話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

月夜に提灯、一花咲かせ

樫吾春樹

壱輪目 沈丁花

警告音の鳴り響く、暁時の寝室。他人がそれを聞いたら「何事」かと思うが、僕にとってはそれが日常だ。五月蝿く鳴るスマホのアラームを止め、気怠い身体を引きずり布団の中から出る。午前四時半。肌寒いと感じながら、仕事着に着替え、数十分で支度をして家を出る。歩いて五分程の場所が、毎朝迎えが来る所だ。寒さに若干震えながら来るのを待ち、見慣れた白い軽自動車に乗り込む。
「おはようございます」
「おはよう。そして、おやすみ」
「まだ、寝ませんよ」
「いつも寝てるじゃん」
運転手である先輩と、今日もそんなやり取りをする。毎度のようにからかい、からかわれるそんな関係だ。
先輩は、星田裕人ほのだゆうと。僕より十数歳は年上である。僕は秋永真琴あきながまこと。見た目も言動も男のようだが、これでも女性である。僕達は、ガラス工事の職人とその見習い。
「まだ、眠いのでおやすみなさい」
「やっぱりいつも通りか。おやすみ」
朝焼けに染まる空を横目に見ながら、長い通勤距離に早速疲れ。というよりも半ば飽きてしまい、僕は目を閉じ微睡みに沈み始めた。

「月夜に提灯、一花咲かせ」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く