
しかしそこでも本部の『下っ端』に呼ばれるような『精鋭』が二人だ。本部の下っ端は子会社の社長ランクということになる。
藍たちは休日だから少し遊びたい、と言って今は街を歩いている。
ちなみに彼女達は全員でグループになった。
人数が多すぎて、これではひとつの団体と言われても仕方がないだろう。
「で、こりゃ何の騒ぎ何だぁ?」
「知るか。そんなの受付嬢の方のサテラに聞いておけばいいだろう?」
うわ、面倒くせ、とリーゼルトは飲んでいるジュースのストローらしきもの、ステルスとよばれる木を極限まで薄くしたものを噛む。
木を薄くし過ぎて、ストローとそこまで変わらないのに感心した。
「悪かったですね。では私が出向いて教えましょう」
「うおお!? どこから湧きやがった!?」
「失礼な。受付嬢たるもの、これくらいできなくてどうしますか」
「受付嬢の定義にそんなもんねえよ!?」
綺麗だ、可愛い、と噂されるギルドの制服を着たサテラが、リーゼルトの後ろに気配もなく忍び寄る。彼の前に居た彩は気づいていた。
リーゼルトは久しぶりの二連続ツッコミに疲れて椅子にもたれている。
「新たな悪質組織が作られたようです。早速Sランク冒険者2人とAランク冒険者5人が殺されたのです」
「あー。組織(笑)だな」
「そうだな。組織(笑)だな」
「笑い事じゃありませんよ!? 悪質なのに!!」
「いやそんなの屁でもねえ。さっさと駆除するわ」
「いやぁ……組織って聞くと怖気がするな。でも組織(笑)は大丈夫なのでは」
最恐最悪最強組織を相手にしているリーゼルトと彩にとって、いくら悪質でも新人組織など目にすら入れていないのだ。
もしボスが強いなら、と考えているが、そんなの機密組織に比べたら本当に屁でもない。
笑いながら話す二人にサテラは少し呆れる。
サテラは組織の存在を知っているので、二人の態度に疑いをかけることは無い。
そんなことよりも、リーゼルトと彩はシアンの妹シオンの方が気にかけている。
妹がいるなんて聞いてない!!!!! という感じだ。
「さて壊滅しますかー」
「人間死んだとなると、さすがに無視はできないからな。いつ私達に被害が及ぶかわからんからな」
「自分優先ですかッ!!」
「今の状況自分優先が命守れるからなぁ……しみついたか」
リーゼルトと彩はそう言って席を立った。
サテラは呆れながらも、何とも思えない信頼感を感じていた。
「さて情報集めだ」
「ちょっとまてよ、リーゼルトぉおっ――――!?」
「ふふ」
なのに―――自分は。
走っていく二人を見て、サテラは胸がきつく縛られるような感覚になってしまう。
組織のことをこんなに知りたがっている二人なのに。
どうして自分はこんなにも情けなくて、命欲しさに何も言えないのだろう。
『自分優先ですかッ!!』
先程自分が言った言葉だけど、無性にイライラした。彼らより、自分の方が自分を優先しているのに。
「サテラさん! 代わってくださいません??」
「あ、了解です!」
それでも受付嬢サテラは笑顔で受付する。
今日も、闇を抱えてしまったみんなのマドンナは、仕事を進めていく。
忙しさに、闇を包んで忘れようと試みるが―――それが無くなることはない。
「うわあああああああっ!?」
「逃がしませんよぉ……せっかくの獲物何ですか、らっ!」
「ぐげえっ」
男は、魔力で作り上げられた刃を二つ握っていた。身体強化すらかけていない生身の足で、身体強化をかけたSランク冒険者を追い上げる。
死まで追い詰められたSランクもさすがに悲鳴を上げ、男に殺される。
男はにやり、と笑った。その後行われたことは、見るにも無残な―――。
――――――――――
――――――――――
「やっ……来ないで……」
「来るなと言われて、話を聞く敵がいるかよぉ? あぁ!?」
「いやっ……ワタシ、死にたく、な」
「ざっけんなよぉ、この俺様に向かってぇ……頭が高けえんだよバーカ」
男は、自分の身長よりもはるかに長い鎌を女に振り上げた。
そして振り下ろす。
血しぶきが飛んだ。
女の目は虚ろで、失望感と絶望感が取り巻いていた。
「ふん」
しかし次の瞬間、魂だけが抜かれたように女の体は初期と変わらず修復されていた。
しかし、命だけがない。
「みっともねえAランクだ。さいなら、最弱Aランク」
男は女を担いで手荒く馬車に放り込んだ。この後行われたことは、見る者が声を上げる―――。
――――――――――
朝、ギルドは騒ぎに包まれていた。
「んだようるせーな。昔みたいに喧嘩を売りたくなっちまうぜ?」
「はや……いや、リーゼルト。昔みたいなことをしていたら、ギルド職員に目を付けられて除名されるぞ?」
「現実的なこと言ってんじゃねえよぉおおお!?」
折角夢を語っていたのに、とリーゼルトは肩を落とす。
賢者組、レスナとサテラは組織に呼ばれたと言ってどこかに去っていった。二人が所属するのは、組織の中でも小さな『会社』だ。
組織本部の奴隷のような。まるでそんな無くてもいい組織の一部である。
しかしそこでも本部の『下っ端』に呼ばれるような『精鋭』が二人だ。本部の下っ端は子会社の社長ランクということになる。
藍たちは休日だから少し遊びたい、と言って今は街を歩いている。
ちなみに彼女達は全員でグループになった。
人数が多すぎて、これではひとつの団体と言われても仕方がないだろう。
「で、こりゃ何の騒ぎ何だぁ?」
「知るか。そんなの受付嬢の方のサテラに聞いておけばいいだろう?」
