俺にエンジョイもチートも全否定!~仕方ない、最弱で最強の俺が行ってやろう~
第五回 サテラの破滅的な料理(下)
そしてサテラは一冊のノートをポケットから取り出した。そんなのを常時持っているのか。ノートには端正とした字で「レシピ」と可愛い文字で書かれていた。
「ここには作り方が書かれています。材料なら好きなだけ冷蔵庫からとってください。ちなみにこれは「リオンスペシャル」です!」
待て待て。「リオンスペシャル」とか嫌な予感しかしない。
俺は少し慌ててノートを開く。その一ページ目に「ミートソースパスタ」と題名が書かれていた。それを簡単に目を通し、俺はノートを閉じた。大体合ってそうだ。爆発は多分しないだろう。よくわからないが。
何も能力のないただのヤンキーだが、記憶力には結構自信があるものだ。
「……これ、二人別れてやるのか?」
「当たり前です!その方が面白いでしょう?」
サテラはなぜか俺の失敗を期待したような顔をしているが、俺からすればサテラが失敗する確率の方が高いだろう。サテラは自覚がないのだ。
――――――――……俺が、しっかりせねば。。。
よく見れば、キッチンの面積はとても大きかった。そしてこの日のためなのか、キッチンは二つに分かれていた。しかも俺の身長に合わせてある。で、冷蔵庫も二つだった。そしてもちろん俺の身長に……。
料理をするのが始めてだとしても小学校でコンロの使い方くらいはならった。しかし此処は異世界。魔法で一つの板に火を灯すという仕組みだった。で、魔法を持たない俺はまたサテラに『ファイアー!』という基本魔法を借りた。
場合によってこの魔法は強い敵の気を怯ませて攻撃態勢に回るときに使われることがあると、サテラは言っていた。試したくなったが阻止された。。。
「……」
「……」
作り始めると意外に静かで、包丁の音と鍋の炒める音のみが家中に響いた。
その沈黙を破ったのはひとつの音だった。
料理を作り始めてから15分くらいの事だろう。俺の方はソースは準備できていて、あとはパスタを煮るだけだった。実はソース、少し焦げてしまって……。
ズドォン!!!
隣から爆発音。黒い煙がこちらの居場所までを占領し始めた。
「ッゲッホ!うぇっふ!!」
咳をして口を押え、片目を閉じてそーっと横を向くと、包丁を持ったまま真っ黒になっているサテラが居た。硬直している。まるで自分が失敗するとは思ってもいないようだ。
俺にとってはこんな可能性も予測していたんだが、まさか小説みたいに爆発しちまうとはな……。
「いったい何をしたんだ、リオン……」
「……うっぷ」
あきれた様子で俺が問いかけると、サテラは顔についていた炭を払って、
「わかりません。爆発しました……」
「おい!わかりません。でキッチン壊すな。」
一応二人のキッチンには隙間が空いている。だが爆発が凄すぎてこっち側のキッチンが少し溶けてしまっている。
サテラ、本当に一体何をしたのだ?
サテラは一度ため息をついて、傍にあったタオルを手に取った。下にあったため、幸いタオルは無事だった。サテラはそれで顔と手を拭いた後、髪の毛をはたいた。
「どうして準人君は失敗しないんですかぁ……」
「ふん、リオンがドジなんだよ。あと今の俺はリーゼルト君だ」
タオルを胸の前に持ってきて、サテラは話す。よく見るとサテラの目には涙が潤んでいた。どうやら本当に自分には料理の才能があったと思っているらしい。
と、そこで。
ガチャリ。
「何事なのー?って、きゃあ!これ、リーゼルト君がやったの?」
シアノンが戻ってきたらしい。
あと、何でそうも俺を疑う。まぁ五歳だからしかたないが、横に炭だらけのねぇさんが立っているのに!
「あっち……」
俺は親指で隣を指さす。そしてサテラの隣にあったパスタと思われる物体は、もう消し炭になっていた。もはや形そのものすら見えない。
「え……まさか料理したことないの…?」
うん。シアノンはできるよね?
