俺にエンジョイもチートも全否定!~仕方ない、最弱で最強の俺が行ってやろう~
第二回 レベル上げ
能力レベル3
体力14
攻撃力11
防御力2
特別スキル――(なし)
属性「なし」
判定「劣等」
これがご存知彩のスキルである。同じく劣等たちと比べてみると、意外にも高い方であった。
ちなみにセシアは鑑定スキルを持っているのである。
そして、今日は城を囲んでいる森の中にて、魔物を狩ることでレベルを上げることになった。
「わ、私が一番……い、いけるのさ……」
と言いながらも、彩は膝が震えていた。
ここは森の中でも魔物の出現率が高いウェディアという名称の森だ。
あさイチでたたき起こされた彩が連れてこられた場所で、連れてこられた先にはすでに劣等の者達がそろっていた。
ちなみに男性も女性も混ざっている。
「さて、僕らはてを出さないよ。けど見てるからね、必要になったら守るよ」
そう言ってキラキラのオーラを出した黒髪の少年、葉蝶海斗。
そんな彼の言葉とともに、一部女子が眼をハートにするが、彩は引いていた。
その動作が一部男子と同じと言うことは黙っておこう。
「さてと『転移』」
海斗の特別スキルの「転移」と共に、劣等集団は一斉に森の中心部に送られる。
――――――――――――――――――――☆
中心部にも層があり、第一層ではまだスライム程度の魔物しか出てこない。
しかしそれでも劣等は劣等。
「ぐああ!」
スライムに体当たりをされ、体力が全くないで自慢の男が吹っ飛び、息絶えた。
(守るとか言ってなかったか?)
彩はそれを眺めて無意識に苦笑いをし、海斗に対する好感がマイナス20してしまった。
元々30しかない好感度だったのだが。
と、考えている暇もない。彩のもとにも何十体かのスライムが包囲していた。
(まさかの包囲とか危ないな……いや、考えるのはそこじゃあない)
本来スライムの群れはひとつになって突進してくるものだ。
この状態はきっと相手がとんでもなく弱いことを認識していることなのだろう。
それが分かった彩は無性にイライラしていた。
昨日セシアから魔導具のひとつ、斧を貰っていたため、スライムに向かって振る。
「はあっ」
スライムには本来物理的な攻撃はそこまで効かないのだが、攻撃力11のおかげで簡単ではないがその体は半分になった。
此処でようやく彩が彼らよりも少しだけレベルが高いことを認知したスライム。
ひとつにまとまり、突進準備を終える。
「うわあやべえ。イライラしてたけどこっちのがやべえ」
今更、さっきの方が良かったかもしれないと思う彩だった。
「わあああ!?」
そして一直線に向かってくるスライム集団。
その瞬間でもあった。
『身体強化、を取得しました。魔力を活性化させましょう』
そう脳内に響いた。
特別スキルではないが、これだけでもずいぶん違うと彩は考える。
魔力を活性化させる。
オレンジ色の、火のようにゆらりと揺れ、暖かく流れていく魔力のイメージ。
それが最高に整った時、魔物の死亡フラグは立ったのだ。
恐らく彩だけに見える透明な膜が全身に張られている。そしてスライムの軍団を待つ。
「うおりゃあああああああああっ!!!!」
斧を斜めに、予備動作を大きく振り下ろす。
スライムの塊は散らばり、ハムのようにペラペラになっていた。そこからほかの劣等たちがとどめを刺す。
そこで、海斗から終わりの命令が告げられた。
死者は十六人、百人以上つみ重ねたここではそれほど気にしなくても良い人数だ。
――――――――――――――――――――――――☆
「みんな、お疲れ様。じゃあ鑑定をしようか」
超イケメンに見えただろう、彩以外は。
そんな海斗のそばで、セシアが苦笑いをし、一人ずつ鑑定をしていた。
皆少しだが上がっており、海斗は満足そうにうなずいた。
そして、この中で最も成長があったのは彩だ。相変わらず村人よりも下だが、劣等の中で比べると上級なくらいだ。
能力レベル5
体力16
攻撃力18
防御力11
特別スキル――(なし)
属性「なし」
判定「劣等・中」
全体的によく上がっているし、劣等レベルも中になっている。
劣等にもレベルがあり、下級、中級、上級、最上級とある。彩にとってはまだまだ先のことだが。
「ふむ。彩ちゃん結構上がったようだね、意外と」
「最後の一言は余計だが礼を言おうではないか」
そして相変わらず火花がバチバチ飛んでおり、その威圧で劣等たちは思わず下がってしまった。
ちなみにセシアは全く動じていない、さすが才能だ。
「まあとりあえず部屋に戻るんだ、また何かあったら集結させよう」
部屋へ続く道は長く、曲がることも多い。彩が方向音痴だったら真っ先に迷っていただろう。
しかし彼女は逆にリーゼルトの方向音痴を手伝ったりと鍛える時間が多かったため、それほど苦労はしなかった。
しかし劣等たちは迷っている者が多かった。
「はあ」
部屋に入り、ベッドの上に座り込む。
横に置いてあるタオルで額にあふれた汗を拭き、彩はベッドに倒れこんだ。
「いやあ我ながらいい成果だ、チートになるんじゃないか??」
そして一人で悪い笑みをこぼしていた。
そとはもう暗く、太陽は消え、月が見えていた。
そろそろ寝なければ、と彩は消灯する。
(準人、お前がいてくれなかったら、私も迷ってただろうなあ)
彼女の枕は濡れていた。
涙を流していたのも、そう考えていたのもきっと無意識だろう。
彩の心に一筋、リーゼルトへの好意がなければ。
もちろん彩はそれに全く気づいてはいないし、リーゼルトも関心すらないのだが。
体力14
攻撃力11
防御力2
特別スキル――(なし)
属性「なし」
判定「劣等」
これがご存知彩のスキルである。同じく劣等たちと比べてみると、意外にも高い方であった。
ちなみにセシアは鑑定スキルを持っているのである。
そして、今日は城を囲んでいる森の中にて、魔物を狩ることでレベルを上げることになった。
「わ、私が一番……い、いけるのさ……」
と言いながらも、彩は膝が震えていた。
ここは森の中でも魔物の出現率が高いウェディアという名称の森だ。
あさイチでたたき起こされた彩が連れてこられた場所で、連れてこられた先にはすでに劣等の者達がそろっていた。
ちなみに男性も女性も混ざっている。
「さて、僕らはてを出さないよ。けど見てるからね、必要になったら守るよ」
そう言ってキラキラのオーラを出した黒髪の少年、葉蝶海斗。
そんな彼の言葉とともに、一部女子が眼をハートにするが、彩は引いていた。
その動作が一部男子と同じと言うことは黙っておこう。
「さてと『転移』」
海斗の特別スキルの「転移」と共に、劣等集団は一斉に森の中心部に送られる。
――――――――――――――――――――☆
中心部にも層があり、第一層ではまだスライム程度の魔物しか出てこない。
しかしそれでも劣等は劣等。
「ぐああ!」
スライムに体当たりをされ、体力が全くないで自慢の男が吹っ飛び、息絶えた。
(守るとか言ってなかったか?)