うわ、面倒くせ、とリーゼルトは飲んでいるジュースのストローらしきもの、ステルスとよばれる木を極限まで薄くしたものを噛む。
木を薄くし過ぎて、ストローとそこまで変わらないのに感心した。
「悪かったですね。では私が出向いて教えましょう」
「うおお!? どこから湧きやがった!?」
「失礼な。受付嬢たるもの、これくらいできなくてどうしますか」
「受付嬢の定義にそんなもんねえよ!?」
綺麗だ、可愛い、と噂されるギルドの制服を着たサテラが、リーゼルトの後ろに気配もなく忍び寄る。彼の前に居た彩は気づいていた。
リーゼルトは久しぶりの二連続ツッコミに疲れて椅子にもたれている。
「新たな悪質組織が作られたようです。早速Sランク冒険者2人とAランク冒険者5人が殺されたのです」
「あー。組織(笑)だな」
「そうだな。組織(笑)だな」
「笑い事じゃありませんよ!? 悪質なのに!!」
「いやそんなの屁でもねえ。さっさと駆除するわ」
「いやぁ……組織って聞くと怖気がするな。でも組織(笑)は大丈夫なのでは」
最恐最悪最強組織を相手にしているリーゼルトと彩にとって、いくら悪質でも新人組織など目にすら入れていないのだ。
もしボスが強いなら、と考えているが、そんなの機密組織に比べたら本当に屁でもない。
笑いながら話す二人にサテラは少し呆れる。
サテラは組織の存在を知っているので、二人の態度に疑いをかけることは無い。
そんなことよりも、リーゼルトと彩はシアンの妹シオンの方が気にかけている。
妹がいるなんて聞いてない!!!!! という感じだ。
「さて壊滅しますかー」
「人間死んだとなると、さすがに無視はできないからな。いつ私達に被害が及ぶかわからんからな」
「自分優先ですかッ!!」
「今の状況自分優先が命守れるからなぁ……しみついたか」
リーゼルトと彩はそう言って席を立った。
サテラは呆れながらも、何とも思えない信頼感を感じていた。
「さて情報集めだ」
「ちょっとまてよ、リーゼルトぉおっ――――!?」
「ふふ」
なのに―――自分は。
走っていく二人を見て、サテラは胸がきつく縛られるような感覚になってしまう。
組織のことをこんなに知りたがっている二人なのに。
どうして自分はこんなにも情けなくて、命欲しさに何も言えないのだろう。
『自分優先ですかッ!!』
先程自分が言った言葉だけど、無性にイライラした。彼らより、自分の方が自分を優先しているのに。
「サテラさん! 代わってくださいません??」
「あ、了解です!」
それでも受付嬢サテラは笑顔で受付する。
今日も、闇を抱えてしまったみんなのマドンナは、仕事を進めていく。
忙しさに、闇を包んで忘れようと試みるが―――それが無くなることはない。
「俺にエンジョイもチートも全否定!~仕方ない、最弱で最強の俺が行ってやろう~」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
-
3万
-
4.9万
-
-
1,392
-
1,160
-
-
5,217
-
2.6万
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
450
-
727
-
-
2.1万
-
7万
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
8,191
-
5.5万
-
-
614
-
221
-
-
2,534
-
6,825
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
614
-
1,144
-
-
164
-
253
-
-
27
-
2
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
1,000
-
1,512
-
-
6,681
-
2.9万
-
-
1,301
-
8,782
-
-
14
-
8
-
-
104
-
158
-
-
51
-
163
-
-
215
-
969
-
-
86
-
288
-
-
398
-
3,087
-
-
62
-
89
-
-
220
-
516
-
-
4
-
1
-
-
71
-
63
-
-
23
-
3
-
-
89
-
139
-
-
33
-
48
-
-
42
-
14
-
-
218
-
165
-
-
7,474
-
1.5万
-
-
6,237
-
3.1万
-
-
265
-
1,847
-
-
83
-
2,915
-
-
116
-
17
-
-
62
-
89
-
-
42
-
52
-
-
3,224
-
1.5万
-
-
2,860
-
4,949
-
-
3,548
-
5,228
-
-
408
-
439
-
-
6,199
-
2.6万
-
-
1,658
-
2,771
「ファンタジー」の人気作品
-
-
3万
-
4.9万
-
-
2.1万
-
7万
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
1万
-
2.3万
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
9,545
-
1.1万
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
9,173
-
2.3万
コメント