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月夜に提灯、一花咲かせ

樫吾春樹

弐文目 それは線香花火のような

スカートやヒールなどと慣れない服装をして、東京行きの電車に乗る。翔太との初デート。全くプランも何も考えてないが、なんとかなれば良いかなと思ってる。まあ、僕自身は特にどこかに行きたい場所とか無いんだが。そんなことを考えながら、電車に揺られる。
「次は、池袋」
駅名を聞いて考えを止めて、降りる準備をする。同い年の中では珍しく、僕はあまり東京に出てこない。それもあってか、知ってる駅を集合場所にした。電車から降りて、オフ会の時と同じ集合場所に向かう。約束の十分前。そこには既に、翔太が来ていた。
「ごめんなさい、待たせましたか?」
「いや、今来たところ」
「それならよかった…… さてと、行きましょうか」
「どこへ?」
「とりあえず、喫茶店でも?」
彼の前を歩き、先導する。かなりの方向音痴である僕が先導してどうするって話だが、そこはあまり気にしてはいけない。駅構内から出て、すぐ近くの喫茶店に入る。席に着いて、店員がメニューを持ってくる。
「どれにしますか?」
「僕はココアで。イルカさんは?」
「僕はカフェキャラメルにします」
それぞれ注文して、来るまでの間に共通のゲームを中心とした話をする。これから先の進め方、キャラ同士の交流、それぞれの設定やこれから詰めるところなど。そんな話をしていたら、頼んでいた飲み物が来た。
「お待たせしました。ココアとカフェキャラメルです。」
店員により、それぞれの前にカップが置かれる。僕は、カップを手で包み暖まる。猫舌のせいで、熱いものが苦手である。見ると、それは相手も同じようだった。視線に気づいたのか、相手が苦笑いをした。
「僕も猫舌でね。すぐには飲めないんだ」
「一緒ですね」
それを聞いて、互いに笑いあった。たまたま見つけた共通点。それが嬉しかった。それから僕達は、閉店時間になるまでしゃべっていた。
「あれ、もうこんな時間。そろそろ帰らなきゃ」
「本当だ。外もかなり暗いや」
「今日はありがとうございました、周さん」
「僕も楽しかったし、こちらこそありがとう」
会計を済ませて店を出ると、外はまだまだ人で賑わっていた。相変わらず慣れない人混みに、店の中に逃げたくなるがそんな格好悪いところを見せるわけにもいかない。
「大丈夫?」
「はい、大丈夫ですよ。駅に行きましょう」
心配させないようにそう言い、駅に駆けていく。改札前に着き、彼に挨拶をする。
「ありがとうございました。また、会いましょうね」
「うん、また会おうね。イルカさん」
そして、ぽふっと頭を撫でられる。いきなりのことできょとんとしていると、周さんが顔をそらした。
「ごめん、つい……」
「いいですよ。それじゃあ、そろそろ」
笑顔を浮かべて、僕は改札へと歩き出す。
「またね」
「はい、また」
振り返り手を振ってから、改札の中へと進んでいった。

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