彩はそれを眺めて無意識に苦笑いをし、海斗に対する好感がマイナス20してしまった。
元々30しかない好感度だったのだが。
と、考えている暇もない。彩のもとにも何十体かのスライムが包囲していた。
(まさかの包囲とか危ないな……いや、考えるのはそこじゃあない)
本来スライムの群れはひとつになって突進してくるものだ。
この状態はきっと相手がとんでもなく弱いことを認識していることなのだろう。
それが分かった彩は無性にイライラしていた。
昨日セシアから魔導具のひとつ、斧を貰っていたため、スライムに向かって振る。
「はあっ」
スライムには本来物理的な攻撃はそこまで効かないのだが、攻撃力11のおかげで簡単ではないがその体は半分になった。
此処でようやく彩が彼らよりも少しだけレベルが高いことを認知したスライム。
ひとつにまとまり、突進準備を終える。
「うわあやべえ。イライラしてたけどこっちのがやべえ」
今更、さっきの方が良かったかもしれないと思う彩だった。
「わあああ!?」
そして一直線に向かってくるスライム集団。
その瞬間でもあった。
『身体強化、を取得しました。魔力を活性化させましょう』
そう脳内に響いた。
特別スキルではないが、これだけでもずいぶん違うと彩は考える。
魔力を活性化させる。
オレンジ色の、火のようにゆらりと揺れ、暖かく流れていく魔力のイメージ。
それが最高に整った時、魔物の死亡フラグは立ったのだ。
恐らく彩だけに見える透明な膜が全身に張られている。そしてスライムの軍団を待つ。
「うおりゃあああああああああっ!!!!」
斧を斜めに、予備動作を大きく振り下ろす。
スライムの塊は散らばり、ハムのようにペラペラになっていた。そこからほかの劣等たちがとどめを刺す。
そこで、海斗から終わりの命令が告げられた。
死者は十六人、百人以上つみ重ねたここではそれほど気にしなくても良い人数だ。
――――――――――――――――――――――――☆
「みんな、お疲れ様。じゃあ鑑定をしようか」
超イケメンに見えただろう、彩以外は。
そんな海斗のそばで、セシアが苦笑いをし、一人ずつ鑑定をしていた。
皆少しだが上がっており、海斗は満足そうにうなずいた。
そして、この中で最も成長があったのは彩だ。相変わらず村人よりも下だが、劣等の中で比べると上級なくらいだ。
能力レベル5
体力16
攻撃力18
防御力11
特別スキル――(なし)
属性「なし」
判定「劣等・中」
全体的によく上がっているし、劣等レベルも中になっている。
劣等にもレベルがあり、下級、中級、上級、最上級とある。彩にとってはまだまだ先のことだが。
「ふむ。彩ちゃん結構上がったようだね、意外と」
「最後の一言は余計だが礼を言おうではないか」
そして相変わらず火花がバチバチ飛んでおり、その威圧で劣等たちは思わず下がってしまった。
ちなみにセシアは全く動じていない、さすが才能だ。
「まあとりあえず部屋に戻るんだ、また何かあったら集結させよう」
部屋へ続く道は長く、曲がることも多い。彩が方向音痴だったら真っ先に迷っていただろう。
しかし彼女は逆にリーゼルトの方向音痴を手伝ったりと鍛える時間が多かったため、それほど苦労はしなかった。
しかし劣等たちは迷っている者が多かった。
「はあ」
部屋に入り、ベッドの上に座り込む。
横に置いてあるタオルで額にあふれた汗を拭き、彩はベッドに倒れこんだ。
「いやあ我ながらいい成果だ、チートになるんじゃないか??」
そして一人で悪い笑みをこぼしていた。
そとはもう暗く、太陽は消え、月が見えていた。
そろそろ寝なければ、と彩は消灯する。
(準人、お前がいてくれなかったら、私も迷ってただろうなあ)
彼女の枕は濡れていた。
涙を流していたのも、そう考えていたのもきっと無意識だろう。
彩の心に一筋、リーゼルトへの好意がなければ。
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