俺は自覚してその場を退いた。「わー空気が読める―」と言いながらシアノンは俺の使っていたキッチンに向かう。そしてまだゆで終わっていない俺のパスタを上げて、皿に移し、ソースをかけた。
それを見てサテラはコンロを取り付けた。そういえば此処は魔法があまり使われないんだったっけ。
「よし、これであたしがあと二人分作ってやるわ!」
と、シアノンは袖を上げて作り始めた。その隙に俺たちは二階へ上がった。まあその第一目的は「着替え」でもあるが、俺はまだ確かめたいことがある。
「私の服どこにしまったっけー?」
と収納ボックスをサテラが見まわしていたのは余談だが。
サテラが着替え終わって、俺たちはそこにあったベットにすわった。
「なぁ、聞きたいことがあるんだが」
「なんですか?」
ベッドが大きくて俺がなんだか小さく見える。我ながら可愛いと思ってしまった。
「どうして俺は異世界語がわかるんだ?」
「うーん。実は、君たちを召喚したのは私じゃなくて、私の上官なんです。彼は君がこうなることを知っていたようでして…。逆にどうしてなのか私が聞きたいのですが、一応あなたは今簡単な読み書きはできるでしょう」
俺は少し驚いた。今まで何でも知っているようにしていたサテラが戸惑っていたのだ。
「ちなみに、「闇属性、光属性、鏡属性、時空属性」は特別属性です。生まれたときの才能によって、属性も左右されます。そしてその属性は、5~7歳辺りで決まります。」
「あ、だから俺を五歳にしたのか」
闇、光、鏡、時空。それは希少な属性なのだとサテラは言った。だが俺にとってはあまりその気がしなかった。
こうしてみると、「意外に」サテラは親切だとうっすら思った。
「おーい、できたよ~?」
下から声がした。シアノンだ。
速い。と不覚にも思ってしまった俺だった……。
速足で二階に向かった俺は宝石のようにきらめくご飯を目の当たりにし、思わずよだれを垂らしてしまった。
「シアノン、すげぇな……!」
ばれないように幼くしゃべらないとな……。
シアノンはエッヘンとした顔で、
「これでも料理には自信があるのだ!」
シアノンは「どうぞ」と俺たちを席に座らせた。
そして俺たちはそれを2分くらいで平らげてしまった。
香りが口の中ではじける、まるでレストランのような味だった。プロかよ。
――――――――――――そして俺の失敗作はシアノンがおいしくいただいたことはまた余談なのだが……。
今日も平和で終わってよかったぜ。
いつの間にか日も陰り、俺たちはそれぞれ三つの部屋のそれぞれのベッドで寝た。
さぁ、明日が楽しみだ。いよいよボーナスか…!
「ここには作り方が書かれています。材料なら好きなだけ冷蔵庫からとってください。ちなみにこれは「リオンスペシャル」です!」
待て待て。「リオンスペシャル」とか嫌な予感しかしない。
俺は少し慌ててノートを開く。その一ページ目に「ミートソースパスタ」と題名が書かれていた。それを簡単に目を通し、俺はノートを閉じた。大体合ってそうだ。爆発は多分しないだろう。よくわからないが。
何も能力のないただのヤンキーだが、記憶力には結構自信があるものだ。
「……これ、二人別れてやるのか?」
「当たり前です!その方が面白いでしょう?」
サテラはなぜか俺の失敗を期待したような顔をしているが、俺からすればサテラが失敗する確率の方が高いだろう。サテラは自覚がないのだ。
――――――――……俺が、しっかりせねば。。。
よく見れば、キッチンの面積はとても大きかった。そしてこの日のためなのか、キッチンは二つに分かれていた。しかも俺の身長に合わせてある。で、冷蔵庫も二つだった。そしてもちろん俺の身長に……。
料理をするのが始めてだとしても小学校でコンロの使い方くらいはならった。しかし此処は異世界。魔法で一つの板に火を灯すという仕組みだった。で、魔法を持たない俺はまたサテラに『ファイアー!』という基本魔法を借りた。
場合によってこの魔法は強い敵の気を怯ませて攻撃態勢に回るときに使われることがあると、サテラは言っていた。試したくなったが阻止された。。。
「……」
「……」
作り始めると意外に静かで、包丁の音と鍋の炒める音のみが家中に響いた。
その沈黙を破ったのはひとつの音だった。
料理を作り始めてから15分くらいの事だろう。俺の方はソースは準備できていて、あとはパスタを煮るだけだった。実はソース、少し焦げてしまって……。
ズドォン!!!
