俺にエンジョイもチートも全否定!~仕方ない、最弱で最強の俺が行ってやろう~
第四回 魔法訓練その一
三時間後にはフィーラの教えで魔力の応用は完璧にできるようになっていた。
さて、もう二時間は属性の練習である。
必殺技ばかり使っても知れを防げるものが出てくるかもしれない。いくら何でもひとつだけというのはロナワールの力になるどころか邪魔になる。
「ランさんの属性ってなんでしたっけ?」
「風と水よ、結構気に入っているわ」
風、水。
本気でそれを使いこなすことができるのならば、最強の武器となる二つの属性。
時には最強のペアとも呼ばれたそれをひとりですべて使ってしまう藍。
天才としか言いようがない。
「そのふたつを屈指して何か技を作ってください」
「ん~、分かったわ」
右手に水の弾を、左手に風の剣を。
そして二つを、合体させた。
藍が思い浮かべたのは現実で流行っていたとある曲とラップが重なり合ったようなもの。
よくクラスメイトがパクっていたのを思い出した。
そして水の弾は水の盾と姿を変えた。
つまり、身を守りながら戦えるというわけである。
「お、おぉ~、見事ですね!ではそのままいろいろ試してみてください」
そういってフィーラは藍の邪魔にならない位置まで下がった。
藍にとってはとてもいいことであった。
「はっ!!!」
的確に、冷静に、剣を振る。
――――――――――――――――――――――――――――☆
「魔王様!相手が一向に動きません、これはあと二日はかかると思われます!」
「マジか!!」
一方こちらではサタンがロナワールに向かって叫んでいた。
斥候は止まらずに出してはいるのだがそのすべてが敵は何もしていない、緩んでいるとの報告だ。
それにはさすがのロナワールも疑問に思う。
元部下のあの二人にしても、大賢者にしてもこれくらい緩い戦をする者ではなかった。
疑問に思う、どころではない。
「……いったん第三砦を少し下がらせろ」
「はっ!!」
屋根の上からロナワールは命令を出した。
魔女という種族は耳がいいためサタンには聞こえている。
さっと素早く跪くとサタンは去っていった。
「さぁ、あとはランが、どれくらいもつかだな……」
はっきり言って大魔王城の運命は藍にかかっている。もし藍が居なければ自身の生存も言い難い。
もちろん、第三砦くらいなら守り通せる自信がある。
その際に自身が無傷とはいかないと、そう言っているのだ。
そこも、藍が彼を優しいと評価する点のひとつでもあるだろう。
ものすごく防守的なのである。
「ランに頼るのもだめか……」
小さく独り言をつぶやき、空を見上げた。
どんよりと真っ黒になっている、今からでも雨が降りそうな情景である。
ぽつり。
ロナワールの頬に一筋、雨がかかった。
『火玉』
指先に小さな炎を灯し、ロナワールはそれを見つめた。
雨がかかってもその炎が消えることはない。
炎を見つめて、ロナワールはため息をひとつ。
「戦をするつもりは、ない」
ふとこぼした本音が、敵陣に伝わることも、砦に伝わることもなかった。
ただ一つだけ、藍はそれを、聞き取ることができた気がした。
さて、もう二時間は属性の練習である。
必殺技ばかり使っても知れを防げるものが出てくるかもしれない。いくら何でもひとつだけというのはロナワールの力になるどころか邪魔になる。
「ランさんの属性ってなんでしたっけ?」
「風と水よ、結構気に入っているわ」
風、水。
本気でそれを使いこなすことができるのならば、最強の武器となる二つの属性。
時には最強のペアとも呼ばれたそれをひとりですべて使ってしまう藍。
天才としか言いようがない。
「そのふたつを屈指して何か技を作ってください」
「ん~、分かったわ」
右手に水の弾を、左手に風の剣を。
そして二つを、合体させた。
藍が思い浮かべたのは現実で流行っていたとある曲とラップが重なり合ったようなもの。
よくクラスメイトがパクっていたのを思い出した。
そして水の弾は水の盾と姿を変えた。
つまり、身を守りながら戦えるというわけである。
「お、おぉ~、見事ですね!ではそのままいろいろ試してみてください」
そういってフィーラは藍の邪魔にならない位置まで下がった。
藍にとってはとてもいいことであった。
「はっ!!!」
的確に、冷静に、剣を振る。
――――――――――――――――――――――――――――☆
「魔王様!相手が一向に動きません、これはあと二日はかかると思われます!」
「マジか!!」
一方こちらではサタンがロナワールに向かって叫んでいた。
斥候は止まらずに出してはいるのだがそのすべてが敵は何もしていない、緩んでいるとの報告だ。
それにはさすがのロナワールも疑問に思う。
元部下のあの二人にしても、大賢者にしてもこれくらい緩い戦をする者ではなかった。
疑問に思う、どころではない。
「……いったん第三砦を少し下がらせろ」
「はっ!!」
屋根の上からロナワールは命令を出した。
魔女という種族は耳がいいためサタンには聞こえている。
さっと素早く跪くとサタンは去っていった。
「さぁ、あとはランが、どれくらいもつかだな……」
はっきり言って大魔王城の運命は藍にかかっている。もし藍が居なければ自身の生存も言い難い。
もちろん、第三砦くらいなら守り通せる自信がある。
その際に自身が無傷とはいかないと、そう言っているのだ。
そこも、藍が彼を優しいと評価する点のひとつでもあるだろう。
ものすごく防守的なのである。
「ランに頼るのもだめか……」
小さく独り言をつぶやき、空を見上げた。
どんよりと真っ黒になっている、今からでも雨が降りそうな情景である。
ぽつり。
ロナワールの頬に一筋、雨がかかった。
『火玉』
指先に小さな炎を灯し、ロナワールはそれを見つめた。
雨がかかってもその炎が消えることはない。
炎を見つめて、ロナワールはため息をひとつ。
「戦をするつもりは、ない」
ふとこぼした本音が、敵陣に伝わることも、砦に伝わることもなかった。
ただ一つだけ、藍はそれを、聞き取ることができた気がした。
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