隣から爆発音。黒い煙がこちらの居場所までを占領し始めた。
「ッゲッホ!うぇっふ!!」
咳をして口を押え、片目を閉じてそーっと横を向くと、包丁を持ったまま真っ黒になっているサテラが居た。硬直している。まるで自分が失敗するとは思ってもいないようだ。
俺にとってはこんな可能性も予測していたんだが、まさか小説みたいに爆発しちまうとはな……。
「いったい何をしたんだ、リオン……」
「……うっぷ」
あきれた様子で俺が問いかけると、サテラは顔についていた炭を払って、
「わかりません。爆発しました……」
「おい!わかりません。でキッチン壊すな。」
一応二人のキッチンには隙間が空いている。だが爆発が凄すぎてこっち側のキッチンが少し溶けてしまっている。
サテラ、本当に一体何をしたのだ?
サテラは一度ため息をついて、傍にあったタオルを手に取った。下にあったため、幸いタオルは無事だった。サテラはそれで顔と手を拭いた後、髪の毛をはたいた。
「どうして準人君は失敗しないんですかぁ……」
「ふん、リオンがドジなんだよ。あと今の俺はリーゼルト君だ」
タオルを胸の前に持ってきて、サテラは話す。よく見るとサテラの目には涙が潤んでいた。どうやら本当に自分には料理の才能があったと思っているらしい。
と、そこで。
ガチャリ。
「何事なのー?って、きゃあ!これ、リーゼルト君がやったの?」
シアノンが戻ってきたらしい。
あと、何でそうも俺を疑う。まぁ五歳だからしかたないが、横に炭だらけのねぇさんが立っているのに!
「あっち……」
俺は親指で隣を指さす。そしてサテラの隣にあったパスタと思われる物体は、もう消し炭になっていた。もはや形そのものすら見えない。
「え……まさか料理したことないの…?」
うん。シアノンはできるよね?
俺は自覚してその場を退いた。「わー空気が読める―」と言いながらシアノンは俺の使っていたキッチンに向かう。そしてまだゆで終わっていない俺のパスタを上げて、皿に移し、ソースをかけた。
それを見てサテラはコンロを取り付けた。そういえば此処は魔法があまり使われないんだったっけ。
「よし、これであたしがあと二人分作ってやるわ!」
と、シアノンは袖を上げて作り始めた。その隙に俺たちは二階へ上がった。まあその第一目的は「着替え」でもあるが、俺はまだ確かめたいことがある。
「私の服どこにしまったっけー?」
と収納ボックスをサテラが見まわしていたのは余談だが。
サテラが着替え終わって、俺たちはそこにあったベットにすわった。
「なぁ、聞きたいことがあるんだが」
「なんですか?」
ベッドが大きくて俺がなんだか小さく見える。我ながら可愛いと思ってしまった。
「どうして俺は異世界語がわかるんだ?」
「うーん。実は、君たちを召喚したのは私じゃなくて、私の上官なんです。彼は君がこうなることを知っていたようでして…。逆にどうしてなのか私が聞きたいのですが、一応あなたは今簡単な読み書きはできるでしょう」
俺は少し驚いた。今まで何でも知っているようにしていたサテラが戸惑っていたのだ。
「ちなみに、「闇属性、光属性、鏡属性、時空属性」は特別属性です。生まれたときの才能によって、属性も左右されます。そしてその属性は、5~7歳辺りで決まります。」
「あ、だから俺を五歳にしたのか」
闇、光、鏡、時空。それは希少な属性なのだとサテラは言った。だが俺にとってはあまりその気がしなかった。
こうしてみると、「意外に」サテラは親切だとうっすら思った。
「おーい、できたよ~?」
下から声がした。シアノンだ。
速い。と不覚にも思ってしまった俺だった……。
速足で二階に向かった俺は宝石のようにきらめくご飯を目の当たりにし、思わずよだれを垂らしてしまった。
「シアノン、すげぇな……!」
ばれないように幼くしゃべらないとな……。
シアノンはエッヘンとした顔で、
「これでも料理には自信があるのだ!」
シアノンは「どうぞ」と俺たちを席に座らせた。
そして俺たちはそれを2分くらいで平らげてしまった。
香りが口の中ではじける、まるでレストランのような味だった。プロかよ。
――――――――――――そして俺の失敗作はシアノンがおいしくいただいたことはまた余談なのだが……。
今日も平和で終わってよかったぜ。
いつの間にか日も陰り、俺たちはそれぞれ三つの部屋のそれぞれのベッドで寝た。
さぁ、明日が楽しみだ。いよいよボーナスか…!
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